子どもの権利としての居場所づくりを考える
「子どもの権利としての居場所づくりの展望-遊ぶ権利、学ぶ権利、自己形成の権利などの視点から」と題した、子どもの権利条約総合研究所が主催する、公開パネルディスカッションに参加しました。
(5月17日(日):東洋大学赤羽台キャンパス)
○パネラー
喜多明人(子どもの権利条約ネットワーク代表・早稲田大学名誉教授)
西野博之(認定NPO法人フリースペースたまりば理事長)
天野秀昭(認定NPO法人プレーパークせたがや理事)
○コーディネーター
甲斐田万智子(認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights)代表理事・広げよう!子どもの権利条約キャンペーン共同代表)
野村武司(子どもの権利条約総合研究所共同代表)
○特別報告
嶋村仁志(一般社団法人TOKYO PLAY)
遊ぶ権利と子ども施策の展望―イギリス遊び政策事例などから
川野麻衣子(NPO法人北摂こども文化協会)
多様な学びと社会教育の課題などから


会場の様子
「子どもの現実と向き合う」として、子どもの自死の増加(532人 2026年1月 暫定値/厚労省)、自己肯定感の低下(自己評価:日本45% 欧米・韓国70~80%)、子どものマイノリティ化(総人口の10.8%)の現状では、1人の子どもが9人のおとなと向き合う時代で、おとなに決定権があり、絶対的におとなが優位な社会となっていることから、おとなへの忖度や偽りの自己形成へとつながっていること、「自分」を生きることが困難な現実がある、また、いじめ77万件(小学生61万件/低学年中心)、子ども虐待22万件、不登校35万件(高校含む40万件)の現状から、居場所を通した子どもの自己決定権と自己形成権の確保、安心して生きる権利・子どもの遊ぶ権利・ありのままの自分でいる権利・子どもの学ぶ権利を保障した居場所の確保について問題提起されました。
子どもの居場所の公設民営化、無料化等を進めてきた天野氏と西野氏から、公的支援の現状と課題について、「幼稚園・保育園等で園庭がプレーパーク化しているところでは、子どもの様子が変わってくる、先生も保育が楽しくなる、ケガが減る、自分と他者の安全を守れるようになる、子どもの発達・成長する権利が守られる。遊びを通して関係調整能力が培われていく。育ちあうための大事なトラブル・失敗の場を、おとなが奪ってはいけない。」
「フリースクールは、もともとは支え合いの場で、スタッフと利用者・保護者は対等な立場であったが、公設民営の無料の施設では、公的サービスの提供という意味合いが強くなり、サービスを受ける側となった。本来であれば、主体的に活動する主人公であるはずが、当事者意識の欠如になってしまっているのではないか。」とのお話がありました。また、現在の学校教育の現場についても、子どもの権利の考え方を教員研修等で学ぶべきとし、学ぶ・遊ぶ・失敗する・意見表明の権利を守るべきとのことでした。異質・異年齢が混ざると豊かに育つ、同質・同年齢の集団は、いじめが発生しやすくなるとのこと。子どもの個性や多様な学びが尊重されようとしているなかで、学校が子どもを真ん中に、本当の意味での「子どもが主役」となる学校づくりが必要であると思いました。また、学びの場であるだけでなく、子どもの居場所としての学校がどのようにあるべきか考えていくことが必要ではないかと思いました。
子どもがマイノリティ化していることで、子どもは常におとなの意図の中にあり、おとなの目から逃れることが難しい、子どもの自由な時間があまりにもなさすぎる現実があります。遊び場は、社会のシステムとして設置されますが、中は自由でシステム化されない場となることが理想です。効率的に、安全に、清潔に、という社会のシステムに子どもの居場所がどう抗えるか、「ごちゃまぜ社会」で子どもは育つとの言葉に共感しました。
パネルディスカッションでは、子どもの遊びや社会教育の場、フリースクール、学校現場などの子どもの居場所が、子どもの権利を守る居場所となることの重要性を、条例等を設置し先進的に取り組んでいる自治体や海外の事例も交えながら学ぶことができました。子どもの本質は、昔から変わっていないと言われますが、なぜ子どもが生きづらい社会となっているのか、変わるべきは子どもではなくおとな達と、おとながつくってきた社会にあるとあらためて思いました。
福生市においても、子どもの権利を守る取組が進むよう活動していきます。

甲斐田さん・天野さん・西野さんと生活者ネットの仲間と

