令和2年第2回定例会 6月議会報告

6月2日から4日までの3日間、令和2年度第2回定例会6月議会が開かれました。
新型コロナウイルス感染拡大防止と理事者・職員が対策に注力し市民サービス低下を招かないようにするため、会期を3日間としました。また、議場に入るのは、理事者側は答弁者と必要最低限の職員としました。
議案は委員会に付託せず本会議で審査し即決しました。委員会では市民より提出された陳情の審査と、それに伴う意見書についてのみを行いました。また、一般質問は新型コロナウイルス感染症対策関連を中心とした質疑を、通常は60分までの制限時間ですが30分までとしました。

★新型コロナウイルス感染症対策に係る条例改正や補正予算(第1号)は、緊急を要することから専決処分となっていて、補正額58億7382万1千円の報告を受け、承認するための質疑を行いました。
補正予算(第1号)の主な事業
●特別定額給付金給付事業【57億9990万5千円 政府が行う1人当り10万円を給付する特別定額給付金と、給付のための事務に係る予算】
●子育て世代包括支援センター事業【610万1千円 都が行う出産応援品の配布 タクシーギフト券や衛生用品購入のための商品券一人当たり1万円分】
●小学校ICT推進事業【226万4千円 新型コロナウイルス感染症対策として、小学校に配備されているパソコン教室用のパソコン(小学校7校分)を休校中に家庭学習で活用できるように設定を行い、希望する家庭に貸し出しを行う。
●中学校ICT推進事業【97万円 新型コロナウイルス感染症対策として、中学校に配備されているパソコン教室用のパソコン(中学校3校分)を休校中に家庭学習で活用できるように設定を行い、希望する家庭に貸し出しを行う。
その他、学校給食中止に係る予算や体育館等の指定管理者の損失補償に係る予算等をを承認しました。

★補正予算(第2号)は、コミュニティ助成事業助成金を活用し町会・自治会に折り畳みテーブル等の備品の購入費用253万8千円、都の地域学校協働活動推進事業費補助金を活用し中学3年生を対象とした学習支援の委託料540万円など、補正額3304万6千円を可決しました。

★補正予算(第3号)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い相談の多くなった自立相談支援事業の相談員の増員のための委託料と住居確保給付金の増額合わせて1978万円、災害時の避難所感染症対策のための備品購入費(防護服、フェイスシールド、不織布マスク、アルコール消毒液等)1525万6千円、新型コロナウイルス感染症緊急対策のため児童・生徒1人1台端末と通信環境整備 小学校9562万2千円・中学校5412万7千円など、補正額3億9043万4千円を可決しました。

 

一般質問

1、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策における支援を必要とする子どもや女性への対応について
(1)家庭内で起こる危険を回避するための取り組みについて
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策はステイホームを基本とすることから、児童虐待やDV被害などで支援を必要とする家庭への支援がとても重要です。子育てサロンの中止や児童館の休館、学校の臨時休業などで子育て世代や子どもたちの居場所が制限されることは、そうした事態の発見を遅らせるだけでなく、新たな被害者を生み出すことにもつながることが考えられます。また、中高生からの妊娠相談が増加しているとの報道もあり、性教育の充実や性的同意についての周知も重要ですが、性暴力・性的虐待の心配も考えられます。支援を必要としている家庭への積極的な支援が必要ですが、市の取り組みはどのようになっているか質問しました。
また、相談窓口の強化としてメール等の活用が有効だと考え要望していますが、市の考えを聞きました。
自宅で配偶者や子どもと一緒に過ごす濃密な時間が多くなり、おとなから子どもまでストレスを抱える危険な状態に陥りやすいことを認識している。緊急事態宣言発令後は、主に電話連絡による支援を行い、必要に応じて家庭訪問を行っている。保護者の話をよく聞き、児童虐待等の衝動的な行動へと向かわないよう意識して対応している。また、要保護児童対策地域協議会の組織を活用して情報共有、情報連携を図り、早期発見、早期支援に取り組んでいる。民生児童委員へは、気になる子どもや家庭等の情報提供をお願いするチラシを配布した。
メール等を活用した相談については、情報の管理等が難しいことから市独自で設置する考えはないが、東京都のライン相談や国のDV相談プラス(メールでの相談受付)を紹介しているとのことでした。
厚生労働省が今年3月の各児童相談所で虐待として対応した件数を調査したところ、昨年の同じ月より12%増加したと公表しました。件数は年々増加傾向にあることから、この自粛期間との因果関係は不明としていますが、福生市での相談件数は増えているか、また、増減の理由をどのように分析しているか質問しました。
3月の児童虐待等相談件数は著しい増減はなく、3月4月は落ち着いている印象。しかし、緊急事態宣言が継続された5月11日以降は警察等からの問い合わせ件数が少しずつ増えてきたようにとらえており、自粛生活が長引いたことによる不安やストレスが要因ではないかと捉えているとのことでした。
家庭の中は見えにくく、被害に遭っても声を上げにくいこと状況であることを考えると地域の見守りと相談窓口の周知が重要です。特に家族が密になる状況の中ではライン相談やメール相談が有効ですので、積極的に周知していただくよう要望しました。

(2)産前産後の支援について
妊婦にとって感染リスクの不安はとても大きく、また、予定していた里帰り出産ができなくなるなどの不安もあります。安心して出産ができるよう、妊婦に対して子育て世代包括支援センターから電話等で声掛けしてほしいと要望していますが、どのように対応しているか質問しました。また、働く妊婦は主治医等から指導を受けて母性健康管理事項カードを活用して事業者に申し出た場合は、在宅勤務や休業等の措置を講ずることができるとなっていますが、どのように対応しているか質問しました。
妊娠届け出に来た方には、不安を聞き取り相談に応じている。すでに届け出を済ませた方には電話での支援、妊婦検診を受ける際に活用できるタクシーギフト券と衛生資材等の購入に利用できる商品券を配布する際アンケート用紙を同封し、必用な方には改めて電話連絡等を行っている。働く妊婦には、母性健康管理事項カードの活用について詳しく説明しているとのことでした。
タクシーギフト券等の配布では、外国人や日本語支援の必要な方への対応についても質問しました。電話での体調確認とともに説明をしているとのことでした。
引き続き、妊婦に寄り添った支援を要望しました。

2、臨時休校中の児童・生徒への対応と今後について
新型コロナウイルス感染症拡大防止の対策として、3月から臨時休業の措置が取られました。4月には、新入学・進級したばかりの児童・生徒一人ひとりとクラス担任のコミュニケーションを図ることが必要であること、また、学びの保障の観点から児童・生徒一人ひとりの状況把握と働きかけができるよう工夫してほしいと要望しました。
臨時休業中の児童・生徒への対応について質問しました。また、特に支援を必要とする家庭に対する学校からの働きかけと子ども家庭支援センターとの連携について、特別支援学級に在籍する児童・生徒への対応についても質問しました。休業が続いたことで対応が厳しくなっていると思われる児童・生徒に対する今後の取り組みについても質問しました。
3月は、緊急対応に備えた校内体制づくり、教育委員会で作成した「臨時休業・春季休業中の過ごし方」を配布し相談機関の周知、小学校の「ふっさっ子の広場」、中学校の体育館等を解放した児童・生徒の居場所づくりを進めた。緊急事態宣言発令後は居場所づくりを中止したが、個別の相談に応じ対応した。すべての児童・生徒に対し、週に1回程度電話やメール等で連絡をとったり、課題配付日に様子を把握した。子ども家庭支援センター担当者と情報交換を行い、連絡を取ることが困難な家庭があれば、子ども家庭支援センターの担当者が家庭訪問を行うなど連携を図りながら支援を行った。特別支援学級に在籍する児童・生徒に対しては、保護者の都合で自宅で過ごすことが困難な場合や子どもたちの精神の安定という観点から必要な場合は、事前申し込みをにより学校で過ごすことができるようにした。臨時休業明けには、配慮等が必要な児童・生徒が増加することが予想される。5月25日から29日までの間に「こころのアンケート調査」を行った。結果から気になる児童・生徒を把握した場合は、全教職員での把握、スクールカウンセラーや教育相談センターの専門機関につなげて支援を行う。今後は、教育センター機能の充実・改善も進めたいとのことでした。
年度末から年度初めにかけての臨時休業で、対応が大変難しかったことは理解できますし、その中ではできることを模索し対応したのではないかと思いました。しかし、もう少し何かできたのではないかとの思いもあります。第2波、第3波に備えておくことで、災害での対応にも応用できると思います。急な休業に対応できる備えを要望しました。

災害といってもいいこの新型コロナウイルス感染拡大は、これまでの災害と同じように女性や子どもの人権を守る視点が必要であったと思いました。特に、教育や生活支援、遊びの保障、意見表明など子どもの権利が脅かされる事態となってしまいました。子どもの権利保障と感染予防の両方を進めるには、子どもの意見を聞き、子どもにも丁寧に説明して納得度を上げることが必要ではないかと感じました。どんな時でも子どもの権利が守られるよう啓発していくことの大切さを実感しました。今後の対策にもその視点を忘れないよう要望しました。