令和5年第2回定例会 6月議会報告

6月13日から30日まで第2回定例会6月議会が開催されました。

議員提出された「子どもの医療費助成の拡充を求める意見書」を全会一致で採択し、東京都に提出しました。
子どもの医療費助成は、都の制度ですが、市がその一部を負担しています。令和5年度からは、高校生年代まで医療費助成が行われるようになりましたが、制度開始から3年間は都が全額負担、それ以降は市が半額負担することになっています。すべての子どもの医療費助成について、所得制限や一部自己負担をなくし、全額都の負担とすることを求める内容になっています。

一般会計補正予算(第3号)では、
・食料品価格の物価高騰への対応として、学校給食の食材調達のための増額
・地域経済の活性化と消費喚起を促すための「プレミアム付き商品券」30,000冊の発行
・18歳以下と65歳以上に自転車用ヘルメットの購入費用助成金
・児童発達支援センター施設整備工事
・シニアお買物券の発行
など、合わせて 7億7,326万4,000円が追加されました。

また、以下のように一般質問を行いました。

一般質問

1、ジェンダー平等の推進について
(1)男女共同参画社会形成への意識づくり等の推進について

令和2年第4回定例会では、ジェンダー平等についての考え方と取組について、また男女共同参画行動計画(第6期)に向けての課題把握について質問しました。令和3年度(2021年)からの第6期計画では、「福生市における男女共同参画社会形成に向けての課題」の1つとして、「男女共同参画社会形成への意識づくり」があげられています。この意識づくりについて、第6期に向けての課題把握として行われた市民意識調査から見えてきた現状と、それを踏まえた取組について質問しました。

意識づくりについては改善傾向である一方で、国や都と比較すると『家庭生活』、『職場』、『社会通念・慣習・しきたり等』、『自治会やNPO等の地域活動の場』での「平等である」という意識の割合が低くなっている。また、メディアなどで見聞きする言葉は知っていても、市の取組に対する認知度が低いとの回答でした。

改善に向けたさらなる取組等と計画にある「男女共同参画の視点から見た公共調達」や「ポジティブアクションの普及・啓発」の取組についても質問しました。

小学校5年生と中学校1年生の児童生徒を対象にした令和4年度「男女共同参画啓発用ガイドブック」では、無意識の思い込みであるアンコンシャス・バイアス、を追加するなど、新たに加わった視点や取組みなども盛り込んでいる。公共調達では、公正な競争の促進のみならず、男女共同参画やワーク・ライフ・バランス等を推進する事業者を適切に評価することが求められていることから、「特別簡易型総合評価一般競争入札」(総合評価方式)の評価項目の一つとして、男女共同参画の推進状況、及び子育て支援の推進状況を示す「認定マーク」の取得状況を評価の対象としている。
(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定取得となる「えるぼしマーク」、次世代育成支援対策推進法に基づく認定取得となる「くるみんマーク」)
また、「ポジティブアクション」について、まずは、認識していただくことが重要であると考え、市ホームページや、男女共同参画情報誌「あなたとわたし」での周知、及び東京都からのパンフレットなどを公共施設に配架して、周知を図っているとの回答でした。

男女共同参画社会に向けた取組は、後退してしまうのではないかという危機感を持っています。
ジェンダー平等の推進のために、さらに取り組みを進めてほしいと訴えました。

2、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの啓発等の推進について
(1)取り組み状況について

リプロダクティブ・ヘルス/ライツが守られるよう、啓発等を推進していくことが重要であると考え、これまでの取組と現状について質問しました。
(リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、「性と生殖に関する健康と権利」と訳され、1994年にカイロで開催された国際人口開発会議において提唱された概念で、女性の人権の重要な一つ)

「妊娠、出産、育児にかかわる健康支援と学習機会の提供」「性感染症に対する知識の普及」を主な事業項目として掲げ、妊娠期の母子健康手帳交付時面接から始まり、出産及び育児を通して様々な母子保健事業等の機会を設けて継続実施している。
母子健康手帳交付時面接、パパママクラスや乳幼児健康診査等の事業の中でも、夫やパートナーも一緒に妊娠、出産、育児に関わることで、お互いの心身の状態を理解し、お互いに相手を思いやって支えあっていく必要性をお伝えしている。
また、保健センター内に梅毒やHIV等、性感染症情報をチラシやポスター等で掲示し啓発に努め、性感染症に対する知識を持ちつつ、妊娠、出産、育児という大きなイベントをきっかけにお互いを尊重し、思いやることを再認識してもらうことで、さらに次の妊娠や出産に対する夫婦の主体的な選択へとつながると考えているとの回答でした。

妊娠や出産に関することだけではなく、生殖にかかわる全てにおいて、単に病気がないだけでなく身体的、精神的、社会的に良好な状態(ウエルビーイング)であること、また、産む・産まない、いつ・何人子どもを持つかなど、生殖に関することを自分で決める権利で、パートナーの理解や、そのために必要な情報やサービスを得られることも含まれます。
これからは、妊娠・出産・育児に関する支援だけでなく、女性が社会で健康を保ちながら活躍するための支援として、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する意識を広く社会に浸透させることが重要であると考え、市の考え方等についても質問しました。

女性は、思春期、成熟期、更年期、老年期と、ホルモンの変動によって大きく心身の状態が揺れるほか、結婚や出産及び育児などのライフイベントによっても、生活や環境が大きく変化する。女性が充実した生活を営み、健やかに年を重ねていくためにも、若い世代から、正しい知識や情報に触れ、予防的な行動をとれることが重要であると考える。
思春期の過剰なダイエットや将来的な骨粗鬆症の発症等、長いスパンでの女性の健康課題を見据え、小学校高学年クラスや、夏休みの学童クラブ等に出向き、健康教室を実施。成人式では、自分らしいライフプラン情報を考えるための情報提供『20代で知っていたい、と思うこと』というリーフレットを配布することにより情報提供をしてる。
健康まつりで啓発活動、乳がん・子宮がん検診を実施、乳がんモデルを使用した自己検診の方法の普及啓発等を行い、ライフステージや社会情勢を考慮した取り組みをしているとの回答でした。

女性のライフステージを考えると、とても細切れな取組になっていることがわかりました。
健康施策である「健康ふっさ21」のライフステージに応じた健康づくりに、女性に特化したライフステージという項目を検討して欲しいと要望しました。

(2)若い世代に対する取組について

東京都では、令和4年度から「東京ユースヘルスケア事業」をスタートしました。都の委託事業としてNPO法人や一部の都立高校等が実施していますが、中高生等の思春期特有の健康上の悩みを相談できる場や正しい性情報にアクセスできる場など、とても重要な事業であると考えています。都は、自治体の取組も支援するとしていることから市の考え方等について質問しました。

若い世代への喫煙防止教育や飲酒防止教育等を通して、自分自身や家族の体を大切にすることを学ぶ機会を設けている。また、若い世代向けに電話、メール及び対面で相談ができる、「とうきょう若者ヘルスサポート」の案内カードを保健センター内に設置している。さらに、成人式では東京都が作成した「妊娠・出産に関する普及啓発リーフレット」や、チャットボット形式のLINE(ライン)アカウント 「妊娠したかも?と思ったら」の普及啓発カード等を配布している。
若い世代への妊娠や出産等に関する啓発や情報提供を行うことは重要であると考えている。
現時点で、東京ユースヘルスケア推進事業の実施は考えていないが、今後も若い世代への支援について、他の自治体の状況等を注視していくとの回答でした。

10代から必要な情報であること、保健センターに行く機会はあまりないことを考え、男女共同参画担当課(協働推進課)と連携して周知に努めて欲しいと訴えました。
「東京ユースヘルスケア事業」については、ユースクリニックなど取り組み例もあり、近隣自治体と一緒に進めるよう訴えました。
全ての人がリプロダクティブ・ヘルス/ライツを享受できる社会にするために、若者が気軽に相談できる場所を確立し、それを当たり前にしていくことが必要です。今後も、市の取組に注目していきます。

3、ICT教育について
(1)一人1台端末等の現状と課題について

保護者や地域の方からのご意見を踏まえ、「健康被害の防止」「情報モラルを含む活用能力の一層の習得」「家庭学習等での使用やルールづくり」の現状と課題について質問しました。

「健康被害の防止」については、目の健康を保つための活用ルール等をまとめたパンフレットを作成し、全児童・生徒に配布し、各学校に指導を依頼。また、長時間使用による健康被害を防止する観点から、全児童・生徒の端末の使用状況等を毎月把握し、過度な使用が認められる児童・生徒に対しては、当該の小・中学校を通じて、個別の指導を行っている。一部、継続的に指導しても長時間利用が改善されない状況があり、校長会と協議を重ねた上で、令和5年4月から、iPadのインターネットアクセスを午後10時から午前5時まで制限する取組を行っている。

「情報モラルを含む情報活用能力の習得」については、情報を活用する能力に加え、犯罪の被害者や加害者にならないよう、情報モラルを身に付けていくことは重要。各学校の実践事例を収集し、好事例を共有するとともに、児童・生徒のiPadから情報モラルに関する学習サイトに直接アクセスできるようにするなど、教員が日常的に指導しやすい環境整備に努めている。また、各学校では、セーフティ教室等の機会に、情報教育の専門家を招聘した出前授業を実施するなど、工夫した取組を行っている。
課題は、学校と家庭との一層の連携を図ること。児童・生徒は、携帯電話等、様々な情報端末を所持していることから、学校と家庭が連携し、情報端末を使用する際のルールやマナーを一層徹底すること。

「家庭学習等での使用やルールづくり」については、使用する時間等について児童・生徒と保護者が話し合って決めるようにお願いしている。課題は、家庭でのiPad使用に関するルールの必要性について、より一層、保護者等に啓発を図ることとの回答でした。

また、「健康被害の防止」については、心身の健康に影響が及ぶことやその対策について授業等で取り組んでいること、保護者及び児童・生徒向けに作成している資料等を通して、情報機器等の使用に起因する疲労感への対処法や、インターネットへの依存に対する注意喚起について掲載するなどして、家庭への啓発を行っていることがわかりました。
「情報モラルを含む情報活用能力の習得」については、SNSは文字によるコミュニケーションが中心となることから、普段よく使われる言葉であっても、受け手にとっては否定的な意味に捉えられてしまうことがあるなど、授業の中で具体的な言葉の例を提示し、人によって感じ方が違うことに気付かせ、相手を尊重する態度を育てる授業を行った取組例があげられました。
「家庭学習等での使用やルールづくり」については、貸与されるときに「iPadの利用についてのお約束」を児童・生徒と保護者が読み、サイン・提出する同意書について、学年に合わせた対応が必要ではないかと考え、その対応について質問しました。
毎年度、記載内容等を見直し、必要に応じて改善を図っているところであるとの回答でした。

「iPadの利用についてのお約束」と同意書について、低学年ではその内容やサインすることの意味を理解することが難しいことや家庭によって対応が異なることから、学年によって対応を見直すこと、低学年は学校のみで使用し、端末を持ち帰らないようにすることを要望しました。

 

 

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