塾・・・子どもの居場所・・・地域でつくる学び野「ヘルベテ」

JR五日市線の終点(始点かな…)武蔵五日市駅前、みんなでつくるシェアベース&カフェ『東京裏山ベース』があります。
アウトドアアクティビティと地域観光拠点となっていて、サイクリングやハイキングに訪れる人の活動拠点となっていいます。貸しロッカーやシャワーがあり、地図やパンフレット、お土産品も置いてあります。カフェも併設されていますので、行き帰りに立ち寄る人の交流拠点にもなっています。

火曜日の夜は、ここ「東京裏山ベース」が塾として活用されています。
ヘルベテは平成26年から活動を始めたインターネットを活用した家庭教師集団で、通話アプリを使って学習サポートをしています。家庭教師として登録している大学生や社会人と生徒をつなげ、インターネットを活用して授業を行います。こうすることで居住地に制限が無くなったり、何らかの理由で学校で学べなくなってしまった子どもたちともつながることができます。
また、様々なおとなとつながることで、生き方の多様なモデルにふれることができます。

興味深いのはそれだけではありません。登録している先生の報酬は「喜捨」で支払われます。
生徒が、支払う報酬額に応じて「ほしいものリスト」の中から選び、先生に「喜捨」として支払います。
ここにまた、先生と生徒の学習以外のつながりがうまれます。
食べ歩きの本をもらった先生の体重があまりにも増えてしまい、次の「喜捨」はお弁当箱になったそうで、外食していたランチが自前のお弁当になった・・・なんていうエピソードも教えていただきました。

このヘルベテがシェアベースとなっている「東京裏山ベース」を活用し、昨年からインターネットだけでなく塾としても活動を始めましたので、見学させていただきました。

外観から想像するより広い空間で、木の感じがやさしい居心地のいい空間でした。
奥の仕切られたスペースで授業をしていて、日中カフェとなっている広い場所が自習スペース。自習している子もいれば、先生のサポートをうけて勉強している子もいたり、自分に合ったペースで学習していました。
午後7時から9時まで勉強、そのあとは夜食タイム。
会話しながら楽しそうに食べていました。
先生のサポートを受けながら勉強していた一人の男子生徒に「ここでの勉強はどう?」と聞いてみました。
「家より集中できるし楽しい」と答えてくれました。そして、大学生である先生に「先生、教えるの上手いからね。」と…先生もうれしそうでした。

代表の小澤さんは、学習はもちろんのこと様々なおとなと出会い、生き方を考える機会になればと思いを話してくださいました。また、社会問題になっている子どもの貧困や不登校など、困難に直面している子どもの支援につながればとも話してくださいました。

東京裏山ベースオーナーの神野さん(jinnken)は、シェアベースとしていろんな人に使ってほしい。ごちゃっとした感じがいいですよね。とおっしゃっていました。

いろんな人と緩やかにつながり合える場所で、子どもたちにもそんな機会が持てる塾。
とても素敵な取り組みでした。

今、子どもの貧困は社会問題になっています。
ただ、経済的支援をするだけでは、貧困の連鎖を断ち切ることはできません。
様々なおとなと出会うこと、モデルを増やすことは、とても重要だと言われています。
経済的な貧困だけでなく、体験の貧困・関係性の貧困も問題だと言われています。
子どもたちに多様な居場所が必要であることを再確認しました。