福生市議会横田基地対策特別委員会視察

福生市議会横田基地対策特別委員会で、沖縄に視察に行きました。
(5月26日~27日)

5月26日(火)
場所 航空自衛隊那覇基地
調査事項 航空自衛隊那覇基地について

那覇基地は那覇空港と隣接し、基地面積約200万㎡、航空自衛隊の13個の部隊と陸上自衛隊15ヘリコプター隊、海上自衛隊第5航空群が所在しています。平時有事ともに空の安全を守っている航空自衛隊の中でも重要な位置にあるのが航空自衛隊那覇基地で、南西防衛区域における唯一の航空基地となっています。
那覇基地は、防空任務、対領空侵犯措置等に対応し、領空侵犯がレーダーで検知されると緊急発進(スクランブル)が行われます。状況の確認、行動の監視が行われ、通告、警告、誘導、強制着陸または退去となるまで対応されます。これまでに、強制着陸に至ったことはないとのことですが、国内の緊急発進(スクランブル)全体の約6割が南西防衛区域で行われているとのことで、その割合からも那覇基地の重要性がよくわかります。また、防空識別圏(ADIZ)では、竹島は韓国が実効支配していることから圏外、尖閣諸島は圏内となっていること、侵攻する航空機や弾道ミサイル等に対応するためのペトリオットミサイルにより破壊することを任務としている南西高射群が配置されていることは、常に緊張感のあるエリアであることがよくわかりました。

世界情勢が緊張の度合いを上げている現在、領空に接近する航空機が、どの国の航空機なのか、どのような目的で飛行しているのかを確認、把握することの重要性を感じることができました。
福生市では、今年度から平和事業として中学生の広島派遣が行われます。平和主義を基本とした日本の防衛の考え方や在り方を、若い世代も含め幅広く議論していくことが必要ではないかと思いました。

5月26日(火)
場所 沖縄県宜野湾市
調査事項 宜野湾市の基地対策について

1996年のSACO合意で普天間基地の返還は決定していますが、返還期日は決まっていないことや移設先とされている辺野古での工事が進んでいないという現実もあり、全面返還には至っていません。代替施設への早期移設や移設までの間の改善、分散移設などが、市民の大きな総意であるとの説明でした。ほぼ国有地である横田基地とは異なり、私有地で多くの地権者がおられるため、個別には返還を望まない方もおられるとのことで、基地を起因とする問題の地域住民への影響と解決の難しさは、騒音等の物理的な問題だけではないと感じました。

基地跡地利用の先行モデル地区となるキャンプ瑞慶覧西普天間住宅地区跡地を車窓から見学しました。沖縄健康医療拠点形成に向けた取組で、宜野湾市と琉球大学の包括連携協定により、琉球大学医学部と大学病院が建設されました。土地返還に当たっては、駐留軍が使用していた建物や土壌汚染の調査除去、不発弾や廃棄物の調査・除去が行われ、土地の使用・収益が可能となるまでの間、地権者に対して保証金及び給付金が支給されます。土地の返還については、決定から活用可能となるまでに一定期間を要することから、このような措置がされることは必要であると思いました。今後、居住ゾーンや都市公園等も整備して行く予定で、地域にウォーカブルな動線をつくり、市民の健康づくりにつなげたいとのことでした。
返還後の跡地利用の取組では、振興拠点、都市拠点、居住拠点と3つのゾーンからなる跡地利用計画を策定中で、令和2年(2020年)に全体計画の中間取りまとめが公表されました。さらに内容を具体化させ、令和9年(2027年)に全体計画を予定しているとのことでした。返還後の経済効果も試算されており、活動による直接経済効果が非常に高いことがわかりました。普天間基地の返還は決定していますので、こうした取組を進めることの大切さを感じました。また、広い土地を取り戻すことの有効性を感じることができました。

基地と市民との交流については、地域の産業まつりやクリスマスツリー点灯式、海岸清掃等のボランティア等があり、また、津波等で避難が必要な場合は、基地内に立ち入ることができるようになっているとのことで、台湾地震のときにも実際に市民が基地内に避難したとのことでした。住民の交流や災害に備えた協力は必要であり、福生市と横田基地においても協力体制を強化できるのではないかと思いました。

設置されている「基地被害110番」では、24時間苦情を受け付けていて、令和7年は903件とこれまでに最も多い件数でした。令和7年からは、公式LINEでの苦情受付も開始したとのことで、市民が苦情を言いやすい環境整備につながったものと分析されていました。市民が、苦情を言うことをあきらめてしまわないために、言いやすい環境を整えることは大切で、これは福生市でも取り入れるとよいのではないかと思いました。
また、外来機飛来については、沖縄防衛局で目視による調査が行われているとのことでした。様々な機関が、基地による負担の軽減のために力を尽くすことの必要性を感じました。

普天間市から頂いた資料の1つの表紙には、「返還合意の原点は危険性の除去と基地負担の軽減」と一番上に書かれていました。本土復帰から令和8年(2026年)1月末までの間、普天間飛行場所属期による事故・予防着陸等は185回を数え、平均にすると年間約3回もの事故等が起きています。部品等の落下や遺失物等の他、沖縄大学への米軍機ヘリ墜落事故や普天間第二小学校への米軍機ヘリ窓枠落下事故など重大なものもあります。危険性の除去は、一刻も早くなされるべきだと思います。
横田基地所属の航空機等からの部品等の落下やCV22オスプレイの予防着陸も多くあり、また、市街地の真ん中に基地があるという点でも、福生市への影響と重なる部分もあると思いました。横田基地も機能強化と態様の変化が見られていますが、今後も注視し、今回の学びを活かしたいと思いました。

キャンプ瑞慶覧返還跡地に建設された琉球大学医学部

宜野湾市役所屋上から見る普天間基地

5月27日(水)
場所  防衛省沖縄防衛局
調査事項 沖縄県内の防衛施設及び在日米軍嘉手納基地の概要について

沖縄県における防衛施設の状況については、国土の約0.6%の面積に全国の米軍施設・区域の約70%が所在しているという事実があり、また、その約77%が民公有地となっていますので、公共の充実や地域の発展に大きく影響していることがうかがえます。
平成2年(1990年)には、日米両政府は、地元の要望の強い事案を中心に、23事案の土地の返還を進めることについて合意し、SACO最終報告に引き継がれた一部を除き、合意されたすべての施設・地域が返還済みです。また、平成8年(1996年)SACO最終報告を取りまとめ、11件の土地の返還について日米で合意し、在日米軍再編に引き継がれた一部を除き、合意されたすべての施設・地域が返還済みです。その後、平成18年(2006年)には、在日米軍再編の施策を実施するための「再編実施のための日米ロードマップ」が取りまとめられました。この在日米軍再編では、横田基地の態様の変化、機能が強化され、福生市議会においても横田基地対策特別委員会等で議論されたことが会議録に残っていますので、全国の基地が所在する自治体に、大きな影響を与えたのではないかと思います。
このように、沖縄県では返還された施設・土地が、本土復帰前との比較で約50%の減となっています。また、今後も普天間飛行場の全部返還などで、令和6年(2024年)現在と比べ約4%の減となる予定です。

沖縄防衛局でいただいた管内防衛施設図を見ますと、施設の多くが県の中部から南部にかけて多く所在することがわかります。県南部は人口の多い地域ですので、分散や北部に移設することで、県民への負担を減らし、土地の活用が進むようになっていました。移動中には、車窓から見える返還された土地について説明があり、大型商業施設や店舗が建つ地域もありました。

土地・施設の返還は進んでいますが、それでもまだ沖縄県への負担は大きなものであると感じました。嘉手納基地周辺の騒音の問題は大きいですが、その中でも地域住民が、折り合いをつけて生活していると感じました。
基地に起因する問題は、騒音等の物理的な負担、事故等への不安、環境汚染、米兵等に関する事件など様々ですが、返還が進むことでそれぞれが軽減されると思いました。沖縄を視察することで基地問題の複雑さを感じることができ、また、日本の防衛の在り方について改めて考えることができました。基地と防衛について考えることは、平和について考えることと切り離すことはでないと思いました。

道の駅かでな「学習展示室」

道の駅かでな展望デッキから見る嘉手納基地