令和5年第4回定例会 12月議会報告

12月5日から22日まで、12月議会が開催されました。

一般会計補正予算第6号では、市庁舎や一部の市立学校等の光熱水費の高騰に伴う増額や子ども家庭センター設置工事、令和6年度から開始されるごみ総合受付センター事業委託料の債務負担行為など合わせて5億2154万6,000円が可決されました。

また、扶桑会館や市民会館、熊川地域体育館及び福生地域体育館、福生駅西口駐車場、自転車駐車場の指定管理者の指定についての議案があり可決されました。

所属する建設環境委員会の様子

一般質問

1 地下水の有機フッ素化合物(PFAS)の調査について

これまでに生活者ネットワークでは、東京都にある他自治体の生活者ネットワークが連携し、水道水の安全や地下水の保全に取り組んできました。福生市内にも湧水や井戸があり、豊かな地下水に恵まれた地域でもあります。
有機フッ素化合物(PFAS)は長年、撥水材や表面処理剤などあらゆる製品加工分野で使用されてきました。泡消火剤については、空港や基地など全国に約339万リットル残されていることが、環境省のまとめでわかったとの報道もありましたが、交換費用の負担などから廃棄が進んでいない現状もあり、長期的に環境への影響が心配されます。3種類の有機フッ素化合物(PFAS)は規制されたものの、長年にわたって使用されてきたため、各地で環境への影響が報告されています。
市内の湧水や地下水について市は現状を把握するべきだと考えますが、この度、市内地下水の有機フッ素化合物(PFAS)の調査をされるとのこと、その詳細について質問しました。

市民の声を受け不安を解消する取り組みが必要と考え、市内地下水のPFASに係る現状を把握することを目的とした調査を行う。調査項目はPFASのうち、国により暫定目標値が示されているPFOS及びPFOA。市内の状況を広く把握するため、7つの小学校区単位を目安に1地点ずつ、その他湧水等を選出し計10箇所を調査する。調査結果は、風評被害等を考慮し調査地点は公表せず町名単位で公表したいと考えている。公表は1月末頃の予定。なお、継続した調査を実施したいと考えているとの回答でした。

 

2 化学物質の影響から健康と環境を守る取組について

化学物質は私たちの生活を豊かにし、また、便利で快適な毎日の生活を維持するうえで欠かせないものとなっていますが、これらを使用することで、直接体内に化学物質を取り込んでいたり、大気や水、土壌を通じて排出されたものが循環し、体内に取り込むことを繰り返しています。そうした化学物質の中には環境や人の健康に影響を及ぼすものがあります。体の小さい子どもへの影響は大きく、また、生物多様性の観点からも影響が懸念されます。2009年(平成21年)には、厚生労働省の病名リストに化学物質過敏症が追加登録され、現在(2022年)、化学物質過敏症の患者数は、日本では約1千万人にものぼると言われています。各家庭においても公共施設においても、環境中に排出される化学物質は減らしていかなければならないと考えます。
(1)環境に配慮した物品購入について
平成28年第2回定例会の一般質問では、水環境の保全につながるせっけんの使用と環境保全への取組について質問し、公共施設ではより安全なものを使用していただきたいと要望しました。市は、「福生市環境物品等の調達に関する基本指針」に基づいて物品購入していますが、この基本指針とはどのようなものか、また、環境に関する状況や市民意識の変化、SDGsの取組が進む中で方針の見直し等はあったか質問しました。

「福生市環境物品等の調達に関する基本方針」は、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」第10条に基づき、福生市が調達する物品等に関して、グリーン購入と呼ばれる環境に負荷の少ない製品、いわゆる環境物品等の調達の推進を率先して図ることにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築するとことを目的として定めている。国の基本方針を勘案し、普遍的な事項の規定するとともに、国の基本方針に規定されている重点的に調達を推進すべき環境物品等である「特定調達品目」287品目について、市ではこの規定を準用している。この特定調達品目は、国が開発・普及の状況、科学的知見の充実等に応じて適宜見直しを行っていることから、環境に関する世情を反映させた物品調達が行える基本方針となっているとの回答でした。

食器用洗剤については、精製された植物油を原料とした環境にやさしい製品を選定しているとのことでしたが、その他洗剤類については、詰め替え用等のプラスチックごみ削減の観点からの製品が多いことから、生分解の早いせっけんの使用を進めるよう見直しを要望しました。
また、市内公共施設や委託事業者・指定管理業者についても、排水を考慮した洗剤を選択できるよう要望しました。

(2)公共施設における化学物質への環境配慮について

化学物質過敏症の患者は増加傾向にあります。誰もが利用しやすい公共施設のバリアフリー化は進んでいますが、化学物質過敏症の患者が感じる化学物質など「見えない空気の障壁」には配慮されていません。公共施設総合管理計画や個別施設計画が進む中で、化学物質過敏症の患者に配慮した公共施設についても検討していく必要があるのではないかと考えます。また、2016年の熊本地震の際、化学物質過敏症の患者が避難所となっている公共施設には避難できず、その後の熊本城ホール建設では化学物質過敏症の会が対策を求める提言を出したと聞いています。公共施設での化学物質への環境配慮について、現在の取組状況と化学物質過敏症の方への対応について質問しました。

本市の公共施設において新築工事や改修工事を実施する際に使用する建材は、東京都の基準に準拠し、「揮発性有機化合物の発散による健康への影響に配慮し、かつ石綿を含有しないもの」としている。JIS・JASが認定した製品の安全等級で、有害物質であるホルムアルデヒドの放散量が最も少なく、安全性が高い、「F☆☆☆☆」の材料を使用すると定め、工事施工に関しは、この表示を確認している。また、工事完了後には、建築物の室内空気中に含まれる化学物質の濃度測定を実施しており、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの5つの物質について基準の数値を下回っていることを確認したうえで、使用を開始している。
本市においては化学物質過敏症の方から公共施設の利用に際して、健康被害の相談や要望は現在のところ聞き及んでいないことから、特段の対応は実施していない。
公共施設にて対応を行っている先進自治体は、工事に使用する建材について、標準仕様の汎用品の仕上げ材を天然素材の製品へ変更し、化学物質の放散を抑えるようにしているとのこと。今後は、このような先進自治体の事例を研究するほか、公共施設の新築や大規模改修工事の際には、計画段階における利用者や関係団体等と協議の中で要望があれば、可能な範囲にて対応たいと考えいるとの回答でした。

現在は、公共施設での化学物質過敏症の患者から相談などはないとのことでしたが、長い間市民が使っていく公共施設であることを考えれば、建て替えや改修で計画の段階から検討しいただくことが必要だと思います。多機能トイレには芳香剤は置かない、スタッフの制服に柔軟剤は使っていないなど、清掃や維持管理にどのようなものが使われるのか、働くスタッフ、職員がどのような意識で公共施設の中にいるかということが、化学物質への環境配慮した施設整備、いわゆるハコモノとともに必要なことではないかと考えます。
公共施設においては化学物質から健康と環境を守るという視点を持って整備・運営していただきたいと訴えました。

 

3 マイナンバーカード及びマイナンバー法等の一部改正について

令和5年通常国会において、「デジタル社会の基盤であるマイナンバー、マイナンバーカードについて国民の利便性向上等の観点」から行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法等の一部が改正されました。その後、マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」については、医療現場での混乱や別人の情報が紐づけられる等のトラブルが報告され、政府は「マイナ総点検」を11月末までに完了するとしていました。
市民生活を豊かにするためのツールとしてICTの可能性について否定するものではありませんが、現在、マイナンバーカード取得は義務ではなく、また、トラブルのイメージが拭えません。さらに、マイナンバーカード及びマイナンバーに関する事務により自治体の負担も大きくなっているのではないかと考えます。

(1)マイナンバーカードと健康保険証の一体化について

以下の5点について質問しました。

1 マイナンバーカードと保険証の一体化のスケジュールについて

令和6年秋以降「マイナ保険証」を使い、医療機関等の窓口で顔認証付きカードリーダーにカードをかざして本人確認を行うことになり、「マイナ保険証」を持たない方については、健康保険証に代わる「資格確認書」を使用することとなっている。ただし、現在の国民健康保険証については、今年10月に更新し、有効期限を2年間で交付しているため、2年間の途中で保険証廃止の時期を迎えることになるが、期限前に75歳になる方や資格・住所等に異動がある方を除き、保険証は経過措置により令和7年9月末まで使用することができる。
また、後期高齢者医療の保険証は、令和6年度に更新を迎えるが、有効期限については、現在、広域連合で調整中。

2 カードの交付状況、高齢者、就学前の子どもの交付状況、保険証との紐づけの状況について

マイナンバーカードの保有状況は、令和5年10月現在、福生市民のうち70%の方が保有、75歳以上の高齢者の保有率は約70.9%、5歳以下の就学前の子どもは約54.9%。
また、マイナンバーカードへの健康保険証の登録状況は、令和5年10月現在、国民健康保険は被保険者のうち約52%、後期高齢者医療は被保険者のうち約51.5%の方が登録している状況。

3 国は紐づけについて11月までに点検するとしていましたが、市の状況について

マイナンバーカードをめぐる一連のトラブルを受けた総点検については、福生市は該当していない。

4 現行の保険証は令和6年秋に廃止されますが、国民健康保険と後期高齢者医療保険の資格確認書への対応について

「資格確認書」の対応は、当初、「資格確認書」は被保険者からの申請に基づき保険者が交付するとしていたが、「マイナ保険証」を持たない方が、確実に必要な医療を受けられるよう、職権交付する方針が示されている。その他にも、最長1年としていた有効期間を、5年以内で保険者が設定する形に修正する考えなどが打ち出されているが、現時点で国民健康保険、後期高齢者医療の両制度において、国や東京都、広域連合から具体的な内容が示されていない。

5 高齢者や障害を持つ方への対応について、カードが作れない場合や管理ができない場合などの対応について

高齢者や障害者への対応は、国では暗証番号の設定や管理に不安がある方の負担軽減のため、暗証番号の設定を不要とし、本人確認の方法を機器による、顔認証または目視による顔確認に限定した「顔認証マイナンバーカード」を令和5年12月頃に導入する予定。
また、「マイナ保険証」を利用登録している介護が必要な高齢者などが受診する際、当初は支援者がマイナンバーカードを預かることを想定していたが、「マイナ保険証」を登録していても申請により「資格確認書」を交付し、両方を保有可能とする対応が打ち出されている。

マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関しては、大きく仕組みが変わるので、市は保険者として市民の皆さんが混乱することのないよう、正しい情報の提供と丁寧な対応を行ってまいりたいと考えているとの回答でした。

(2)戸籍等の記載事項への「氏名振り仮名」の追加について

戸籍法等の一部が改正され、戸籍の記載事 項に「氏名の振り仮名」が追加され、住民票への振り仮名記載やマイナンバーカードへのローマ字等が記載されることとなりました。法改正後のスケジュールと市の対について質問しました。

令和5年6月9日に公布された戸籍法等の一部改正により、戸籍の記載事項に「氏名の振り仮名」が追加され、住民票への振り仮名の記載や、マイナンバーカードへのローマ字等の記載が法制化された。これまでは「氏名の振り仮名」については法的な根拠がなく、公的記録内で氏名の振り仮名が統一されていないなどの課題があったが、法制化されることにより、様々なサービスにおいて氏名の振り仮名を本人確認事項として利用することが可能となる。
法改正後のスケジュールは、戸籍や住民票への振り仮名の記載については令和7年度上旬までに、マイナンバーカード等への記載については令和8年度上旬までに施行される見込みとなっている。
令和6年度末までに戸籍情報システム等の関連システムの改修を行う。令和7年度からは1年をかけて、全ての国民が本籍地の市区町村へ氏名の振り仮名の届出を行い、市区町村は届出に基づき順次振り仮名を記録する。令和8年度からは全ての戸籍証明書及び住民票において氏名の振り仮名が標記されたものを交付していく予定となっている。
市の対応は、一定の期間内に読み仮名の申出を受け、記載していく等の事務作業が想定され、全国の自治体が同じタイミングで、こうした事務を行う。そのため、現在国において、マイナポータルを利用したオンラインでの振り仮名の届出を可能とすることや、通知書の作成や発送等における民間事業者への委託を活用することなど、具体的な実施方法等について様々な検討を進めている。引き続き情報収集に努め、スケジュールに遅滞が無いよう万全を期して対応をしてまいりたいとの回答でした。