平成30年第4回定例会 12月議会報告

12月4日から21日まで福生市議会第4回定例会(12月議会)が開かれ、本会議では一般質問に取り組みました。

今年は災害の多い年でした。そして、子どもへの虐待やDVによる妊婦の死亡事件、高校生が学校で出産、19歳の女性がトイレで出産、コインロッカーから新生児の遺体が発見される・・・小さな命が奪われる事件が多く聞かれる年でもありました。女性と子どもの人権が大事にされていないことに怒りを覚えます。女性と子どもの人権が守られるよう質問のテーマを考えました。

1、幸せを感じることのできる妊娠・出産・子育てについての(2)点目「望まない妊娠について」では、DVによる妊娠も問題であることから、避妊に協力しないことはDVに値することを男性も女性も知ることが大事だということを訴えました。また、犯罪に巻き込まれて妊娠することを防ぐために、ワンストップで相談できる窓口の周知も訴えました。刑法上では性交同意年齢は13歳で、裁判等では同意していない、抵抗したということを証明しなくてはなりません。これについては年齢の見直しが必要ですが、性交同意年齢が13歳であるならば、実質的な性教育もそれ以前、小学生から年齢に応じて進めなければならないと考えます。

2、災害時に安心して過ごすことのできる避難所についての(3)点目「女性や子供への支援について」の質問で、問題になっている避難所での性犯罪の説明をしました。「被害に遭った女性が同じ被災者から、あなたは若いんだから仕方ない。我慢しなさいと言われた。」「寝ているとき毛布に入り込まれた。」との説明をしたとき、笑い声が聞こえました。そんなことがあるのかと・・・
平時でも性犯罪の被害者は被害を訴えにくい現状があります。ましてや災害時ならなおさらです。
避難所での性犯罪が増えることがやっと認識されてきましたが、福生市議会においては、まだ認識が足りないのではないかと感じました。被害者も女性だけではありません。10代から60代まで年齢も様々です。窃盗などの犯罪も大きな問題ですが、性犯罪、特に性暴力(レイプ)は「魂の殺人」と言われるほど重篤な人権侵害です。まだまだ私の訴え方が足りないと反省しました。

 

一般質問

1、幸せを感じることのできる妊娠・出産・子育てについて
(1)特に支援の必要な妊婦への支援について
(2)望まない妊娠について

福生市では核家族やひとり親家庭の割合が高く、妊娠期から適切に支援してくことが虐待を防ぐことにつながるとの考えから、その支援について質問しました。
また、全国で10代での出産は毎年1万件超、人工妊娠中絶は16万件超である現状を考え、妊娠を前向きにとらえられない妊婦への対応についても質問しました。
福生市では、妊娠届出時にすべての妊婦と面接し支援プランをつくり母子手帳を発行します。特に支援が必要と判断される妊婦は、外国人・高齢初産・10代の妊娠・未入籍・経済難など9項目に分かれていて、個別プランを作成し支援します。今年度10月末日までの人数で、特に支援の必要な妊婦の割合は全体の約34%で、そのうち未入籍が23%、その約7割が10代での妊娠でした。
面接時に行なうアンケートの回答で、妊娠を前向きにとらえられないケース(望まない妊娠)は全体の1割強で、経済的な理由や職場への気遣いのほか、想定外という理由が最も多いことがわかりました。どのような状況で妊娠したかに関わらず、妊娠中から出産後まで、一人ひとりに寄り添った支援を進めています。
性教育の充実や若い世代にライフプランを考える機会を持つこと、子ども家庭支援センターとの連携の強化等を要望しました。

 
2、災害時に安心して過ごすことのできる避難所について
(1)トイレ機能の確保について
(2)居住空間やプライバシーの確保について
(3)女性や子どもへの支援について
(4)障がい者への支援について害時に安心して過ごすことのできる避難所について

東日本大震災の後、避難所の生活環境について海外の支援者から、国際的な生活環境基準を下回ると指摘されたました。これを受け、平成28年度に国のガイドラインが見直されました。その中では※「スフィア基準」を参考にすべき国際基準だとしています。
この基準に近づけることが災害関連死を防ぐことにつながること、また、これまでの大規模災害では、その後の避難所での性犯罪やDV被害が増加すること、子どもの心のケア、障がい者への支援が課題となっていたことから、市の備えについて質問しました。
人間の尊厳を守るため、避難所でもトイレ機能の確保はとても重要です。市の計画では、75人に1基の割合で備蓄することになっていますが、国の基準値(50人に1基の割合)に近づけることを要望しました。これまでの大規模災害で、避難時にエコノミークラス症候群の発症に注意しなければならないことがわかっています。その患者はトイレを我慢しがちな女性の方が多い傾向にあることから、トイレ設置の男女比を1対3(スフィア基準)に設置することを要望し、これについては各避難所運営連絡会に周知することになりました。
性犯罪を未然に防ぐ取り組みやDV防止のための啓発については、犯罪抑制の観点からポスター掲示を要望しましたが、不安を煽るとの見解から女性へのチラシ配布を検討するのみにとどまりました。
子どもの権利を基本とした避難所運営や、他自治体を参考にした「障がい者支援ガイドブック」の作成を要望しました。
※スフィア基準-アフリカ・ルワンダ難民キャンプで劣悪な生活環境から多くの人が亡くなったことを受け、国際赤十字が中心となって20年前に作った国際基準。現在は、災害時の避難所でも用いられている。