横田基地とPFAS汚染問題について
米軍が横田基地で使用する泡消火薬剤にはPFASが含まれており、漏れ出していたことによる環境汚染や人体への影響等が心配されます。
2023年7月4日、北関東防衛局から「横田飛行場においては、2010年から2012年までの間に3件の泡消火薬剤の漏出があったが、飛行場の外へ流出したとは認識していない、との説明を米側から受けている。」との情報提供がありました。
2010年1月、格納庫における漏出
2012年10月、ドラム缶からの漏出
2012年11月、保管されていた容器からの漏出
福生市議会横田基地対策特別委員会では毎年、北関東防衛局と防衛省へ直接要望事項を伝える要請行動を行っていますが、2023年8月の要請行動では、PFAS漏出についても情報提供が遅れたことに対して遺憾の意を伝え、詳細な情報を迅速に提供すること、国の責任において基地内のPFAS漏出に係る地下水への影響について調査・分析・評価を行い結果を公表すること等を要望しました。
その後、
2023年11月3日、横田基地内の消火用スプリンクラー設備が同年1月に破損し、内部のPFASを含む泡消火薬剤が漏れた事故があったとの報道がありました。
このときには、情報提供よりも報道が先になりました。
2024年10月3日、同年8月3日に横田基地内の消火訓練エリアからPFOS等を含む泡消火薬剤の残留を含む水が貯水池からあふれ出し、施設外へ出た蓋然性が高いとの情報提供がありました。
これは、短時間に振った豪雨の影響によるもので、約12,640ガロン(約47,848リットル)の水がアスファルト上にあふれ出し、数量不明の分量の水が地上から雨水排水溝に流入したとのことでした。
10月4日には、都と周辺5市1町(福生市・羽村市・昭島市・立川市・武蔵村山市・瑞穂町)の首長で構成する「横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会」において、
1 施設外へ出た蓋然性が高い水の水質や施設外へ出た場所、貯水池等にPFOS等が残留していた理由、再発防止対策等の詳細な情報を東京都及び基地周辺自治体に迅速に提供すること。
2 国の責任において基地内で発生したPFOS等漏出に係る公共用水域や地下水への影響について調査・分析・評価を行い、その結果を公表するとともに必要な対応を行うこと。
3 東京都及び基地周辺自治体が必要に応じて立入調査をする場合には、全面的に協力すること。
を国に対して要請しました。
また、それ以降も国や米軍横田基地に対して、情報提供や調査等を要請しました。
12月20日、国からの突然の連絡により、要請を踏まえ、東京都と周辺市町の横田基地への立ち入り視察が行われました。
米空軍横田飛行場におけるPFOS等を含む水の漏出について|東京都福生市公式ホームページ
一方、東京都は、横田飛行場周辺の公共用水域の水質検査を実施、ホームページで公表しました。(10月7日検査・30日結果公表)
横田飛行場周辺における公共用水域のPFOS等調査結果ー全調査地点で暫定指針値を下回りましたー|トピックス|東京都環境局
また、北関東防衛局では、東京都と周辺自治体の担当職員立会いのもと、横田基地南西部の排水溝から排水管へ流れ出る付近での雨水管内で採水し、水質検査を行っています。
(11月5日)
在日米軍が、泡消火薬剤の交換に関する取組状況をホームページに掲載。(11月15日)
横田飛行場においては、本年5月までに旧式の泡消火薬剤の廃棄を完了しており、置き換えられた新式組成の泡消火薬剤については、原料にPFOS、PFOA、PFHxSのいずれも含まれていない。
とのことです。
PFAS汚染問題は、横田基地周辺だけではなく、その他の基地や工業廃水等も問題であり、沖縄県、大阪府摂津市、愛知県豊山町など全国に広がっています。
基地に起因する問題はもちろんのこと、環境汚染や人体への影響を国の責任において調査し、対策をするべきではないでしょうか。
PFASについて
PFASは、有機フッ素化合物のうちペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称で、1万種類以上の物質があるとされています。
中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、防汚剤、泡消火薬剤、コーティング剤等に使用され、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙、フローリング、皮革など幅広い用途で使用されてきました。これらの物質は、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、国内外で規制やリスク管理に関する取り組みが進められています。
また、泡消火薬剤、金属メッキ、繊維、皮革、コーティング剤等に使用されてきたPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)についても規制等の取り組みがされています。
PFOS等の有機フッ素化合物の一部は、POPs条約の対象物質となっています。
POPs(Persistent Organic Pollutants:残留性有機汚染物質)とは、難分解性、高蓄積性、長距離移動性、有害性(人の健康・生態系)を持つ物質のことで、ダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニル)等の化学物質が該当します。
これらの物質は、国際的に協調して廃絶、削減等を行う必要があり、2001年5月「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が採択され、日本を含む多くの国が国際的に協調しながら対策に取り組んでいます。
日本国内では「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(通称・化審法)等により使用・製造等について規制が行われています。PFOSは平成22年4月、PFOAは令和3年10月、PFHxSは令和6年2月に化審法の第一種特定化学物質に指定され、製造・製品への使用が原則禁止されています。