子どもたちと明日をつくる・・・
『子どもの貧困対策2.0に向けて 法成立5周年・あすのば設立3周年のつどい』に参加しました。
(6月16日 国立オリンピック記念青少年センター)
「法律と大綱の現行1.0から2.0への改正を目指し、さまざまな人とともに考え、改正への提言を広く社会に発信する」ことを目的に開催されました。
2013年「子どもの貧困対策法」成立から2年経った2015年6月19日に、子どもの貧困対策センター「一般財団法人あすのば」が設立され、2016年4月に公益社団法人となりました。
「あすのば」という名前は、「明日の場」であるとともに「US(私たち)」と「NOVA(新しい・新星)」という意味もあり、子どもたちが「ひとりぼっちじゃない」と感じてほしい、「私たち」と一緒だと感じてほしいという願い。そして、多くの人に子どもの貧困問題が他人事ではなく自分事に感じてほしい。みんながつどう「場」であってほしい、すべての子どもたちが明日に希望を持って、輝く新星のような人生を送ってほしいという願いが込められています。
実態調査や子どもの声に基づく「政策提言」、支援団体のつながりや活動の質の向上のための研修会の開催等を行う「支援団体への中間支援」、小学・中学・高校への入学給付金の支給や子ども支援のモデル事業を行う「子どもたちへの直接支援」の3つが事業の3本柱です。
先ず、あすのば設立から3年のあゆみとして、これまでの取り組みを年表にして、卒業生と現役生からの発表がありました。
虐待を受た経験があったり、進学をあきらめようとした経験があったり、家族みんなで暮らしているがきょうだいに障がい者がいるため母親が仕事に就けず困窮していたり・・・一人ひとり困っている中身が違っていることがわかり、あすのばの支援を受けられたことで希望が持てたことなどお話を聞くことができました。
「子どもの生活と声1500人アンケート最終報告」では、ただ数字を追うだけでなく、クラスター分析を行いパターン化したことで見えてきたことなどが報告されました。
・ふたり親で多子の場合は、支援が少なく、支援の対象外になるケースが多いこと。
・貧困が連鎖している家庭。ひとり親家庭の親は、自身もひとり親家庭で育っていることや第一子の出産 年齢が若年傾向にあること。
・ひとり親家庭で、非正規でダブルワーク、年収は貧困線の少し上にある状態。
・ひとり親家庭で、生活保護を利用せず非正規で働いている母親。
・生活保護家庭で、体調が悪く働けない、支援のニーズも多い。
の5パターンとどこにも当てはまらないパターンの6パターンに分類することができるそうです。
さらに、子ども委員会のメンバーが、子どもと親に個別に聞き取り調査を行い報告されました。
この報告書には「~ひとりひとり、1/1の生活と声に向き合って~」とサブタイトルが付けられていました。一人ひとり個人を、一人の人として尊重し支援していくことの大切さがうかがえる言葉だと感じました。
その後は、グループに分かれてのワークショップ。
同じテーブルには10代の大学生から50代(私が最年長のようでしたが)まで、介護職の方もいて職業も様々でした。子どもの貧困対策についていろんな角度からの意見が出され、私たちに何ができるか話し合い、とても充実したワークショップとなりました。
小河光治・あすのば代表理事が閉会にあたり、「アンケートの最終報告とワークショップでの提言などを子どもの貧困対策議員連盟の会合などでお伝えし、実効性の高い法改正をめざしたい」とあいさつされました。
子どもの貧困対策法制定から5年。どの子も学ぶことや夢をあきらめなくていい社会に、おとなの責任でしていかなくてはならないとあらためて思いました。
2013年当時の東京新聞の社説に、英国のブレア首相を支えた財務省のブラウン氏の言葉があり、そこには「子どもは人口の20%だが未来の100%だ。」と書かれていました。ブレア政権となった当時は子どもの貧困率は14%だったそうだが、5年後には10%までになったそう。未来のために、今、本気で取り組まなくてはならない課題だと思うと同時に地域でできることを実践していかなくてはと思いました。