令和5年第1回定例会 3月議会報告

2月28日から3月28日まで、3月議会が開催されました。

令和5年度一般会計予算については特別委員会を設置し審査、原案の通り可決されました。
また、国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療の各特別会計予算と下水道事業会計予算についても所管の委員会で審査、原案の通り可決されました。
令和5年度一般会計補正予算第1号では、新型コロナウイルスワクチン接種にかかる費用や幼稚園・保育所等の送迎バス等安全対策支援補助金、福生市民会館の空調設備の修繕にかかる費用等が審査され可決されました。

また、市民から5件の陳情書が提出されましたが、すべて不採択となりました。
そのうち、「消費税・適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入延期を働きかける国への意見書提出を求める陳情書」と「介護保険制度の改善を求める陳情書」については賛成し、本会議にて討論を行いました。

一般質問

●子どもの意見をまちづくりに活かすことについて
子どもがまちづくりに参加することが大切だと考えますが、そのために意見を聴く機会を持つことが重要です。
令和4年度都市計画マスタープランの改定がありました。改定にあたっては、庁舎1階にパネル展示を行うとともにアンケートを行っていましたが、子どもに向けてのアンケートも行っていました。また、都市計画マスタープラン(子ども向け)を作成し、小学3年生から中学3年生までの児童・生徒のタブレットから閲覧できるようにしてあります。
市では、これまでにも計画策定や様々な施策等のために、子どもに対してアンケート等を行ってきましたが、その判断は各担当者が担っていました。そのしくみがなかったためです。こども基本法が4月から施行されるにあたり、国は子どもの意見反映のプロセスについて調査研究を進めています。市は、その結果を踏まえ、これまで以上に充実させていくとのことでした。
子どもの意見を聴き、活かす、まちづくりに参加していることが実感できるようなしくみづくりを要望しました。

●福生市の住宅施策について
市の住宅マスタープランが改定の時期を迎え、その進捗状況を確認しました。
目標として掲げた6つの成果指標については、概ね順調に進捗しています。
基本目標3「空き家の流通と世代を超えて住み続けられるまちづくり」における空き家の除却助成件数は、計画目標の延べ60件を上回り、68件となる見込み。
基本目標4「安心して暮らせる快適な住まいづくり」における住宅の耐震化率では、市内住宅の87.5パーセントが耐震化のある建物となっており、90パーセントの目標値に向けて順調に推移しています。
基本目標5「安全で魅力的なまちづくり」における地区計画の指定件数においても、目標値5件に対し、6件の指定を行っています。
その他の指標につきましては、今後、住民アンケートや、国の調査等の数字によって進捗を見極めていきます。
住宅施策では、高齢者や障がい者など、住まいの確保が難しい住居確保要配慮者への支援が重要だと考えます。市では、支援を行う居住支援協議会は設置しませんが、生活困窮者自立支援窓口を活かした庁内連携や公的住宅への案内・誘導で対応しています。また、都の指定を受けた居住支援法人が活用されているとのことです。
同法人との連携強化、住宅の登録促進のための支援を要望しました。

●高齢になっても住み慣れた地域で暮らし続けるための施策について
高齢になっても地域で暮らし続けるために、地域の見守りや高齢者自身と介護者が相談しやすい体制が必要だと考えます。
令和4年度から地域包括支援センターが2か所から3か所に増え、10月からは高齢者見守りステーションも設置され充実しました。
各地域包括支援センターと見守りステーションにも、支援の状況がわかる地域包括支援センターシステムを配置するとともに、地域包括支援センター・高齢者見守りステーション連絡会を毎月開催して情報共有し、連携を図っていますが、市役所も含めたすべての窓口が、同じ開所時間です。
高齢者の独居の不安に寄り添い、孤立しがちな介護者を支えるため、相談窓口の時間延長や24時間対応する電話相談等を要望しました。

 

令和5年度一般会計予算審査特別委員会(3月8日から11日)

議長を除く全議員16名で構成された予算審査特別委員会を設置し、審査を行いました。以下のような項目について質問し、賛否の判断材料としました。

●新たに設置される子ども政策課と組織の見直しについて
●会計年度任用職員の報酬額について
●平和のつどい記録集について
●窓口業務委託の個人情報保護の観点からの契約内容について
●熊川児童館と武蔵野台児童館の改修工事について
●弥生保育園改良費補助金について
●母子家庭等高等職業訓練自立支援事業について
●重層的支援体制整備事業の移行準備委託料について
●ゲートキーパー研修と自殺防止の取組について
●公園遊具の設置予定とユニバーサルデザイン遊具設置の検討について
●バイオマスプラスチック使用の指定収集袋について
●小・中学校の女子トイレの生理用品設置について
など

本会議5日目に、以下のように賛成討論を行いました。

令和5年度の一般会計予算は、長引くロシアによるウクライナ侵攻や物価高騰の影響がある中での予算編成となりましたが、2年連続で過去最大の予算額となるとのことでした。新型コロナウイルス感染症の影響がようやく薄らいできましたが、その間、児童虐待やDV被害、自殺者の増加、経済的困窮、不登校、地域のつながりなど、その対策があらゆるところに影響しました。感染症そのものではなく、その対策の影響からは、まだ十分に地域社会が立ち直っていない状況にあると感じております。令和5年度は、その状況から立ち直り、まちが元気を取り戻すための寄り添いが大切な年になると考えております。

生活者ネットワークはこれまで、子ども家庭部に1課増やすこと、こども若者計画を策定することなどを要望してきましたが、令和5年度は新たに子ども政策課を設置し、それに伴う組織の見直しについて審査の中で確認いたしました。青少年に関することも、子ども政策課で担っていくとのこと。若い世代への支援が進むのではないかと期待し、評価いたします。子どもこそ多様性、その子のありのままを受け入れる包摂的な社会となるような「こどもまんなか ふっさ」の取り組みを進めていただきたいと考えております。
多様な主体が自然体で活動できる社会の実現に向けた取り組みとして、外国人に向けた防災研修等の多文化共生の取り組みや性的マイノリティへの理解促進と「東京都パートナーシップ宣誓制度」を活用した取り組みについて、審査の中で確認しました。生活者ネットワークとしてもこれまでに取り組んできた重要なテーマであり、これらの取り組みが進むことを評価いたします。
また、重層的支援体制については、参加支援・地域づくり支援、そして属性を問わない相談支援であり、生活者ネットワークとしては「断らない相談窓口」として設置を要望しておりましたが、整備に向けた準備が進められることを審査の中で確認いたしました。多様な市民の暮らしに寄り添った事業であると評価し、今後に期待いたします。

教育については、全校への生理用品の設置について審査の中で、確認させていただきました。これも、新型コロナウイルス感染症対策の影響から明るみに出た課題の一つ、生理の貧困に対応した調査がきっかけとなったものです。予算的には少ないですが、児童・生徒に寄り添った取り組みであると評価しております。
「子育てするならふっさ」「こどもまんなか ふっさ」を教育委員会としても実現するために、また、子どもの最善の利益を考えて取り組みを進めるために、理念の共有や周知の努力を積み重ねる必要性と、子どもと関わる全ての人が子どもの最善の利益を考え職務を遂行していくことの重要性について審査の中で確認しました。
学校においても「こどもまんなか ふっさ」のスローガンが浸透し、多様な子ども一人ひとりの個性が発揮され、子どもの自己決定が尊重される教育の場、子どもの居場所としての学校となるよう、学校へのご指導・ご支援していただくよう要望いたします。

本予算では、法人後見事業の開始やスクールソーシャルワーカー活用事業の充実、放課後の学習支援の継続など、多様な市民に寄り添う多くの事業が確認できたこと、また、生活者ネットワークとして要望してきたいくつかの内容が確認できたことから、令和5年度一般会計予算審査において賛成であることを申し上げ討論といたします。

令和5年度福生市一般会計予算審査特別委員会

市民からの陳情書2件について賛成討論を行いました

陳情第5-1号 消費税・適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入延期を働きかける国への意見書提出を求める陳情書について

インボイス制度は、すべての事業者にとって煩雑な事務が増え、負担が大きくなるだけでなく、消費税に関する問題を解決しないままこの制度を導入することは、事業者にとってさらに大きな負担になると考えます。
消費税は税法上、消費への課税ではなく、事業者が行う商品の販売や役務の提供に課税するものと定められています。事業者が納付する消費税を販売価格に上乗せすることができ、消費者が負担することになっています。消費税を消費者から「預かっている」わけではないので、預かったものを納めていないという批判には当たりません。

売り上げと経費がさほど変わらない事業者の場合、利益はゼロということになりますから、所得税や法人税はかかりません。しかし、消費税では、仕入税額控除の対象になるのは「課税仕入」だけです。この課税仕入の中に従業員への給与・賃金などの人件費は含まれません。消費税は赤字企業にもかかりますから、税金の中で滞納額が最も多いというのもよくわかります。そこで設けられているのが「年間の課税売上が1000万円以下」の事業者の消費税納付を免除するという制度です。所得税における基礎控除のような措置ですが、陳情の要旨にあるように、この制度を利用した免税事業者のままでは取引から排除される可能性が大きい、また、インボイス発行事業者になれば納税と煩雑な事務の二重の負担となり、どちらでも立ち行かなくなってしまうことが目に見えていることがわかります。

国税庁が公表している租税滞納状況の令和3年度に発生した「新規発生滞納額」を見ますと、所得税や法人税ではなく、消費税が一番多く、2年連続で増加しています。税目別では、17年連続で最多、全体の約50%となっています。多額の消費税の滞納が発生してしまう原因については、納税額の計算が簡単ではないことや、納税のタイミングが限られていることなどが挙げられていますが、滞納額全体の約50%が消費税であることを考えれば、中小企業にとっては、課税事業者でも納税に関する事務や納税の負担は大きいものと考えます。
さらに、租税滞納状況は、令和2年度は22年ぶりに滞納残高が増加し、令和3年度に渡って2年連続で増加となりました。国は、厳正・的確に滞納整理を実施していますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるものとされています。物価の上昇等も重なっている今、今年10月からの制度導入は延期すべきと考えます。

また、この消費税に関する問題をクリアにしないでインボイス制度を導入すれば、福生市内でも経営が立ち行かなくなり、廃業に追い込まれる事業者が出てくる可能性は否定できないと考えます。
以上のことから本陳情に賛成であることを申し上げ討論といたします。

陳情第5-5号 介護保険制度の改善を求める陳情書について

介護保険法は、高齢者の現状を踏まえつつ社会のニーズに合わせるため、3年ごとに見直す仕組みとなっています。介護保険制度が創設されて20年以上経ちましたが、厚生労働省によりますと65歳以上の被保険者は、制度導入当初から約1.6倍に、介護サービス利用者は約3.3倍に増加しています。少子高齢化が急速に進行している現状では、介護保険制度の大きな問題点として、給付の増加に伴う財源の不足と人手不足の2つが指摘されています。

2021年7月に厚生労働省は、今後の介護職員の必要数を公表しました。第8期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護職員の必要数を見ますと、2023年には現行より新たに約22万人、2025年約32万人、2040年約69万人の介護職員が必要との試算がなされています。
「訪問介護員(在宅ヘルパ-)」は、もっと深刻な状況となっています。不足しているだけでなく、2021年8月介護労働安定センターが公表した「令和2年度『介護労働実態調査』結果」によれば、訪問介護員(在宅ヘルパ-)の4人に1人が65歳以上という実態が明らかとなっています。
介護人材の確保は最優先で取り組まなければならないと考えます。そのためには陳情要旨にあるように、介護従事者の給与引き上げは必要です。また、介護施設での人員配置基準の見直しや個人に重い責任がかかる一人夜勤の解消など、労働環境の改善が重要です。

また、財源の不足については、持続可能な制度とするための抜本的な制度の見直しと、国庫負担割合を大幅に引き上げることは必要であると考えます。税と社会保障の一体改革は、少子高齢化で膨らむ社会保障の財源確保と財政健全化の同時達成を目指すものですが、この税制改革は消費税の増税をメインに据えています。基礎年金、老人医療、介護の高齢者3経費から、年金、医療、介護給付費、少子化対策の社会保障4経費に拡充され、消費税の増税分を充てるとしていますが、消費税を主な財源とすることに、無理が出てきているのではないでしょうか。さらに、政府は「異次元の少子化対策」に取り組むと発表していますが、その財源も示されておらず、社会保障全体にかかる財源と併せて抜本的な見直しが必要であると考えます。

本陳情書では、経済的な心配をせずに、必要な時に必要なサービスを利用、提供できる制度への転換を求めていますが、それは、高齢者の自己決定に基づき、必要なサービスが受けられ、希望するところで安心して生活できる社会を実現するために必要であると考えます。
高齢者自身と介護従事者、家族介護者・ケアラー、ヤングケアラーの人権と生活を守るためにも、国や東京都へ意見書を提出すべきではないでしょうか。
以上のことから本陳情に賛成であることを申し上げ討論といたします。

2年間、総務文教委員会副委員長を務めさせていただきました