生きづらさを生きていく。

7月は「社会を明るくする運動」強調月間です。

「社会を明るくする運動」は、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め犯罪や非行のない明るい社会を築くため全国的な取り組みとして行われ、今年で72回目となります。

強化月間に先立ち、令和4年度第72回社会を明るくする運動福生地区推進委員会が開催されました。
(6月30日 市民会館小ホール(つつじホール)にて)
推進委員会は、市と教育委員会、市議会、社会福祉協議会、警察署、青少年育成地区委員会、民生児童委員協議会、公立小中学校、PTA連合会、保護司会、更生保護女性会など、市内の24団体等が参加しています。

内閣総理大臣メッセージの伝達、福生市長・市議会議長のあいさつの後、西多摩地区保護司会福生文区長から、趣旨説明がありました。
今年のテーマは、昨年に続き「生きづらさを生きていく」
刑法犯全体は減少していますが、約半数が再犯。再犯防止がとても大切。
刑罰は重要ですが、再犯を防ぐために、立ち直りを決意した人を助けることも大事だとのお話が心に残りました。
寄り添い支えていくことで、生づらさを抱えながらも生きていこうとする人が、地域で孤立することをなくしていけるのではないかと思いました。

「再犯防止を推進する支援とは~自立準備ホーム運営から見えてくる課題~」と題し講演が行われました。
講師は、(株)生き直し代表取締役で一般社団法人生き直し代表理事の千葉龍一さん。
大学生の時に自身が運転する車で事故に遭い、助手席にいた友人を亡くしてしまったそう。
おおぜいの仲間に支えられ、自分の命は誰かのためにあるべきだと、出所者の支援に携わるようになったそうです。その後、自宅を改装して自立援助ホームを立ち上げ、現在は男性寮3施設、女性寮4施設を運営されています。

「もし、自分の親族が罪を犯してしまったら。」
「もし、おとなりさんのお子さんが、罪を犯してしまったら。」
自分はどうするか、考えながら聞いてほしいとお話しされました。

刑務所では、
私語禁止で規則正しい生活をしているそうですが、そのせいでコミュニケーション能力が低下してしまっていたり、自律的な行動をとることが出来なくなってしまう人が少なくないそうです。また、刑務作業費が少ない、資格取得してもその記載から刑務所にいたことが分かってしまうなど、出所した人が社会になじんだり仕事をしたりすることのハードルを上げてしまっているようです。

また、出所した人の住まいの確保として自立援助ホームは必要ですが、住民の反対で施設がつくれなかったり、運営も経済的にも厳しい状況にあるようです。
他にも、就職での支援となる「協力事業主」の登録も少なく、認知度もまだまだ低いことがわかりました。

千葉さんは講演の最後に、
常に対等な関係で接し、よく話を聞いて次の支援に活かしたい。
一人ひとり違うのだからケースに当てはめない。
困難を抱えた人は、ずっと傷ついている。現状を知り、困っている隣人に暖かくできる社会をつくることが、明るい社会になっていく。
とおっしゃっていました。

最初に、「もし、・・・」と呼びかけられたことで、より一層考えながら講演を聞くことが出来ました。

福生市でも、令和3年3月に策定された第6期地域福祉計画に福生市再犯防止推進計画が内包されています。
今年で72回となりますが、社会を明るくする運動を知らない人はまだ多いのではないでしょうか。
駅頭での広報活動も行われていますが、市民の理解がより一層広がるよう機会を見て発信していきたいと思います。