会派視察~高松市・上勝町・明石市~

小平ネットワークの市議と一緒に、3自治体を視察しました。(1月27日~29日)
高齢者や子ども施策、環境施策などを学びました。市民の力が引き出され、自治体や団体等との協働進んだときに、まちの魅力がアップすると感じた視察となりました

上勝町合同会社パンゲアで説明を受けました。町長にご挨拶いただきました。

上勝町のごみステーション

高松市役所内

香川県高松市では、「在宅医療・介護連携推進事業」「高齢者の居場所づくり事業」について視察しました。
高松市は平成29年現在で高齢化率が26.9%、市民の4人に1人が65歳以上、平成31(2019)年以降は前期高齢者と後期高齢者の人口が逆転すると推計されています。また、平成27年の総世帯に占める高齢者のみの世帯は23.9%で、その約半数が一人暮らし世帯となっていることなどを背景に、医療や介護が必要となっても住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、在宅医療と介護サービスが一体的に受けられる体制づくりに力を入れています。
関連団体を横断的に繋ぐ在宅医療・介護連携推進会議では、医師会がリーダーシップをとり4つの部会を組織し、支援体制やコミュニケーションの強化、人材育成など、内外の充実化を図っているとのこと。そのひとつである在宅医療コーディネーター養成研修部会は、高松市独自の取組として、半年間かけて養成講座を実施、毎年40名前後、現在200名程度誕生しています。また、元気で長生きするための基盤となる居場所づくりにも力を入れており、運営のための様々な助成や支援が行われている(活動回数により2~7万円の運営経費助成金、1回あたり500円を助成金に加算する子どもとのふれあい加算など)。居場所は現在240か所以上あり目標は300か所。居場所の紹介、子育て世代との交流の仕方などを記載したガイドブック「居場所DE愛Book」は楽しく見やすいよう工夫されていて、とても参考になりました。
年度の当初と終わりに主観的健康感と要介護認定の有無を記録、事業実施による効果を測定しており、平成27年度では主観的健康感が91.5%、居場所利用者の介護保険新規認定者率は0.52%で65歳以上全体の4.21%と比べて8分の1以下となるなど、着実に効果を測定しています。
このほか在宅介護を支えるための24時間年中無休の相談専用ダイヤルもあり、これは是非参考にし実現したいと思いました。

 

徳島県上勝町では、葉っぱビジネス(彩事業)、ゼロ・ウェイスト宣言について視察しました。
1986年にスタートした「葉っぱビジネス(彩事業)」は、日本料理に彩りを添える「つま物」を生産する事業。元々はミカンの生産者が多かったが、冷害で生産ができなくなり地域の特性を生かした生産物をと当時の農協職員のアイデアで生まれたビジネスです。
上勝町の高齢化率は50%を超え、葉っぱビジネスの生産者も高齢化していることから、インターンシップ受け入れを進め、担い手づくりにも力を入れています。成果として若い世代の移住者も増え、社人研の人口予測よりも減少が緩やかになっています。また、ITを活用したシステム「上勝情報ネットワーク」を導入し、生産者がパソコンやタブレット端末等を使って受発注する方法を取り入れています。他にも市場動向やニーズ、料亭等での利用の写真、出荷時の注意事項、クレームのフィードバックなどの情報公開に活用し、生産者との共有を図っています。生産者同士の競争意識なども働き、やりがいをもって仕事をしている生産者が多くいます。
「ゼロ・ウェイスト」とは「無駄、浪費、ごみをなくす」という意味で、上勝町は2005年に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」をしたまちです。

宣言の内容は、1・地球を汚さない人づくり、2・2020年までにごみをゼロにする、3・地球環境をよくするため世界中に多くの仲間をつくる。

1980年以降も野焼きによるごみ処理を行っていましたが、1998年に小型焼却炉を設置し町内で焼却していました。その後、ダイオキシン問題で焼却炉が使用できなくなり、35分別による収集がスタート。NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーが発足し、事業を請け負いました。車による回収はコストがかかるため導入せず、回収ステーションに住民が持ち込んでいます。持ち込めない住民には2か月に1度の回収サービスがあり、1回210円(200円は町負担)で回収しています。生ごみは各家庭が処理機等で処分、リユースを促進するための「くるくるショップ」やリサイクルショップ「くるくる工房」も運営しています。
現在、ごみの分別は13品目45分別。焼却ごみは徳島市に委託しているが、リサイクル率は約81%。回収ステーションには分別単位ごとに引取り単価や何にリサイクルされるか掲示されていて、住民の意識向上につながっています。
上勝町は高齢化率50%を超える四国で一番小さな山間部の町ですが、元気な高齢者と若い世代のつながりのある町です。視察中にも若い世代の移住者やUターンの若者に話を聞くこともできました。地域の特性を生かした事業で仕事があること、ゼロ・ウェイスト宣言したことで、ごみゼロに町ぐるみで取り組むことなど、住民の連帯感がを感じました。日本各地で高齢化や過疎化が問題となっていますが、上勝町はそれを感じさせない町で、学ぶことの多い視察でした。

兵庫県明石市では、「明石市こども総合支援条例」「パピオスあかし」について視察しました。
明石市は子どもを核としたまちづくりで、人口(特に子育て世代)が7年連続して増加、出生率・出生数も回復し税収が6億円アップしています。
担当課からは、現在市長がリーダーシップをとって行っているさまざまな子どもの施策を、市長交代後も継続できるようにと条例制定に至ったとの説明がありました。明石市の子どもを核としたまちづくりでは、子どもは1人では生きられないことから、全ての子どもが対象です。保育料や医療費の補助に所得の制限をかけないのは、あくまでも子ども本人が対象だからとのこと。
児童福祉費はここ10年間、毎年10%ずつ増えているとのこと。また、弁護士資格を持つ職員が約10人おり、条例の制定や児童相談所での対応に当たっているそうです。2018年に中核市になり、保健所や児童相談所などを設置しています。ピンポイントで課題を解決するためにチームが立ち上がるため、職員は頻繁に異動があるそうです。スピーディーな対応ができる、専念できると、今では職員にも好評なようでした。
「パピオスあかし」は、明石駅前再開発にともない建築されたビルで、中には民間の商業施設とともに市役所の窓口、市民広場、図書館、若者のためのスペース、子育て支援センター、親子スペースを設けており、親子連れや若者でにぎわっていました。図書館にはコーヒーが飲めるスペースや対面朗読室があり、さまざまな用途に答えられるようになっていました。駅前という好立地に市民のため、子ども若者のためのスペースが確保されていてとても充実した施設となっていました。