学校の外での学ぶ機会~総務文教委員会視察報告~

各務原市役所からの景色

かかみがはら航空宇宙博物館・寺子屋事業の一つ「ものつくり体験教室」が行われています

かかみがはら宇宙博物館見学

みんなの森 ぎふメディアコスモス

メディアコスモス2F 中央図書館

館長から説明を受けました

10月25日・26日の2日間、岐阜県各務原市と岐阜市を視察させていただきましたので、報告させていただきます。

総務文教委員会視察報告

1、期間    平成30年10月25日(木)~26日(金)

2、視察先   ①岐阜県各務原市  ②岐阜県岐阜市

3、目的    ①かかみがはら寺子屋事業2.0について

②子ども司書について、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」について

4、視察概要

①各務原市・かかみがはら寺子屋事業2.0について

各務原市では、市長マニフェストから平成26年度に「子ども寺子屋事業」がスタートした。地域で活躍できる人材を育成するとともに郷土愛を醸成することを目的に、各務原ものづくり見学事業、ふるさと歴史発見事業、基礎学力定着事業を開始した。平成27年度からは福祉体験事業を拡充し、平成28年度から事業再編、かかみがはら寺子屋事業2.0となった。  ①未来を担う子どもたちに「夢や目標」をもって成長してほしい、②郷土への「誇り」をもって成長してほしい、③「基礎学力」をしっかりと身につけてほしい、④体験活動を通じて「豊かな心」を養ってほしい、この4つのコンセプトの下、市民や企業等が子どもたちを見守り・育て・夢を育む環境を作り上げることで地域全体が子ども立等一緒に成長し、地域の絆を強化することにつなげている。

 

②岐阜市・子ども司書について

平成27年度スタートした子ども司書養成講座は、「本と人を結ぶリーダー」となる子ども司書を育て、講座で得た経験や知識を地域や学校で活かすことのできる人材を育てている。毎年7月から8月にかけて4日間全16講座中、14講座を受講することで認定される。定員20名だが、抽選になるほどの希望者数だ。(みんなの森 ぎふメディアコスモス内の市立中央図書館で開催)  平成28年5月からは講座を終えた子ども司書が、ぎふメディアコスモスでつくるラジオ番組の1コーナーを担当し、12分間の番組を制作している。

「みんなの森 ぎふメディアコスモス」について

市の中心市街地に位置する岐阜大学医学部跡地で事業展開している「つかさのまちプロジェクト」の第1期として、「知の拠点」の役割を担う中央図書館、「絆の拠点」となる市民交流センター・多文化共生プラザ、「文化の拠点」となる展示ギャラリー等からなる複合施設で、プリツカー建築賞を受賞した建築家・伊藤豊雄氏とともに建築を進めた施設。全体に壁がなくオープンな空間で「まち」のような建築、東濃ヒノキを使った木製格子屋根で「大きな家」のような空間とグローブで分けられた「小さな家」のような空間、環境に配慮されエネルギー効率の良いつくりになっている。  集客の多い図書館を配置することで市民が来たくなる施設を目指し、年間利用者数も15万人から130万人に増加した。民間の風を入れる目的で館長を公募した。小学校でワークショップを行い「寝っころがって本を読みたい」との子どもの声も活かし、特色ある図書館となった。

 

5、所感

各務原市は、戦前から飛行機の作り手が移り住むことで栄えたまちで、関係企業以外にも工場等が多く存在し、特色ある産業も多く存在している。寺子屋事業2.0の中でも、ものづくり見学事業は地域の特色を生かしていて、地域への愛着や将来の職業選択、長い目で見た定住化対策にもつながるのではないかと感じた。基礎学力定着事業(放課後学習室)は、小学生は主に3年生が対象とのことだが、すべての小学校区で開催されているとのことで、子どもの足で通える範囲内での開催は、無理なく支援が受けられるという大きなメリットがある。小学生には地域住民が主な指導者となるとのことだが、地域で顔見知りを増やす効果もあり、地域コミュニティーが強化し、防犯の効果や災害時にもその効果が期待できるのではないか。中学生には教員OBや教員を目指す大学生が指導している。学習支援はもちろんのこと、保護者や教員以外の斜めの関係にある大人との交流を持つというメリットも期待できるのではないか。教育委員会とも連携し、教材としている問題集も市オリジナルで作成、力を入れていることがわかる。夏休み子ども講座は、地域の大人が公民館等の社会教育の場で得た学びの社会への還元としておこなわれていて、市民力の向上と生きがいづくりの効果もあるのではないかと感じた。  かかみがはら寺子屋事業2.0は5つの事業からなっているが、担当課がそれぞれであることから企画政策課が取りまとめている。協力してくださる市民や企業の継続した確保が課題だが、今のところは増加傾向にあるとのこと。地域全体で子どもの育ちを応援することで、市民力の向上につながっていると感じた。  岐阜市の子ども司書養成講座の取り組みは、その説明からも本を通じて子どもたちに学びの場を与えるだけでなく、自分で考え社会に働きかけていくということの体験の場になっていると感じた。まだ4年目の事業だが、司書講座を終えた子どもたちの人数も増え活躍の場が広がることで、様々な方面への波及効果が期待できるのではないかと感じた。  図書館全体の取り組みとしても、中高生専用の場と「心の叫びを聴け!掲示板」、子どもが寝っころがって本を読めるスペース、毎日開催される読み聞かせの会、学校に本を届けるわんこカートの巡回、図書館と地域をつなげるまちなかライブラリ―など特色ある取り組みをしている。本の陳列や情報発信、イベント開催、ポップの作成などは、それぞれの図書館司書が力を発揮しているのがよくわかた。図書館では「私たちが大切にしたいこと」を利用者に伝えることで、多くの市民に気持ち良く過ごしてもらえるよう試みている。「子どもの声は未来の声」として、子どもの育ちを見守って欲しいということと、子どもに公共の場でのマナーを教えてほしいということを呼びかけている。これは、どの図書館でもすぐにできることで、小さなこどもを連れて図書館を利用しにくいと感じている市民の図書館利用のハードルを下げるものだと思った。  今回の視察では二つの事業をみさせていただいたが、どちらも学校教育以外の学びの場を子どもたちに提供する事業というのが共通点だ。自分の得意なことを見つけたり、好きなことをより好きになったりできる。それを将来に生かすことができたり地域で活かす場ができたりすることで、生きる力を身につけたり地域に愛着が持てるのだと思う。  福生市でも学校教育以外の学びの場はあるが、それに横串を通し連携することで、さらに効果が上がるのではないかと思う。この視察で得たものを政策に活かしていきたい。