東松島市・石巻市 視察報告

2015年11月10日 14時20分 | カテゴリー: 教育, 防災

市内には、さまざまな支援の手があります

石巻市内  あの惨事を忘れない

昇降口には放射線測定器がありました

二校が合併し、統一された新しい体操着

10月21,22日の二日間、秋色が濃くなり始めた宮城県へ、所属する総務文教委員会行政視察に行ってきました。

視察地・①宮城県東松島市  
②宮城県石巻市

目的・コミュニティ・スクールおよび防災教育について
   被災後の児童・生徒の心のケアと不登校対策について 

1021日(水)東松島市鳴成瀬未来中学校
●コミュニティ・スクール事業について

1・導入した背景
 震災で崩れかけた地域コミュニティを回復させるため、学校が地域再生の一翼担うこと、生徒を学校・保護者・地域全体で育て、生徒自身も地域に貢献するという気持ちを持たせることが大切であるとの考えから、「テーマ・コミュニティ(生徒)」を核として地域と密接に連携していくため制度を導入しました。

2・導入にあたって(推進委員会について)
 平成264月推進委員を設置。委員は、PTA・地域・学識経験者・教育委員会から選出され、校長・教頭を合わせた10名で構成されています。3回の委員会を実施し、「コミュニティ・スクールの構想」と「平成27年度学校経営方針」を同時に策定。研修会、アンケート調査、先進校視察、保護者・地域への啓発活動を行いました。

3・学校運営協議会について
 協議会委員は、PTA・地域・商工会・漁協・学識経験者・教育委員会から選出され、校長を合わせた11名。年4回の協議会を実施し、教育活動や評価について報告を受け、報告事項と学校経営について等を協議します。

4・学校経営と地域連携における活動の実施について
 平成27年度は、環境整備での協力者を募りました。毎年内容や人員を増やし、最終的には「スクールサポーター人材バンク」を設立します。双方向の連携を目指し、学校からも地域の活動(行事)に参加します。

●防災教育について

1・防災減災教育の実施について
 小中学校が連携し、9年間を見据えた防災・減災学習計画(学年別・項目別)の作成・実施します。平成27年度東松島市総合防災訓練では、小中学校と地域(自主防災組織)が連携し、在宅時に災害が発生したとの想定で、訓練を行いました。(在校時と在宅時を隔年とする)災害時に学校にいない場合や保護者・地域と連携することで、子どもたちに自ら命を守ることを考えさせたり、多くの保護者の参加を促します。また、自主防災組織と学校の共通理解を進めます。
 昨年度、市の防災課と協力して教職員の研修会を開き、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレンからPFA(心理的応急処置)の初歩的な研修を行いました。
 地震や津波等から身を守る方法や避難場所が記された「命の手帳」を作成し、小中学生が携帯しています。
 大人になった生徒が自分の子どもに教える「防災文化」づくりを目指す。 

 

1022日(木)石巻市役所
●被災後の児童生徒の心のケアについて

 

1・被災当時の児童・生徒の心の健康状況及び現在の状況について
 学校そのものの被害だけではなく、家や家族、友達をなくした児童・生徒も多く、学校再開は1年間は無理であろうと予測されましたが、元気に学校に通ってくる多くの子どもたちがいまし。しかし、無理をしている様子が見られました。      現在は、水泳の授業等、通常の授業中に震災当時を思い出し、パニックに陥る子どもも見られます。また、仮設住宅でのダニやカビの発生等による、ぜんそくの症状がみられるところもあります。

2・教育機関における具体的な心のケア対策としての取り組みについて
 すべての小中高校に、スクールカウンセラー活用事業を実施しています。児童生徒だけでなく、保護者や教職員も相談できます。
 スクールソーシャルワーカー活用事業を実施しています。家庭へ出向いていき、不登校対応を中心に、暴力行為や児童虐待などの問題行動の早期対応や解決を図っています。

 

3・心のケアについて、地域や保護者と連携支援体制について
 石巻市園児、児童・生徒の心のケア推進業務を実施しています。(千葉県国府台病院による医療的支援)心に深い傷を受けた園児、児童・生徒には長期的な支援が必要。児童精神科医の巡回相談と健康実態調査の実施し、支援や連携体制づくりの強化、教職員の研修を行っています。調査結果を各学校にフィードバックし活用。今後は調査だけでなく、踏み込んだ相談体制づくりに向けて相談中。
 
石巻市震災こころのサポート事業を実施しています。児童生徒を震災で亡くした遺族に対して、県教育委員会と協力し「石巻震災こころの支援室」を設置し、個別相談や訪問等の支援活動を行っています。

4・不登校対策の取り組みについて(被災誘因のみに限らず)
 不登校児童生徒対応協議会を設置、スクールソーシャルワーカーを配置しケース会議をもち個別に対応しています。不登校児童・生徒のための教室「けやき教室」を設置。もともと不登校傾向にある児童生徒が多い地域ですが、震災後はさらに増えました。現在は、減少傾向にあります。

 

5・心のケア(不登校対策等)の今後の課題について
 震災から4年半が過ぎ回復してきている反面、専門的な医療措置を必要とする児童・生徒もいます。児童精神科医が市内には居らず、国府台病院に頼らざるを得ないのが現状です。
 
不登校対応相談員を置いていますが、2名しか居らず足りないのが現状。臨床心理士等の資格を持った人材を、どの自治体でも必要としているので慢性的に不足しています。
 子どもと向き合う教職員の心のケア。
 仮設住宅等で避難生活を送っていたり、経済的に苦しい家庭も少なくはありません。保護者への支援も必要。虐待で保護される子どもが増加傾向にあります。
  仮設住宅からスクールバスが出ていますが、乗り遅れると登校の手段がなく、特に不登校傾向にある児童・生徒は乗り遅れることが多くあります。
  支援のための「けやき教室」の設置は市内1カ所のため、保護者の送迎が必要になっています。

 

●講演「東日本大震災に思う」講師・元石巻市教育委員会教育長 阿部和夫氏

 

   DVD鑑賞と解説

 災害時の臨機応変な対応、特にマニュアルを超えた状況での判断と決断が大切です。その場にいる職員で対応しなければなりません。時と場合によって、誰でもがその判断を迫られる可能性があります。一人ひとりが学校経営の一翼を担っているという意識が大切で、「目標達成機能」と「集団維持機能」のバランスのとれた学校が、災害時や緊急時に臨機応変な対応ができることになるでしょう。

 東松島市立鳴瀬未来中学校では、「生徒」を中心としたテーマ・コミュニティ
を築くことで、地域再生のためのコミュニティ・スクールを実現させています。
震災から4年半が過ぎ、まだ心の傷が癒えない子どもたちと支える教職員。そ
して、学校を支える地域と、それを心のよりどころとしている地域住民。コミュニティ・スクール制度を導入することで、地域コミュニティも再生しつつありました。今後は「地域人材バンク」等、学校に関わる人が増えることで、さらに制度導入の効果が見えてくることでしょう。
 防災教育では、地域(自主防災組織)と学校が連携して防災訓練を行うことで、生徒がどんな場面で災害にあっても対応できるような訓練になっていると感じました。さらに、保護者をまき込むことで地域と学校の一体感が出ているように感じられました。
 福生市でも来年度(第四小学校)からコミュニティ・スクール制度が導入されます。地域での人と人とのかかわりが希薄になってきている現代において、子どもを中心としたコミュニティができることは、人とのつながりや地域で子育てすること、子どもたちが地域愛を持つこと等が期待できます。防災教育はもちろん、地域の力を学校で活かすことは、様々な場面で有効であると考えています。また、この度の視察でも確認できたと思います。
 石巻市での不登校対策では、「予防的取組」「児童生徒への対応」「保護者との連携」の3つの取り組みがなされていました。 
 
不登校児童生徒対応協議会は、各機関が連携し、方向性を同じくするのに有効であると思われます。
 支援教室への登校手段や、臨床心理士等の人材の確保については、福生市でも同じ課題であると感じました。

 この度の視察では、家庭・地域・学校が様々な場面で連携し子どもを育て見守ること、関連した機関を有効に機能させることが大切であると感じました。ここで得たものを、今後の活動に活かしていきたいと思います。