平成29年第2回定例会 6月議会報告

6月6日から22日まで6月議会が開かれました。
今議会では条例改正や補正予算のほか、陳情や議員提出議案の審議もありました。

一般質問

1、市民の安全対策ついて
北朝鮮のミサイル発射等、不安定な世界情勢が続いています。不確かな情報や不安をあおるような報道に惑わされないためには、市がきちんと情報を出すことが大事です。有事の際、市は「国民保護計画」に沿って情報を伝えたり避難指示を出したりします。また、Jアラートでの緊急情報の伝達や避難行動について周知しています。子供たちの安全を第一に考え、何事においても避難の仕方などを確認しておいてほしいと要望しました。
広報ふっさ6月1日号で、加藤市長は恒久平和を望むとして平和への取り組みの決意をつづっています。また、今年2月号の全力投球では「平和への想い」と題し「世界中の多くの国が自国の利益を優先し、それ故に多くの悲劇や問題が起こっています。今こそ、相手のことを思い、優しさという強さをもって、平和に向けて行動していかなくてはならないと考えています。」と書かれています。国内でも強さは力だというような機運がありますが、優しさこそ強さだということを、基地を抱えるまちから日本中に発信していただきたいと意見しました。

2、総合教育会議について
平成27年度から新教育委員会制度がスタートしました。制度の特徴の一つ、市長が主宰する総合教育会議。4月14日に開催された会議には、意見聴取者として市内小中学校の先生が出席し、市長と教育委員会と意見交換しました。今後も様々なテーマで意見聴収者に参加してほしいことを要望しました。また、教育行政での市長の権限が大きくなったので、政治的中立の確保にも努めてほしいことを要望しました。
新制度導入にあたってはレイマンコントロールの考え方についてや、政治的中立の確保について心配な部分もありました。この質問をしたことで、現在は このことについての心配はないのではないかと思いたました。今回の会議のように意見聴取者が出席するという意義ある取り組みを、福生市の定番、福生型にしていくなどして、教育委員会と教育現場の共通認識の確認や、今後、多方面から教育の在り方を見ていくなど、さまざま考えられると思います。
制度改革の中には「地域の民意を代表する市長との連携」ということが挙げられています。教育長と教育委員を任命し、総合教育会議を主宰し、教育に関する大綱を策定するということで、地域の民意を代表するとはいえ、政治的中立の確保について不充分にならないように、私たち議員も民意の代表としてチェックしていかなければいけないと考えます。福生の教育がますます充実していきくように、課題を見つけていきたいと意見しました。

意見書提出

●『「テロ等組織犯罪準備罪」の慎重審議を求める意見書』の提出」を、共産党議員2名と市民派クラブ議員1名の4名で提案しました。
国会で審議中であった 共謀罪「テロ等組織犯罪準備罪」は、法案の内容が抽象的すぎる、人権を脅かし監視社会を生む恐れがあるとして、国会で政府に対しての質疑がされてきましたが議論が尽くされないまま、また、充分に説明されないまま衆議院を通過。この間、国連の特別報告者ケナタッチ氏が、プライバシーや表現の自由を制約する恐れがあると強い懸念を示す書簡を安倍首相あてに送っています。参議院では充分に議論・説明されるよう、福生市議会でも政府に対して慎重審議を求める意見書を提出しようと呼びかけました。
6月9日(金)、第2回定例会6月議会の本会議で『「テロ等組織犯罪準備罪」の慎重審議を求める意見書』の提出を提案しましたが、正和会・公明党が反対し、意見書の提出には至りませんでした。

●「『北朝鮮の度重なるミサイル発射及び核開発に中止を求める意見者』の提出」が正和会・公明党・市民派クラブから提出されました。
この意見書の趣旨については賛成です。しかし、意見書のまとめには「あらゆる有効な措置を講じることを強く要望する。」と書かれています。これについて、「あらゆる」ではなく「平和的解決に向けた」というような文にしてほしいと協議しましたが調整できず、共産党議員2名とともに反対しましたが、賛成多数で採択されました。

以下討論全文

ご指名をいただきましたので、議員提出議案第3号「北朝鮮の度重なるミサイル発射及び核開発の中止を求める意見書」について、反対の立場から討論させていただきます。

先ず始めにお伝えしなければならないのは、この意見書案について 概ね賛成であるということです。北朝鮮によるミサイル発射や核開発については、断じて許すことのできない行為であることには間違いありません。政府には、国民の生命と財産を守るべき措置を取っていただきたい、私もそのように考えております。

しかしながら、この意見書では「国際社会と協力し、北朝鮮のミサイル発射及び核開発の中止に向け、あらゆる措置を講じることを強く要望する。」という、文になっていて、これについてはどうしても賛成できないという思いでございます。この「あらゆる措置」とは、どのような措置を想定しているのでしょうか。

この意見書に反対する理由を3つ述べさせていただきます。

先ず第1には、「あらゆる措置」ではなく、これまでと同様に「対話と圧力」をもって対応していただきたい、あいまいな表現ではなく「対話と圧力」とはっきり記すべきであると考えます。本来であれば対話を重視すべきと考えますが、日本だけでなく、国際社会においても「対話と圧力」をもって対応しています。

今年5月に開催されたG7 タオルミナ サミットの首脳宣言の中では、北朝鮮を「国際社会の平和と安定を脅かす新たな脅威」と位置付けました。「安保理決議の決定など国際社会の努力を強めていく」としています。

NHKの時論公論の解説委員は、ロシアと中国は対話重視を打ち出している。そして、政権交代して間もない韓国は、同盟国であるアメリカとの関係を軸に中国との関係修復を図ろうとしている。アメリカは、オバマ政権が「対話には一切応じない」としていたのに対し、トランプ政権は「最大限の圧力と関与」と表し、圧力を掛けつつも対話の糸口を探っている状態だと解説しています。

そして日本は、拉致問題という深刻で重要な問題に最優先で取り組まなければならないことは、誰もが同じ認識であると考えております。解決に向けて、政府が対話と「経済制裁という圧力」とその一部解除である緩和をもって解決に取り組んできたということは、事実であります。 国際社会と協力し、政府の対応を考えればこそ「対話と圧力」とはっきり示すべきであると考えます。

2つめには、平和的解決に向けて努力してほしいという趣旨を意見書の中で記すべきだと考えるからです。

先程も申し上げました通り、国際社会においては現在、「対話と圧力」という考え方を持って対応していますから 軍事行動については さほど心配はないと考えております。しかし、もし万が一、同盟国において何らかの軍事行動があった場合、日本も武力による解決の一端を担わなければならない可能性が出てくるからです。2014年7月に集団的自衛権の行使容認が閣議決定し、その後、それに合わせた法整備が進められてきました。もちろん新3要件がありますから、行使が認められるような事態になることは少ないと考えますが、可能性がゼロではない限り、平和的解決に向けて努力を続けてほしいことを、意見書の中で強く要望したいと考えます。

3つめには 意見書にも記されていますように 北朝鮮は「ミサイルによる在日米軍基地を標的とする」と声明を出しており、米軍横田基地を抱える福生市民にとっては脅威であるからです。北朝鮮を挑発するような行為は、福生市民の不安をあおるような行為であると考えます。ですから「あらゆる措置」ではなく「対話と圧力をもって、平和的解決に向けた措置を講じること」と示すべきです。不安に思っている市民の声として一般質問で取り上げさせていただきましたが、私たち福生市議会としては、国の意向を市民に伝えるだけではなく、福生市民の安全と安心を1番に考えた意見書を国に挙げなければならないと考えます。

以上のような理由で、議員提出議案第3号「北朝鮮の度重なるミサイル発射及び核開発の中止を求める意見書」について反対であることを申し上げまして討論を終わります。

 

陳情書審査

3月議会から継続審査となっていました「介護保険制度の改善を求める意見書の提出に関する陳情書」について、市民厚生委員会において不採択との審査結果が報告されました。
この陳情書は、今年4月から日常生活支援事業として始まった「要支援1・2を国の制度から各自治体へ移行した新制度」について、さらなる利用者負担が検討されていることに、国の財政的支援と制度見直しを求めるものです。
だれもが住み慣れたまちで暮らし続けるために、また、各自治体においての持続可能性を考えますと、国の財政的支援と制度の見直しは重要です。この陳情書は採択すべきと賛成討論を行いましたが、正和会・公明党・市民派クラブの反対多数で不採択となりました。

以下討論全文

陳情第29-2号 介護保険制度の改善を求める意見書の提出に関する陳情書について 賛成の立場から討論させていただきます。

2000年にスタートした介護保険制度は、当初5年後の見直しでしたが、その後、3年ごとの見直しになっていて、平成29年度は介護保険事業計画第6期の三年目になります。

現在、注目されているのは「軽度者」への給付抑制についてです。高齢者人口の急増、増え続ける介護給付費等の抑制、制度の持続可能性の確保を理由に、これまで「保険給付の効率化・重点化」についても、社会保障審議会介護保険部会で議論されてきました。前回の制度改正では、予防給付を見直し、要支援1・2の訪問介護と通所介護が 各自治体の行う地域支援事業へと移行され、福生市でも今年4月から介護予防・日常支援総合事業がスタートしました。

住み慣れたまちで暮らし続けるため、また、自立した生活の手助けとなるよう生活援助等のサービスを使いやすくしていくことは たいへん重要です。施設の整備についても、数だけでなく、多様な利用者のニーズに応えられるようなサービスと質も重要です。さらに、今後 増え続ける利用者に対して、質を低下させることなくサービスを維持していくためには、自治体の裁量に任されるだけでなく、国の財政面での支援を充実させることと、人材の確保のために支援策についても大切であると考えております。

介護保険は特別会計となっていますが、介護保険法の規定により、市負担分として給付費の12.5%、地域支援事業費のうち「介護予防・日常生活支援総合事業」の部分の12.5%、介護予防・日常生活支援総合事業以外の部分の19.5%を一般財源から繰り出しています。

この介護予防・日常生活支援総合事業はスタートしたばかりで、成果や課題も調査されないままに、更なる利用者負担割合や福祉用具貸与と住宅改修の自己負担が検討されています。財政の視点からとくに利用の多い要介護1・2向けの訪問介護での生活援助サービスの部分を地域支援事業へ移すことや 自己負担としていくことも提案されています。

前回の改正では利用料の2割負担が導入されましたが、先日閉会しました通常国会においては、平成30年8月から、収入によっては3割負担となることが決まりました。福祉用具貸与と住宅改修の自己負担については、今回は見送りとなりました。

「団塊の世代が後期高齢者」になる2025年、一般に2025年問題と言われていますが、この年、福生市でも高齢化率は30%を超える予測がされていて、2042年までは増加を見込んでいます。政府は介護離職ゼロを打ち出しています。2025年以降、団塊ジュニアと言われる年代の介護離職を防ぎ、労働力の確保もしていかなければならないと言われています。そのためには、利用者と、その家族も使いやすい制度になっていかなければなりません。利用料の自己負担が増えると、必要であってもサービスを利用できないケースが出てくることが予測されます。

ただいま述べさせていただきました介護保険制度の課題や今後の見通しについて考えますと、この陳情を採択し、持続可能な制度のための支出の抑制とサービスの充実の両方が図れるよう、国に意見をあげていくことが今後の福生市の高齢者施策の充実にもつながると考えます。

私ども生活者ネットワークは、1995年から「子育て・介護は社会の仕事」をスローガンとし、ライフ・ワーク・バランスを考えるなど、性別にかかわらず働く・暮らすを共に分かち合う社会を目指してまいりました。子育て支援とともに介護支援は社会の重要課題であります。多様な意見が取り入れられ制度の見直しがされていくことが重要であると考えます。

以上のような理由で、陳情第29-2号 介護保険制度の改善を求める意見書の提出に関する陳情書について賛成であることを申し上げまして討論を終わります。

 

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