令和5年第3回定例会 9月議会報告

9月5日から9月29日まで、9月議会が開催されました。

一般会計補正予算第5号では、庁舎空調設備等の更新にかかる改修工事等サービス委託料や自転車駐車場の自動精算機及び電磁ロック式駐輪ラック導入のための設計委託料、ハクビシン等の外来生物駆除の捕獲数増による委託料の増額、ブロック塀等安全対策促進のための助成金の増額、児童発達支援センター開設準備委託料、予防接種による健康被害救済給付金など、合わせて約19億757万円が可決されました。
また、一般会計、特別会計ともに令和4年度の決算審査が行われ、すべて認定されました。

一般質問

1 地域生活課題に対する総合的な支援のための取組について
(1)包括的・重層的な支援体制の整備について
これまでにも、包括的・重層的な課題に対する相談を受けるための「断らない相談窓口」の設置を求めてきました。
市は、令和8年度から実施する地域共生社会の実現に向けた包括的・重層的な支援のための「包括的な相談支援」「社会参加の支援」「地域づくりに向けた支援」の三つからなる体制を整備するための準備をています。令和5年度から福生市社会福祉協議会に業務委託していますが、その全体像やビジョン等について質問しました。
総合的な相談体制を充実するための「丸ごと相談・断らない相談」を推進。社会福祉課相談窓口に、社会福祉士などの資格を有する地域福祉コーディネーター2名を配置し、包括的相談支援事業と多機関協働事業を試行実施している。令和8年度から「包括的相談支援事業」「参加支援事業」「地域づくりに向けた支援」「多機関協働による支援」「アウトリーチ等を通じた継続的支援」の5つを実施する予定。
福祉に関する相談支援業務を行う窓口の職員を、「断らない相談」を推進するための「相談支援包括化推進員」と位置づける予定で、複合的な悩みを抱えた相談者に対して、適切な支援窓口や地域福祉コーディネーターにつなぐ等の役割を担う。また、地域福祉コーディネーターは、現行制度の支援対象ならない方からの相談であっても「たらい回し」にすることのないよう、様々な支援機関等と連携しながら、包括的に相談を受け止めることを目指すとの回答でした。
相談に来る前にあきらめてしまう人がないよう、市民からわかりやすい窓口の設置を要望しました。

2 人権尊重と権利擁護の充実について
(1)成年後見制度等の現状と課題について
高齢になっても障がいがあっても、自己決定が尊重され、誰もが住み慣れた地域で暮らし続けていくための支援はとても重要であると考えます。令和5年度から法人後見事業が開始され、福生市社会福祉協議会に業務委託されましたので、法人後見に向けた体制づくりと課題について、市民後見人の養成について質問しました。
法人後見受任担当者として成年後見センター福生の職員を1名増員した。法人後見等の担い手の確保と育成が喫緊の課題である。市民後見人の養成については、法人後見事業が始まったばかりであるため、市民後見人の養成は準備の段階であるとの回答でした。
制度の周知についても質問し、年に1回程度市民向け学習会や公民館での講座が行われていることもわかりました。
今後、制度利用者が増えると予想されること、また、市民後見人の養成も行う見込みなので、さらなる周知を要望しました。

3 子どもを性犯罪・性暴力から守る取組について
国は、性犯罪・性暴力対策強化について、令和2年度から3年間「性犯罪・性暴力対策の強化方針」に基づき「集中強化期間」として対策の強化に取り組み、さらに令和5年度からの3年間を「さらなる集中強化期間」と位置付けています。また、弱い立場に置かれた子ども・若者が性被害に遭う事案が後を絶たない現状から、これまでの対策の着実な実行に加え、「こども・若者の性被害防止のための緊急パッケージ」を取りまとめ、緊急啓発期間として8月9月に政府を挙げた啓発活動を集中実施、「加害の防止」「相談窓口の周知」「第三者が被害に気付いた時の適切な対応」の3点を挙げていまることを踏まえ、以下の2点について質問しました。
(1)保育所等での取組について
性被害を防ぐための保育所等での取組と対応について質問しました。
国は、明確ではなかった「不適切保育」の考え方を明確化するとともに、自治体や保育所等に求められることを整理したガイドラインを策定するなど、対策に乗り出している。※1「生命(いのち)の安全教育」については、文科省等の方針を保育所に伝えている。
保育所によって対応が異なり、トイレやプール活動の際の着替えなど普段の保育活動の中で声掛けを行う、また、園の専任の看護師がプライベートゾーンについて教える等の取組を行っている園もある。好事例が複数あるので情報共有し、性被害を防ぐための教育を推進するうえでの判断材料にしていただきたいと考えいるとの回答でした。
子どもを守るという視点を持って、市も協力しながら情報共有と対策を進めるよう要望しました。
(2)生命(いのち)の安全教育について
小中学校での「生命(いのち)の安全教育」の取組について、保護者への説明について質問しました。
令和5年度の教育課程に、「いのちの安全教育」を位置付けるよう指導、各校取組方針を明記し、確実に実施するようにしている。保護者には、学校だよりや学級通信、保護者会などの機会において、校長の判断で適切に周知しているものと認識しているとの回答でした。
子どもから被害を打ち明けられた時の対応について、保護者と子どもと関わる全てのおとなが理解することが必要であると考え、学校や地域、各課連携して取り組んでほしいと訴えました。

令和4年度一般会計決算審査特別委員会

令和4年度一般会計決算については特別委員会を設置し、議長と監査委員を除く17名の委員で、4日間にわたって審査が行われました。
本会議最終日に賛成多数で認定されました。
以下のような質疑を行い、賛否の判断としました。

●庁舎管理事務の光熱水費について
●個人番号事務の窓口業務労働者派遣委託料について
●商工業振興事業の空き店舗活用補助金について
●職員研修事業のWEB研修と自己啓発活動助成金等について
●都市景観事業の土地測量委託料と市民との協働による景観保全の取り組み等について
●中間処理委託料の小型家電リサイクル委託料について
●男女共同参画事業の子ども向けガイドブックについて
●介護予防・地域支えあい事業の生きがい活動デイサービス事業について
●広報事務の「声の広報」について
●自転車駐車場管理事務の修繕料について
など

以下、決算に対する賛成討論

令和4年度は、予算編成の段階では、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が大きいものと予測され、編成に苦慮されました。感染症の影響が少しずつ改善され、決算においては、想定よりも影響が小さかったのではないかと感じておりますが、物価高騰対策に尽力されたと思っています。

歳入は、令和3年度と比較し全体では1.1%の増となりました。市税では、市民税個人の納税義務者の増加と所得増加、法人・事業所の増加と企業の業績好調に伴う増加とのことでした。市の取組としては、監査委員の指摘を踏まえ、法人市民税課税客体の把握のための細かな調査と通知等による働きかけを行い、新たに13法人の申告に結びつけたことを評価いたします。また、軽自動車税等の課税客体の把握でも、調査や所有者への働きかけを行い、12件の廃車処理を行ったことは、未納を減らす取り組みにつながったと評価いたします。

令和4年度は、市の組織を見直したことも大きな変化であったと思っております。新たに公共施設マネジメント課を設置し公共施設の老朽化への対応が強化されたこと、また、福生駅西口地区公共施設整備推進事務では、年度内の減額補正を踏まえ、決算においては適切な支出であったことを確認しました。他にも、環境課を環境政策課とごみ減量対策課の2課に分割されました。資源の循環につながる小型家電のリサイクルの徹底についても確認いたしました。市の組織と事務分掌の見直しを行い、効果的な事務を執り行ったことを評価いたします。審査中には、新たな職員の研修管理システムのメリットなど職員研修についても確認しました。組織を支え動かす職員の育成にも期待いたします。

歳出においては、感染症対策と物価高騰対策、生活困窮者支援や子育てに関連する支援などの多くの事業が実施され、前年度に続き事務量の増加にも対応された年であったと思っております。ほかにも、市ホームページのやさしい日本語への翻訳機能の本格実施や男女共同参画事務の子どもたちに対する継続的な取組も行っていただきました。今後、多様な市民に寄り添った取組とジェンダー平等社会の実現に向けた取組をさらに進めていただきますよう要望いたします。

審査中には、生きがい活動支援デイサービス事業や地域生活支援事業の移動支援事業など、契約の見直しによる適切な歳出に努められたことを確認いたしました。常に改善の意識がなければ、このような見直しにつながらなかったのではないかと考えます。限りある財源を有効に使うものとして評価いたします。

教育行政につきましても、中央図書館改良事業が開始されたこと、わかぎり・わかたけ・武蔵野台の3つの図書館の自動貸し出し機導入により市民の利便性の向上が図られたこと、給食食材調達事業では新型コロナウイルス感染症地方創生臨時交付金を活用し給食費増額の抑制が図られたこと、パラスポーツの理解と普及・啓発のための体験教室を実施されたこと、不登校対策事業やスクールソーシャルワーカー活用事業などの子ども一人一人に寄り添った事業が展開されたことなど、多岐にわたる様々な事業が実施されました。中でも、不登校対策事業では、魅力ある学校づくりに向けた取組を充実させるための「居場所づくり」「絆づくり」の観点からの教育活動の見直しを行ったとのことで、その子が抱える課題だけに注目するのではなく、新たな視点からの取組と、生徒に対するアンケートからも確認できたその効果を評価し、令和5年度の取組にも期待いたします。

以上のことから、令和4年度福生市一般会計決算の認定に当たり、賛成であることを申し上げまして討論をといたします。