福生市総合教育会議が開催されました
総合教育会議は、平成27年度スタートの新教育員会制度により設置された、市長と教育委員会が教育政策の方向性について協議・調整を行う場です。
今回の議題は「小中一貫教育について」。
今年度からスタートした「令和における福生市立学校の在り方検討委員会」でも、小中一貫教育について議論されていて、その報告がありました。
(この委員会については、後日報告したいと思います。)
その後、「これからの時代に求められる学校の在り方~小中一貫教育推進の視点から~」と題して講演がありました。
講師は、東京女子体育大学・東京女子体育短期大学 小林福太郎教授で、品川区で初の小中一貫教育を実施した伊藤学園(施設一体型の義務教育学校)の初代校長を務められた経験からのお話でした。
「はじめに子ども在りき」
何かを判断するとき、子どもにとってどうか…という視点で判断することが大切だとお話しされたことが特に印象的でした。また、「観念の罠からのからの脱却」することが大切であることも、お話の中で度々繰り返されていたことが印象に残りました。
背景と期待されること、効果について、改革によってもたらされるものの3点にまとめられていました。
背景としては、
・兄弟姉妹の減少、よく遊ぶ友人の減少など、日常的にかかわる人が減っていること
・身長の伸びの比較で、以前は14歳の伸びが大きかったが現在は11歳になっていること
・いじめの認知件数、不登校の出現率、学習の悩み、学習の好き嫌い、生徒指導にみられるギャップ(制服や髪形など)が中学1年生から増えること
が挙げられます。
あまり意識していませんでしたが、まとめて挙げられるとよくわかります。
小中一貫教育になった場合、子供の成長の連続性が重視されること、また、校種間の責任転嫁等の問題が解決されるなどが期待されるとのことでした。
効果については、
・学びの連続性による学力向上
・教育課題(中1ギャップ)の解消
・継続性のある生徒指導
・異年齢集団の交流
・教師の意識改革
特色ある取り組みとして、8年生や9年生が低学年に教える交流授業や全校児童生徒での運動会、5年生から参加する部活動などが挙げられました。また、1年生から4年生は基本の定着、5年生から7年生は基本の徹底、8年生9年生は個性・能力の伸長と、3段階に区切って指導したとのことでした。
これだけ年齢の違う子どもが一つの学校で共に過ごすことへの心配はありましたが、自分が近い将来そうなっていくであろうロールモデルが身近にあることは、子どもにとって良い効果があるのではないかと思いました。
変革によってもたらされるものについては、
・子どもが変わる。小学生年代の子どもにとっては、中学への期待と安心。中学生年代の子どもにとっては、自己肯定感・自己有用感の向上につながる。
・教師が変わる。授業力の向上と子ども理解の促進。
・学校が変わる。
・保護者、地域が変わる。PTAも一つの組織。
小中一貫教育は、子どものためにいいことをするための手法に過ぎない。
制度への依存をもう一度考え直す必要があるのではないか。
と、まとめられました。
教育委員との意見交換では、小中一貫校にすることへの慎重な意見もありましたが、どんな学校をつくっていくのか、福生市の子どもたちと地域にとってより良い学校とはどんな学校なのか、子どもの意見も聴き、まだまだ議論を重ねていかなくてはならないと思いました。