令和4年第3回定例会 9月議会報告
8月30日から9月27日まで、9月議会が開催されました。
一般会計補正予算第5号では住民税非課税世帯等臨時特別給付金給付事業の不足分約6,500万円が、第6号では公共施設の光熱水費の高騰に伴う増額や福生駅西口地区公共施設整備に関する土地鑑定委託料、ハクビシン等の外来生物駆除のための捕獲数増による増額、キャッシュレス決済ポイント還元事業、保育士等の収入引き上げのための補正予算等、合わせて約16億5,000万円の補正予算が可決されました。
また、補正予算第7号では、住民税非課税世帯等に1世帯当たり5万円を給付する電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金給付事業、高齢者インフルエンザ予防接種事業、新型コロナウイルスワクチン接種事業等、合わせて約10億2,600万円が可決されました。
一般質問
1、誰もが自分らしく生きるための支援について
(1)性的少数者への支援と差別しないための取組について
令和3年第4回定例会で、「パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度に関する陳情書」が全会一致で採択されました。今後の措置については東京都の制度導入に合わせて準備を進めていきたいとのことでした。令和4年11月からは、「東京都パートナーシップ宣誓書」の運用が開始されることから、市の対応について質問しました。
また、差別をしないための取組等について質問しました。
制度の内容について各課に周知、調査した。庁内検討会を立上げ、制度を活用できる具体的な施策の検討、制度開始による影響などについて、検討をはじめたところ。差別をしないための施策については、今後、庁内検討会で議論を重ね、課題解決に取り組んでいきたいと考えているとの回答でした。
今後、検討会を進めていくと課題が明確になることが考えられ、新たな取組等を記すための計画見直しの必要性について訴えました。また、「男女平等推進条例の創設検討」では、多様な性についても盛り込む検討を進めるよう要望しました。
(2)性的少数者への支援と差別しないための学校での取組について
令和3年度は、当事者を講師に、市内の全小中学校教員を対象とした研修会を開催し、理解を深める機会としたとの回答でした。
研修会をきっかけに変化した学校での具体的な取り組みについて質問しましたが、学校としての取組は、まだ見られませんでした。今後に期待したいと思います。
また、子どもたちが理解するための取組や、東京都パートナーシップ宣誓書の運用が開始されることから、多様な家族の在り方を子どもたちが理解することの必要性について訴えました。
2、ペアレントメンターについて
発達障害の子どもは増加傾向にあり、ペアレントメンターが必要とされる場面が多くなるのではないか、また、相談機関や医療機関が込み合っていて、申し込みから面談等までに時間がかかるため、その間の支援策としても有効ではないかと、地域で子育て支援に関する活動をしている市民からご意見をいただいたことから市の考え等を質問しました。
ペアレントメンターは、専門機関による支援とは異なり、問題解決的な支援ではなく、同じ経験をした親として葛藤や不安に共感しながら、寄り添いと繋がりによる支援を提供するものとされている。共感性の高さから、過剰な支援に繋がるといった問題や特定のメンターに負担が集中するなどの問題も生じている。先行自治体の事例を調査、研究、東京都が実施している「ペアレントメンター養成・派遣事業」に関する情報提供を行うなど、制度の周知に努めて参りたいとの回答でした。
市は、令和令和5年度末までに児童発達支援センターを1カ所以上確保する目標を掲げていることから、併せて独自の取り組みを要望しました。
(ペアレントメンターとは、発達障害のある子どもの子育てを経験し、相談支援に関する一定のトレーニングを受けた親を指す。発達障害のある子どもをもつ親に対して、情報の提供や、自らの体験談を伝えることを通じて、共感的な支援を行う制度で、家族の支援に非常に効果があるといわれている。)
3、こども基本法成立に伴う市の対応について
令和5年4月1日からこども基本法が施行されました。これまでは、参加する権利として自己決定や自立、市民参加について国内法での規定がなかったため重要であると考え、市の捉え方や今後の施策にどのように展開していくのか質問しました。また、子どもの権利擁護のための相談機関の設置についての考えも質問しました。
子どもが意見を述べることや社会的活動に参画する権利を明確にうたった法律は、これまでになかったので、そういった意味では画期的な意味合いを持つものであると認識している。これまでも子どもの利益を中心に考えて施策を展開してきているが、今後はより丁寧に子どもの視点を取り入れていく必要があると考えている。市の子育て施策においても、一つの転換点を迎えたと言って良いと考えている。子どもの権利擁護のための相談機関は、すぐに設置するには課題が多いが、今後は子どもの視点をより強く取り入れた施策を多角的に展開していくことが重要であり、参考とさせていただきたいとの回答でした。
子どもの権利擁護のための機関の設置については、こども基本法の5年ごとの見直しとなっていることから注目していきたいと思います。市に対しては、「子育て施策」より「子ども施策」を展開してほしいと訴えました。
4、個人情報保護法改正に伴う市の対応について
改正法が令和5年4月1日から施行されることから市の対応について質問しました。
現在、条例に規定している内容の多くは、改正後の法律にも規定がされているが、一部、変更点もある。一部の事項については、地域の実情に応じて地方公共団体の条例で定めることができることから、見直し作業を行い、個人情報保護審議会からの意見を聞いたうえで条例案を議会に上程する予定との回答でした。
「条例要配慮個人情報」について、東京都パートナーシップ制度実施に伴い発生する要配慮個人情報についても条例で定めるよう要望しました。また、市民の多様性を考えれば新たな要配慮個人情報となり得るものがあった場合も、その都度適切に対応してほしいと要望ました。
令和3年度一般会計決算審査特別委員会
令和3年度一般会計決算については特別委員会を設置し、議長と監査委員を除く15名の委員で、3日間にわたって審査が行われました。
本会議最終日に賛成多数で認定されました。
以下のような質疑を行い、賛否の判断としました。
●行政評価の改善内容について
●公共施設等総合管理計画推進事務の市民との意見交換について
●広報事務の動画配信について
●職員研修事業の自己啓発活動助成金について
●中間処理事業のプラスチックごみ削減の取り組みについて
●輝き市民サポートセンター運営事業の地域デビュー応援隊について
●男女共同参画事業の子ども向けガイドブックについて
●予防接種事業の子宮頸がんワクチン接種について
●自殺対策事業の自殺防止街頭啓発について
●子育て世代包括支援センターの特定妊婦のルール化について
●子育てひろばについて
など
以下、決算に対する賛成討論
令和3年度も前年に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大による市民生活への影響が大きな年となりました。歳入においては、想定よりも影響が小さかったものの、市民税については減額となり、長期にわたり市民生活に影響が出ていたと感じております。歳出においては、新型コロナウイルス感染症対策関連の多くの事業が実施され、前年に続き事務量の増加に対応された厳しい1年であったのではないかと思っております。住民税非課税世帯等臨時特別給付金給付事業や低所得の子育て世帯生活支援特別給付金給付事業などでは、迅速な給付に努めていただきました。生活困窮者自立支援事業では、長引く新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための体制を整え取り組んでいただきました。
また、令和3年度は、行政評価の見直しと組織改正や事務分掌の見直しを行い、効率の良い行政運営へと改革されました。特に、今後、長期にわたって対応していかなくてはならない老朽化した公共施設の課題に対し、組織改正し「施設保全・改修計画」を策定されたことを評価しております。他にも、公共施設に関する継続的な市民との情報共有や意見交換の場を設けるよう改善され、オンラインでの開催ではありましたが地域懇談会の開催と、開催後もパネル展示によるシールアンケートを行うなど、市民の意見を聞く機会を持つようご努力いただいたことを高く評価しております。今後も様々な分野で取り組まれますよう要望いたします。
コロナ禍においては、いつもにも増して重要度が高くなっている子ども家庭支援センター事業では、保育所等の臨時休園が増える中、部内で連携して、支援を必要とする家庭への対応に取り組んでいただいたことを質疑の中で確認しました。また、特定妊婦対応のルール化を行い、子育て世代包括支援センターと子ども家庭支援センターの連携がさらに強化されたこと、その他の事業においても、産前産後を含む家庭の状況に応じたきめ細やかな支援を行っていただいたことも確認いたしました。多様な市民の生活の状況に対応できる子育て支援の体制を整え、対応されたことを高く評価し、今後も期待いたします。
教育行政につきましては、児童生徒への一人一台端末のさらなる活用のため、電子黒板や大型ディスプレイの学校への設置を進められました。個別最適化する学びと集団の中で培う協働的な学びのため、必要な設備を整えることが推進されました。これは、ICT教育が推進される中で重要であると考えております。今後も子どもたちが心と体への影響を考えながら、適切に端末を活用できるよう、学校への指導・助言を行っていただくよう要望いたします。
また、不登校対策やスタディ・アシスト事業、ふっさっ子の広場事業など、子どもたちを支え、様々な体験や人との関わりを増やせる事業を確認することができました。子どもたちの教育を受ける機会の確保と、成長するうえで欠かせない実体験の場として有効であると評価いたします。また、公民館においては、中止となった事業もありましたが、出来る限りの事業の実施や動画の配信等を行い、市民の学びの機会を確保してただきました。審査の中では、男女共同参画講演会の動画配信について取り上げましたが、今後も地域課題を庁内連携して取り組んでいただくよう期待いたします。
前年に引き続き令和3年度も新型コロナウイルス感染症の影響を受け、本来は大切にされるべき教育的な活動や文化的な活動などが進められないような状況になることもありましたが、大変ご努力いただいたと感じております。今後も、どのような状況にあっても、おとなも子どもも学ぶ機会が確保されるような取り組みに期待いたします。
以上のことから、令和3年度福生市一般会計決算の認定に当たり、賛成であることを申し上げまして討論と致します。
陳情
市民から「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書を国に提出を要望する陳情書」が提出され全会一致で可決、福生市議会として国に意見書を提出しました。
以下、陳情に対する賛成討論
選択的夫婦別姓制度については、1996年に法案提出の動きがありましたが、強い反対の意見もあり、その時には実現しませんでした。いつになったら制度の法制化が実現するのか、別姓、同姓どちらでも選択できる社会の実現を求めて、これまで裁判が起こされ、また、一向に動かない国に対して、法制化を求める市民の動きも活発になっています。
日本は1985年に国連の女性差別撤廃条約を締結しています。締約国は、差別撤廃のための措置をとることが求められます。国連は2003年、日本に対し夫婦別姓を認めない規定を差別的だと廃止を求め、2009年に再勧告、2016年には女性差別撤廃委員会による審査が行われ、3度目の是正勧告を受けています。日本は、勧告を実施するために取った措置を2年以内に提出するように求められ、2018年に報告を提出。それを受け、女性差別撤廃委員会が日本政府に見解の文書を送付しましたが、外務省が内閣府男女共同参画局に報告せず、2年以上も放置されていたことが、昨年2021年に発覚しました。日本政府の不誠実な対応に憤り感じます。国連は女性が旧姓を維持できる法改正などを勧告し、見解で追加の情報提供を求めていました。このように、国際的にも不平等が指摘されている現状があり、また、実際には90%以上の夫婦が夫の姓にしている現状があります。生活者ネットワークとしては、ジェンダー平等の視点からも制度を法制化すべきだと考えています。
本陳情では、その要旨から読み取れますように、市民の多様な暮らし方や多様な家族の在り方が存在する現代社会において、姓を選択できることの必要性を訴えています。生活者ネットワークといたしましても、多様な市民がそれぞれ自分らしく生きられるようにするため、また、様々な事情により事実婚を選択せざるを得なかった夫婦が不利益を被ることの無いよう、制度の法制化は必要であると考えます。
福生市議会といたしましては、2010年に「選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書」を国に提出していますが、本陳情を採択し、あらためて「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書」を提出すべきだと考えます。
以上のことから、本陳情に賛成であることを申し上げまして討論と致します。