令和4年第4回定例会 12月議会報告     ~一般質問~

11月29日から12月16日まで、第4回定例会12月議会が開催され、以下のような一般質問に取り組みました。

1 幸せを感じることのできる妊娠・出産について

令和3年度に行った特定妊婦のルール化の内容について、また、コロナ禍をきっかけに支援の必要な妊婦が増えているとの報道がありましたので、福生市の現状についても質問しました。さらに、妊娠届け出前の葛藤している時期の相談支援の状況についても質問しました。
(「特定妊婦」は、2009年に改正された児童福祉法に明記され、・収入基盤が安定せず、貧困状態にある・知的・精神的障害などで育児困難が予測される・DVや若年妊娠など複雑な事情を抱えているなど、「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」と定義されています。自治体に登録され支援を受けることができますが、自治体によってそれぞれ判断されます。)

継続した支援を必要とする10代での妊娠、未婚、高齢初産、外国籍、経済難などが要支援妊婦にあたります。ルール化の内容は、すべての要支援妊婦を新たにつくられた特定妊婦チェックシートでその支援内容を確認するとのこと。妊娠届け出をする子育て世代包括支援センターと虐待等に対応する子ども家庭支援センターが同じチェックシートを活用することで、切れ目なく支援が行き届くよう連携強化が進んだとの回答でした。
要支援妊婦全員をチェックすることで、支援の手からこぼれる人が減ることが予想されます。また、チェックシートがあることで妊娠届出時に受け付けた職員によって受け止めに相違がないよう取り組みが進んだこともわかりました。
また、平成30年にも特に支援の必要な要支援妊婦への個別支援プラン作成などについて質問し、届け出の約34%の方に個別支援プランを作成していると回答を得ていましたが、令和3年度は、届け出の約54.0%、令和4年度は10月までで約51.9%とのこと。支援の必要な妊婦が増えていることがわかりました。

妊娠葛藤時期の相談支援については、子育て世代包括支援センターでも相談可能ですが、相談例は非常に少ない。「東京都妊娠相談ホットライン」と連携して取り組むとの回答でした。相談窓口のわかりやすい周知等を要望しました。

 外国につながる子どもや保護者へのサポートについて

国の外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策では、社会参加のための日本語教育や情報発信・相談体制の強化、ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援等が示されています。子どものライフステージの変化として、保育所等への入所、保育所等から小学校、義務教育から高校進学時の支援、課題についてを質問しました。

(1)未就学児への対応について
市内在住の外国にルーツを持つ保護者や子どもの状況は大変多様である。保育所等では、スマートフォンの通訳アプリを利用するなどしているが、子供の病気や食物アレルギーなど正確な通訳を必要とする場合は、市が常備しているタブレットを貸出し活用している。対応に困ったときの相談は、厚生労働省の「保育所等における外国籍の子供の保育に関する取組事例集」を参考に、担当課が対応している。小学校への入学準備として、各学校で開かれる就学時健康診断に日本語学級の教員が巡回相談を行っているとの回答でした。

幼児期から専門家による助言等が必要であると考え、市内の日本語支援を行っているNPO法人との連携、市としてアドバイザーを依頼する等を要望した。

(2)小中学校での対応について
福生第一小学校、福生第二中学校にそれぞれ日本語学級を設置し、生活言語能力と学習言語能力を身に付ける指導を行っている。通常の学級における指導では、状況に応じて「スクール・アシスタント・ティーチャー」を配置。「日本語適応支援員」が指導内容を通訳したり、学校からの配布資料を翻訳したりするなど、児童・生徒が安心して学校生活を送れるよう、保護者を含めた支援体制を構築している。
課題としては、保護者が用いる言語が多様化している状況や、福祉的な支援を要する外国人児童・生徒等が多い状況から、関係機関等と連携し、きめ細かな支援が求められていることである。高校受験については、制度等について理解できるよう、多言語高校進学ガイダンス東京実行委員会が開催する「多言語高校進学ガイダンス」や「東京高校進学ガイド」を、該当する生徒や保護者に内容を紹介するなどしているとの回答でした。

これまでにも、日本語支援の必要な子どもへの取り組み等を取り上げてきましたが、課題解決に向けて改善されていることが確認できました。
今年3月に公表された国の調査では、日本語支援の必要な子どもの特別支援教室の在籍率が、それ以外の子どもの割合よりも1.4ポイント高いことが分かったとのことから、新たな課題への取り組みを訴えました。また、専門家との意見交換から母語支援の必要性も訴えました。

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3、人と環境にやさしい「農」と「食」について

国はみどりの食料システム戦略を策定し、化学肥料や化学農薬の使用量を減らし、有機農業の取組面積を拡大することを掲げています。また、環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進に関する法律が今年7月に施行され、地場産物の活用と同様に学校給食における有機農産物の活用の推進も期待されています。
環境に配慮した農業と食育の取り組みについて、保育所等での給食等の考え方や食育について、学校給食で使用される食材等について質問しました。

(1)環境にやさしい農業と食育について
福生市農業委員会や各関係機関と連携し、「東京都エコ農産物認証制度」の認証取得の推奨に取り組んでいる。認証を取得した生産者は、認証された農産物に「認証マーク」をつけて販売することが可能となり、消費者に対し安全安心で環境にやさしい農産物であることをPRすることができる。現在、市内在住の8名の農家が合計74品目の認証を取得している。認証を取得していなくても減農薬栽培等に取り組んでいる農家も数多いる。引き続き各関係機関と連携し、制度の周知や認証取得の支援を行う。
食育の取組みについては、学校給食への地場産野菜の提供や農業委員会と連携し市内イベント等において地場産農産物の供給を通じて食育の推進を図っている。市内小学校で米や落花生の栽培など、農業体験学習を実施している。特に落花生につきましては、農業委員会や市内農家の方々にご協力いただき、児童とともに種まき・育成・収穫そして実食を行うといった内容。幼稚園や保育園に対しまして、地域の農家が個別に対応しており、サツマイモの収穫体験等を実施しているとの回答でした。

(2)保育所等の「食」について
保育所等で提供される給食等は、全施設が自前の調理室で全て手作りで提供している。献立の作成は、各施設における「保育課程」と「指導計画」の中に位置付けるもの。病気やアレルギー、発達に対応し、家庭状況、入所前の生育歴や入所後の記録など、必要に応じてひとりひとり丁寧に計画を立てることも重要。そのため、単なる食事の提供にとどまるものではなく、保育の一部であり、各施設における特色や考え方が強く反映されるべきものであると考えている。
「食育」の内容や考え方は、「食育基本法」や「保育所における食育に関する指針」などが示す方向性等を基本としている。そのうえで、各法人、各施設において、それぞれの特色を生かした取組を行っている。例えば、農業体験の場を提供してくれた農家から調達した食材を使用することや、園庭などで子どもたち自らが作った野菜を収穫し、それを調理して給食で提供するという取組を行っている。特色のある取組を創意工夫して行うことにより、保育の一環としての食育を推進しているとの回答でした。

減農薬などに取り組む地場野菜を給食に活用できるよう情報提供するよう要望しました。

(3)学校給食について
学校給食食材は「福生市学校給食用物資規格基準」に基づき購入している。より安全で安心な食材を選定することを目的に、「食品衛生法が遵守されているもの」「原則として国内産原料のもの」「不必要な添加物は使用しないこと」「遺伝子組み換え食品及びこれらを原材料にした加工食品は使用しないこと」など、取り扱う全ての物資に7項目の注意事項と、野菜、果実、乳製品などの個々の食品、合わせて140項目以上にわたり、品質も確認できるよう細かな基準を定めている。地場野菜は、長さ、太さや重さが規格外となっていても、可能な限り調理で対応することを前提に「福生市学校給食センター使用地場野菜 希望規格書」を別に定め、積極的な購入を行っている。今後も望ましい食習慣が形成されるよう、安全・安心な給食の実施に努めるとの回答でした。
また、食材の細かな点についても質問しました。
使用している小麦粉については、パンの原料は、食パンや丸パンなど種類に応じて、国産小麦又は輸入小麦を使用。麺類の原料は、うどん及び揚物など調理で使用する小麦粉は国産小麦を、その他の中華麺、スパゲティ等の乾麺は輸入小麦を使用していることが確認できました。
規格基準に、遺伝子操作したものを使用しないことも明記することを提案しましたが、ゲノム編集食品は、法令上、国において表示義務が課せられていないことから、現時点では、明確に見分けることが難しく、今後も情報収集を行っていくとのことでした。
令和5年4月から表示が改正になる遺伝子組み換え食品表示については、大豆、トウモロコシとその加工品について、添加物を除いた主要な原材料は「遺伝子組み換えでない」と表示された食品を使用しており、表示改正後も「遺伝子組換えでない食品」を取り扱う予定ということが確認できました。
規格基準に、農薬の使用を極力減らしたものと定めることについても提案。SDGsの観点等からも意義があるものと捉え、減農薬栽培の地場産野菜を積極的に取り入れているが、農薬の使用を極力減らした野菜は、通常の食材よりも価格が高く、安定的な入手が困難であること等の課題があると認識している。引続き、研究を行っていきたいとと考えているとの回答でした。

農薬の使用については、明確にすることで、減農薬に取り組む地域の農家の取り組みを後押しすることにつながると考えます。他市の事例等も参考に取り組んでほしいと訴えました。
農水省の調査では、学校給食で有機食品を使っている自治体は123市町村。お米だけ、ニンジンだけなど1種類から取り組んでいるところが多くあり、完食率が上がり残菜が減った、子どもの集中力が上がったなど、美味しさや栄養価が高いことで体調に変化がみられる例もあることから、福生市でも先ず1種類からでも取り入れられるよう、情報取集など行ってほしいと訴えました。