福生市議会建設環境委員会視察 「日本一の桜の里づくり」計画・企業誘致等について

所属する建設環境委員会の行政視察で、長野県伊那市と駒ケ根市に行ってきました。

中央アルプスと南アルプスに囲まれた天竜川沿いの伊那谷は、きれいな空気と美しい秋の風景が広がっていました。

●10月31日(火)長野県伊那市

「日本一の桜の里づくり」計画について

伊那市内を流れる三峰川(みぶがわ)は、かつて堤防や川の中に約1800本のポプラや桜が植えられ、洪水対策と共に市民のお花見の場となっていましたが、治水工事や上流のダム建設のためのダンプカー等の交通量が多くなり、通行のための伐採やその影響で枯れていってしまいました。平成6年に、美篶小学校当時4年生の児童が住民と洪水の闘いについて学び、桜並木を復活させようと考え「よみがえれ桜並木」という活動を行いました。それがきっかけとなり、市民による「桜並木活動」が始まりました。平成10年には、堤防約200mに植樹用地を造成し、5・6年生と関係者により16本の桜が植えられました。それ以降植樹が重ねられ、現在でも、観察記録を書いたり清掃等の環境整備等を行うなど、教育の場でも活かされています。
桜の管理については、計画に沿って「市民が主役」の桜の里づくりが進められています。10の地域に49名(現時点では45名)の市民による「地域桜守」が活動し、桜の管理体制づくりを行っています。また、市が振興公社に業務委託し、専門的な維持・管理業務を行っています。

三峰川沿いに造成された植樹用地に植えられた桜並木。

 

●11月1日(水)長野県駒ケ根市

企業誘致等について

駒ケ根市では、豊富な水を求めて企業が進出してきており、さらに企業誘致を進め1994年以降の累積では49社。製造業が基幹産業となっています。それに伴い移住してくる家族の課題として、7割の女性が仕事を辞めざるを得ない状況にありました。子育てしながら働くうえでの課題と共に、デスクワークの求人が少なく育児制度の取得が厳しい状況にもありました。
課題解決のため、市は2017年(平成29年)に駒ケ根テレワークオフィス「合同会社Koto」を設置、サテライトオフィスとテレワークセンターを運営しています。進出企業は2社(移住スタッフ 累積1人)、地元雇用 累積5人(パート社員)、合同会社Koto利用登録者(市民テレワーカー) 累積約300人(95%が女性)で、テレワークを実践している実稼働者は1か月で40人から50人となっています。首都圏の企業が市民向けテレワーク業務を合同会社Kotoに依頼、そこから市民テレワーカーに業務委託を行っています。テレワークセンターだけでなく自宅でも業務を受けることもできます。

●今回の視察での感想

福生市内を流れる多摩川と桜並木は「ふっさ十景」にも選ばれ、市民に愛される景観を創り出していますが、桜の老木化と害虫(クビアカツヤカミキリ)の被害が発生し、維持管理が厳しい状況となっています。幼虫が桜の幹に繁殖している目印として木屑のようなフラスが見られると、成虫が飛び立たないように幹にネットを張り防除する対策をとっています。この害虫対策には、桜を見守る市民の目が有効ではないかと考えます。
今回視察させていただいた伊那市では、元々桜に関する活動をしている市民がいたそうですが、「地域桜守の会」として整備し、連携・継続して活動できるよう計画に盛り込んでいます。害虫対策は、いち早く被害に気付き対策を講じることが重要であることから、地域で桜を見守るとても有効な取組であると感じました。また、市民が主役となることで、桜に対する愛情と地域愛やシビックプライドの醸成につながるものと考えます。さらに、地域の美篶小学校では継続的に教育活動で活かされ、後継者の育成にもつながるのではないかと感じました。
専門的な維持管理については、振興公社に事業委託しているとのこと。桜を植え替えることができない堤防では、「ひこばえ更新」を試みているとのことで、桜並木を更新していく手法として参考になりました。福生市でも、市民の力と専門家の力で桜並木を守ることができるよう取り組んでいくことができるのではないかと思いました。

駒ケ根市では、主に駒ケ根テレワークオフィス「合同会社Koto」を視察させていただきました。移住者の課題、特に女性の働く場がないという課題解決に向けての取組でした。平成29年に事業をスタートさせたとのことですが、コロナ禍を経て今では当たり前になったテレワークにいち早く着目したことには驚かされました。
テレワークオフィスは、駒ケ根駅前で商業施設等もあり、便利な場所にあります。また、オフィス内も良い雰囲気です。設立当初は、仕事の休憩時間等には子育ての話をするなど、子育て中の女性のコミュニケーションの場にもなっていたとのこと。働きに出られることで、地域での孤立を防ぐことにもつながったことがよく分かりました。
福生市は、都心へのアクセスも良く通勤圏内ですが、子育て世代や電車通勤が苦手(できない)人にとって、テレワークはとても有効です。しかし、自宅で仕事をするには環境が整っていないなどの課題も多くあります。市内にテレワークオフィスがあることで、住みやすく働きやすい選ばれるまちになるのではないかと思いました。
今回の視察で得たものを、今後に生かしていきたいと思います。

駒ケ根テレワークオフィス内。窓の外に見えるのは駒ヶ根駅。

駒ケ根テレワークオフィス内。