令和6年第3回定例会 9月議会報告 その1

9月3日から27日まで、第3回定例会9月議会が開催されました。

本議会では、令和5年度一般会計決算審査特別委員会が設置され、4日間にわたって審査が行われました。
令和5年度は、「子ども政策課」が新たに設置されました。福生ネットでは、子ども家庭部に2課では業務の幅が広く、若者(青少年)施策等に十分に対応できないと考え、1課増やすことを要望していました。

令和6年度一般会計補正予算(第3号)では、羽村特別支援学校のセンター機能を活用した「インクルーシブ教育システム体制整備推進事業」や「小学校教科担任制等推進事業」などが可決されました。
本会議5日目(最終日)の各常任委員長からの審査報告で、本補正予算のうち、新型コロナワクチン接種事業について、委員長に対する質疑を行いました。
委員長からの審査報告では、新型コロナワクチンの接種可能な指定医療機関で取り扱うワクチンの種類についての報告がありませんでした。どの医療機関でどのワクチンを取り扱うかという質疑、説明はなかったのかと確認しました。
現在、新型コロナワクチン接種者(mRNAワクチン)の予防接種健康被害救済制度の審査結果では、全国では健康被害認定は8,000件を超え、死亡認定は800名を超えています。
新たに国で承認されたワクチン・コスタイベは、自己増殖型レプリコンワクチンで、安全性を問題視する専門家もいます。
新型コロナワクチン接種は慎重な判断が必要と考えますが、その判断をするための情報をしっかりと出してほしいと訴えました。

委員になっている建設環境委員会では、令和5年度下水道会計決算審査が行われました。
下水道の水質検査について質問し、横田基地からの排水もあることからPFASについても検査を検討した方がよいのではないかと意見しました。

一般質問

1、グリーンインフラの推進について
グリーンインフラは、自然の機能や仕組みを活用したインフラ整備や社会のあり方を目指す取組です。グリーンインフラを推進することは、脱炭素、気温上昇の抑制、地下水保全、大雨による内水氾濫の抑制、生物多様性の保全、良好な景観形成など、多岐にわたる多くの効果が期待でき、持続可能で魅力あるまちづくりに必要であると考えます。
福生市都市計画マスタープランにも、『環境と調和したまちの実現』に関する課題に対応するため、「豊かな自然環境の適切な保全・創出によるグリーンインフラの推進」をその一つに挙げ、まちづくりの目標の中にも謳われていることから、グリーンインフラの推進について質問しました。また、手法の一つである「雨庭」(三原智子ホームページ 2024夏の「気候セミナー」に参加しました』をご覧ください)についての考え方等について質問しました。

令和5年度に改定した「福生市緑の基本計画」などの都市計画に関連する計画にその考え方を取り込んだ上で、市が抱える地域課題を解消するための具体的な方針を定め、その方針に基づいた各種施策を展開することで、グリーンインフラの推進を通じたまちづくりの目標の実現に取り組んでいるところ。雨庭については、その効果等を含めて先進自治体の取り組みを情報収集していきたいと考えいるとの答弁でした。

新たな視点としての取組として情報収集し、公共施設や公園だけでなく、個人宅や商業施設の駐車場など、民間事業者や市民との協働で取り組むよう意見しました。

2、児童発達支援センターについて
令和6年4月に開設された福生市児童発達支援センターは、相談支援、児童発達支援、地域支援の3つの事業を柱として、発達に課題のある児童や保護者に対して支援を実施しています。
利用する子どもや保護者、関係するすべての人にとって利用しやすい体制を整えていく必要があると考えています。
こども家庭センターや保育所等との連携、就学に関する教育委員会との連携など、児童発達支援センターという機関が増えたことにより体制が強化された一方で、見直しも必要になってくるのではないかと考えます。スタートしてまだ5か月ほどですが、3つの事業の現在の状況と見えてきた課題や今後の進め方、体制づくりの方向性等について質問しました。

相談支援については、少しずつ周知が進み、相談をされる方が増えてきている。満3歳から就学前の児童を対象とした、集団で療育を行う児童発達支援については、保育施設等と併用し、週2~3回通所している方が多く在籍しており、徐々に利用希望者が増えてきている。関係機関との連携や支援及び家族支援、講演会等を行う地域支援については、6月には保護者及び保育施設等の保育者などを対象とした講習会、8月には保育施設等の保育者などを対象とした研修会を実施し、発達段階をとらえた保育等について理解を深めたところ。また、相談員が市内保育施設等に訪問、相談支援を行っていることに加え、支援内容を理解することを目的に、市内保育施設等の保育者などに児童発達支援センターを見学していただく機会を設けた。さまざまな御意見や御要望のほかに期待の声もいただいたところ。
これまでの中で見えてきた課題や今後の進め方、方向性については、1点目としては、児童発達支援に関する中核機関としての役割で、これまで子育て世代包括支援センター係や教育相談室に臨床心理士等を配置し、乳幼児期から就学にむけて発達に支援を要する子どもと保護者に対して切れ目なく支援を行い、組織間の連携を図ってきたが、今後は児童発達支援センターがその中核機関としての機能を担うこととなりる。少しでも早く、スムーズな連携を図れる体制を作っていくことが課題である。
2点目としては、児童発達支援の通所時間についてで、現在のところ10時から15時となっており、保護者が就労している場合は、仕事を休み、通所させなければいけなくなる可能性もある。また、これまでいただいた御意見の中には保育所等からの送迎をしてほしいとの声もある。しかしながら、児童発達支援では、保護者に学んでいただくことも子どもの発達支援という意味では非常に重要であると考えており、「親子あそび」という関わり方を学ぶ大切な時間も設けていることから、児童発達支援センターの本来の目的を押さえつつ、利便性等にも配慮しながら、今後どのように事業展開していくのかが課題であるとの回答でした。

保育者の意見の中には「保育所にあるもので環境を整え、対象となる子どもにしてあげられることがあれば専門職から教えてもらいたい」などの意見があり、心理士や作業療法士等専門的な立場からの助言等の支援を求められていることもわかりました。
作業療法士の保育施設等への出向支援について提案したところ、検討していきたいとの回答でした。
ぜひ、実現してほしいと思います。(三原智子ホームページ 作業療法士(OT)からみた子どもの遊びと発達をご覧ください)

3、副籍制度の充実について
ノーマライゼーションを広げ、インクルーシブ社会の実現に向けて様々な取組を進めることが大切であると考えていますが、その実現のためには、子どものときから、障害のあるなしに関わらず、地域でともに過ごすこと必要であると考えています。
福生市特別支援教育プログラムでは、福生市立学校に通う子どもも、特別支援学校に通う子どもも、福生のまちの将来を担う「ふっさっ子」として、共生社会の実現を目指し、副籍制度の充実を掲げています。
「多様な学びの場」で個別のニーズに合った教育を受けると同時に、共に学ぶ場を実現していくことはとても重要であると考え、副籍制度の現状について質問しました。

令和2年度に、「福生市副籍制度活用連絡会」を設置。本連絡会は、小中学校の管理職及び都立特別支援学校の代表者、市教育委員会の関連部署等で組織し、「副籍制度の活用に関すること」、「交流活動の実践に関すること」等を所掌事項として協議を重ねている。
令和5年度の交流活動の取組状況は、地域指定校の授業や学校行事等に参加する「直接的な交流」が3件、学校だよりや学級だよりの交換等を中心とする「間接的な交流」が12件。
直接的な交流の具体的な例として、都立特別支援学校の児童が、市立小学校の図画工作科の授業に参加し、作品づくりを行った。その他には、市立小学校1年生のクラスの朝の会において自己紹介を行った事例や、市立小学校の愛鳥活動で巣箱の観察を行った事例などがある。今後も、副籍制度の充実を図っていくとの回答でした。

特別支援学校に在籍している児童生徒のうち、副籍交流を希望している児童・生徒の割合は、令和5年度の実績で、小学校児童は52%、中学校生徒は38%とのこと。
また、間接交流を行う際の例として、学年だよりを当該児童に届ける際に、幼少期の頃に仲の良かった児童に届けさせるなど配慮しているとのことでした。
副籍を希望しない理由や実際に交流を行う際の合理的配慮について、学校と保護者、児童・生徒の希望を十分に聴き、協議する必要があると思います。そして、多くの児童生徒にこの制度を活用していただきたいと思っています。
2022年に開かれました国連の障害者権利委員会では、日本の分離教育を中止するよう勧告が出されました。分けない教育をしていくことが望ましいと考えますが、すぐに制度が変わるわけではありません。先ずは今ある副籍制度を充実させて、地域の子どもたちが、障害の有無にかかわらず地域の学校で学べる機会を守り、生かしていただきたいと訴えました。

4、誰もが利用しやすい図書館について
障害があっても高齢になっても、全ての人が読書を楽しむことができるよう読書環境を整えていくことが必要であると考えます。
これまでに、障がい者や高齢者に対するサービスをどのように実施してきたか、また、読書バリアフリー法(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律)に基づいた新たな取組について質問しました。

福生市立図書館基本計画において「市民一人ひとりの個性を大切にし、生涯にわたる自主的な学習を支える図書館」を目標の一つとして掲げ、障害のある方や高齢の方にとっても、利用しやすい図書館を目指して、事業を展開している。
具体的なサービスは、身体障害者手帳2級以上など、図書館への来館が困難な方の御自宅まで、職員が資料を直接お届けする宅配サービスや、視覚障害の方を対象に、点字・録音資料を郵送するサービスを行っている。資料は、市立図書館所蔵の他に、全国の点字図書館や公共図書館が所蔵する資料についても、提供することができる。
また、身体障害者手帳の有無を問わず、高齢等で字が読みづらい方へのサービスとして、通常の活字よりも文字のポイントが大きい、大活字本を御利用いただくことができる。
読書バリアフリー法に基づいた新たな取組については、令和6年1月に「ふっさ電子図書館」を開設し、個人所有のパソコンやタブレット等から、電子書籍を御利用いただけるようになった。文字の拡大機能に加え、電子書籍の中には、音声での読み上げ、文字と背景色との反転機能など、高齢の方や字が読みづらい方にとって、読みやすい機能が備わっているものがある。
さらに施設面では、中央図書館がリニューアルオープンし、エレベーターの新設やスロープの設置、トイレなどのバリアフリー化を行った。また、新たに福祉バス「たなばた号」の乗り入れが開始されるなど、環境整備を行った。今後とも、誰もがいつでも読書に親しみ、心豊かに暮らすことができるよう、本市における図書館の充実に取り組んでいくとの回答でした。

特別な配慮を必要とする子どもも含めたすべての子どもたちに読書の楽しみを保障するために、点字付きの絵本やLLブック(やさしくて短い文章と写真や図、ピクトグラム等を使って、わかりやすい工夫がされている)などアクセシブル(製品や環境に様々な工夫を施すことによって、より多くの人々が利用しやすくする)な本を集めた「りんごの棚」の設置状況について確認したところ、武蔵野台図書館に設置され、中央図書館でも設置を検討しているとのことでした。
学校図書館も含めた全館での設置を要望しました。
また、障がい者サービス等のわかりやすい周知のため、図書館ホームページの見直しも要望しました。

令和5年度一般会計決算審査特別委員会

令和5年度一般会計決算については特別委員会を設置し、議長と監査委員を除く17名の委員で、4日間にわたって審査が行われました。以下のような質疑を行い賛否の判断としました。
また、本会議最終日に賛成討論を行い、賛成多数で認定されました。

●「人権の花運動」「こどもからの人権メッセージ発表会」等の内容について
●サニタリードライブ(生理用品の無償配付)の取組状況について
●総合窓口の業務委託について
●福生・羽村・瑞穂地域の魅力を結ぶプロジェクト協議会の取り組み内容について
●容器包装プラスチックの処理委託料と処理単価について
●審議会等における女性委員の割合について
●出産・子育て応援ギフト委託料について
●ふっさっ子の広場と学童クラブの一体型放課後対策の取組について
●多様な他者とのかかわりの機会の創出事業について
●スクールサポートスタッフや副校長補佐、部活動指導員の配置について
●学校トイレへの生理用品設置について
●福生市立学校コミュニティ・スクール総会について
など

賛成討論

令和5年度は、5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が2類から5類となり、人や経済がようやく動きだした年となりましたが、エネルギーや食料品価格の高騰など物価高騰に対応するための予算が多く組まれ、新型コロナウイルス感染症対策から物価高騰対策へと対応の変化した年であったと決算審査からも感じております。

審査においては、RPAやAI音声テキストの導入、窓口業務の一部を民間事業者へ委託するなどにより、適切に業務の効率化が図れたことを確認いたしました。この業務の効率化は、職員が本来必要な業務を行うための時間確保につながり、市民サービスの向上につながったものであると評価いたします。また、組織改正により「子ども政策課」を新たに設置するとともに、「生涯学習推進課」の体制の見直し等がありました。子ども政策課においては、新たな取組として、一体型放課後対策事業を実施する事業者のみとしていた連絡会の参加を、学童クラブ、ふっさっ子の広場を運営する全事業者に拡大し事業者の連携を図ったとのことでした。校内設置の学童クラブとふっさっ子の広場で異なる事業者があるという課題の改善につながったものと考えます。生涯学習推進課においては、新たに「学校運営協議会に関すこと。」を加え、コミュニティ・スクールの事務を所管し、総合的・組織的な学校支援活動や地域人材との調整、コミュニティ・スクール総会の充実等、その効果についても審査の中で確認することができました。社会の変化や課題解決のために組織を見直し対応されたことを評価いたします。

教育行政につきましては、今申し上げましたコミュニティ・スクール運営事業においての充実のほか、学校マネジメント事務による副校長や教員の負担軽減のための人材確保が適切にされたことを確認いたしました。また、小学校保健管理事務・中学校保健管理事務による生理用品の学校トイレへの設置が進んだことは、女子児童・生徒の気持ちに寄り添う取組であると評価いたします。他にも、不登校対策事業としての校内別室指導支援員の配置や教育相談事業による相談体制の充実など、多様な子どもたちに寄り添う事業を審査を通して確認し、今後の取組にも期待するところです。

以上のことから判断し、令和5年度福生市一般会計決算の認定に当たり、賛成であることを申し上げまして討論といたします。