令和3年第4回定例会 12月議会報告

11月30日から12月17日まで、12月議会が開催されました。

本会議最終日には、児童を養育する者の年収が960万円未満の世帯に対して児童1人につき10万円を給付する「子育て世帯臨時特別支援事業」や住民税非課税世帯に対して1世帯当たり10万円を給付する「住民税非課税世帯等臨時特別給付金給付事業」等の補正予算が審議され、全会一致で可決されました。また、パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度の創設と性的指向、性自認、性表現を理由とする差別をしないための諸施策を講じることを求める「パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度に関する陳情書」が全会一致で採択されました。

一般質問

1、DV・デートDVの未然防止策と被害者支援について
コロナ禍で被害が増加したDV・デートDVの未然防止策と被害者支援について、市の考え方、日常的な取組、コロナ禍においての取組について質問しました。
女性に対する暴力は人権を著しく侵害するもので、未然防止策として、暴力に対する認識や被害者の速やかな救済に繋げられるような啓発が重要と考える。「女性に対する暴力をなくす運動」期間中(11/12~25)は、本庁舎1階に特設コーナーを設け啓発を行った。日常的には市のホームページをはじめ、「女性悩みごと相談カード」を公共施設や駅前公衆便所等の女性用トイレへ設置するなど、相談先を周知している。デートDVは、早い時期からの啓発が効果的と考え、中学1年生向けの男女共同参画啓発用ガイドブックで具体例や相談先の掲載、成人式では、デートDV防止のために、わかりやすく説明したチラシを配布し啓発に努めている。コロナ禍における取組みとしては、男女共同参画情報誌「あなたとわたし」で「コロナと男女共同参画」という特集を組み、全国共通「DV相談ナビ」「女性悩みごと相談」「DV相談+(プラス)」等の相談窓口を継続して周知し、相談へつながるよう努めたとの回答でした。
「女性に対する暴力をなくす運動」の啓発活動を本庁舎だけでなく、駅頭などオープンな場所で啓発することで、無自覚に加害者となることを防ぐ効果があると考えます。被害者となり得る人だけが注意するだけでは不十分ですので、加害者にならないための認識を広げる啓発を要望しました。

2、自殺防止対策について
コロナ禍において女性の自殺者数が増加していることが問題になっていますが、令和3年になってからは、年々減少していた男性の自殺者数も増加に転じています。各課で市民に対応される職員の意識や対策が重要であると考え、市の考え方と取組について質問しました。また、子育て世代への支援やゲートキーパ研修についてと、自殺対策の要となる福生市健康づくり事業推進会議の実施状況について質問しました。
福生市自殺総合対策計画の基本施策では「生きることの促進要因への支援」として、各課が市民サービスを提供する中で、自殺予防の視点からも支援を行う。また、重点施策「生活困窮者に係る支援」として、生活困窮に陥った方等への相談先の周知や相談窓口における支援の充実、支援につながっていない方を早期に支援につなぐための相談機関の連携等にも努めている。コロナ禍においては、相談を躊躇されたり、集える場所が限られたりなどでお困りの方もいると思う。気づく、声をかける、そして共感するということが非常に重要。職員研修等、職員の意識を醸成する取組も行う。また、令和3年度の新たな取組として、民生委員・児童委員を対象としたゲートキーパー研修や駅頭での自殺予防キャンペーンを予定。子育て世代へは、妊娠届け出時の面談や産後ケア事業の延長など多くの事業を実施しているとの回答でした。
福生市健康づくり事業推進会議は、コロナ禍で十分に機能できていないことが課題として挙げられたことから、今まさに必要な会議であり、工夫して課題に取り組むよう要望しました。また、駅頭での自殺予防キャンペーンは3月実施とのこと。通学で駅を利用する高校生にも啓発できるよう春休みになる前に実施してほしいと訴えました。

3、小・中学校における自殺防止に向けた取り組みについて
昨年度、令和2年度に自殺した児童や生徒は初めて全国で400人を超え、小中学生の不登校は19万人以上と、いずれも過去最多となったことが分かりました。福生市自殺総合対策でも「SOSの出し方に関する教育」に取り組むこととされていることから、喫緊の課題となっている自殺防止の取組内容についてついて質問しました。また、教員がSOSを受け止めるための体制が重要であることから、留意点等を質問しました。
東京都教育委員会(以下、都教委)が開発したDVD教材「SOSの出し方に関する教育」を活用。発達段階に応じて保健体育や道徳の授業で実施している。令和3年9月、新たな取組として、都教委と連携を図り、「子供輝く@東京 エールウイーク」を実施した。自殺が多く起こる傾向のある夏季休業日明けに、児童・生徒の自己肯定感を高めることをねらいとして、市内全校で実施。一例をあげると、担任が児童一人ひとりに「がんばっているところ」「よいところ」などのメッセージをiPadに送るなどした。このような特別な取り組みにもまして大切なことは、教員が子どもの小さな変化を見逃さないようにするとともに、児童・生徒が安心して相談できる環境を整えることであると考え、教育相談室等の相談機関の連絡先を記したカードを配布。留意点としては、教員が一人ひとりの様子に注意を配り、その変化に気付くこと。学校が安心して相談できる場となるよう環境を整え、子どもたちが安心して相談できるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家と連携し、組織的な相談体制をつくること。相談を受けた際の子どもへの対応で、適切な言葉掛けで対応することが大切。都教委が開発したDVD教材には、教員向けの指導資料「相談する時、受け止める時等の言葉例」等があり参考にしているとの回答でした。
コロナ禍で、家庭環境に変化のあった子どももいることを考え、家庭と連携して子どもたちを見守ってほしいと訴えました。

4、全ての子どもたちに学ぶ機会を確保することについて
(1)「福生市立学校の不登校総合対策」について
平成31年第1回定例会では、教育機会確保法が平成28年2月に施行されたことから、「福生市立学校の不登校総合対策」の見直しを要望しました。その後、令和元年第3回定例会でも質問し、改定を行う予定との回答を得ました。今年3月に改定された「福生市立学校の不登校総合対策」の改定の視点について質問しました。
改訂の視点としては、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、不登校児童・生徒の社会的自立を目標に見据えた対応策としたことや、新たな不登校を生まないために、児童・生徒の居場所づくりと きずなづくりを重視した。「居場所づくり」とは、全ての児童・生徒にとって、学校や学級が落ち着ける場所 となるよう、教員主導で進める取組 で、教員が教育活動として計画したレクリエーションなどを行うことをとおして、子どもたち同士のよりよい人間関係を形成することや、 学級内で発生した いじめにつながるからかい に対して、教員が 毅然とした態度で注意すること などを通して、子どもたち が安心して過ごすことができる環境をつくることなどが相当する。「きずなづくり」とは、学校生活の中で、子どもたち自らが互いに「絆」を感じとり、紡いでいく取組のことで、 児童・生徒が主体となって 進められるもの。授業や行事などで、全員が活躍し、互いが認め合えることが、子どもたち相互のきずなづくりにつながるため 、教員は子どもたちの 「自発的な思いや行動」が湧き上がるよう な場と機会を工夫して設定することとの回答でした 。

(2)コロナ禍で登校できない子どもへの学習機会の確保について
感染への不安によるいわゆる自主休校など、「感染回避」の目的で30日以上休んだ人数は、小中学生と高校生で合わせて全国では3万287人に上りました。(小中学生が2万905人)
感染症への不安を理由に、学校へ登校できなかった子どもに対する学習の機会の確保についてと、学校の対応内容について質問しました。
学びを止めない取組を行うことは重要。市教育委員会は、児童・生徒に貸与したiPadを活用し、オンラインによる学習を行うよう、各学校に通知した。その際、留意事項について校長会で共通理解を図り、指導主事が各学校へ訪問し、指導・助言を行った。保護者からは、自宅にいる児童・生徒にとっては、教室で行われている話合い活動に参加できたことや、教師から 励ましの言葉を受けられたこと、友達との交流ができたことなど、登校できないことに対する不安を解消することができた、と
いう声が寄せられている。また、学校行事に間接的に参加できるよう 、 一人一人の状況に応じオンラインを活用し対応をしたとの回答でした。
文部科学省の調査では、不登校の要因として「無気力・不安」と「生活リズムの乱れ」の割合が増加しているとのこと。登校できない子どもは教員の目が届きにくいことを考え、家庭とのさらなる連携の重要性を訴えました。

 

陳情第3-7号 パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度に関する陳情書について、以下のような賛成討論を行いました

陳情第3-7号 パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度に関する陳情書について賛成討論いたします。

生活者ネットワークではこれまで、東京都にある地域の生活者ネットワークが連携し、性的少数者に関する課題について学び、当事者や当事者に寄り添うアライの方々とも意見交換等しながら政策づくりを行い、課題解決のための取組を行ってきました。

福生市においては、男女共同参画行動計画第5期に初めて「性的少数者に配慮した取組」が謳われ、現行の第6期に引き継がれ、「社会に参画していくことを支援するための取組」を進めることになっています。また、これまでに公民館の連続講座、男女共同参画セミナーでも当事者団体を講師に理解を広げるための講座を開催していただきました。私が参加させていただいた時には、市内にお住いの当事者の方も参加されていました。

私も、一般質問等で取り上げ、また、これまでの市に対する予算要望で「全教職員に、性的少数者に対する理解を深めるための研修を行うこと」「性的少数者への偏見や差別をなくすため、市民への理解を広げる学習の機会をつくること」を求めてきました。令和4年度予算へは、さらに「パートナーシップ制度」を導入することを盛り込んだ要望とさせていただきました。
今年は、平和と人権の祭典オリンピック、性的指向を含むあらゆる差別を否定する五輪憲章を踏まえ、東京オリンピック・パラリンピックが「多様性と調和」をテーマに開催されました。にもかかわらず、国会では、超党派の議員で成立を目指してきた「LGBT理解増進法案」が事実上廃案となりました。同性婚に関する法整備も遅れています。であれば、陳情事項にあるように、差別を生まないための施策を講じることやパートナーシップ制度・ファミリーシップ制度の創設を自治体が行っていく必要があると考えます。

社会には、すでに多様な家族が暮らしています。同性愛者には、過去に異性との間に子どもをもうけた人や、精子の提供を受けて出産する人もいます。家族でありながら、様々な場面で社会的な不利益を被っていることは問題です。また、当事者の自己肯定感が低いこと、自殺念慮が高いことも課題として挙げられます。子どもたちにとっては、とても深刻です。当事者自身も同性愛嫌悪の感情を持っている場合もあります。自分が人と違うと思った時に、それを受け入れるのに時間がかかります。陳情要旨にもあるように、制度を創設することで、自分らしく生きる大きな力となることを考えれば、差別をなくし、パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度の創設は必要であると考えます。

以上のことから、本陳情に賛成であることを申し上げ討論と致します。