平成30年第一回定例会 3月議会報告

平成30年第一回定例会が、2月27日から3月27日まで開かれました。
今議会では、介護保険制度改定のための条例改正や国民健康保険税についての条例改正がありました。また、平成30年度福生市一般会計予算審査を、特別委員会を設置して行いました。
陳情は3件、中でも『「日本政府に核兵器禁止条約の調印を求める意見書」提出を求める陳情書』の採択を求めて討論を行いましたが、軍縮は段階的に進めるべきで現在はその段階ではないという理由で不採択になったことはとても残念です。

一般質問

1、若者の声をまちづくりに活かす施策を

若者が一人の主権者として、地域づくりや社会づくりに関わることが主権者教育となり、責任ある市民を育てることにつながると考えます。また、地域愛を育むことにもつながると考えます。  山形県遊佐町では「中高生政策」を決定するための『少年議会』が置かれています。また、愛知県新城市では市長の付属機関として「若者総合計画」の策定・実施について調査・審議する『若者議会』が置かれています。福生市でも、若者の声を市政に活かす取り組みが必要だと考えますが、市ではどのように考えるか質問しました。  また、平成29年度は、市のすべての計画の基になる「第5期総合計画」(平成32年度実施)策定に向けての準備が始まりました。すでに基礎調査(アンケート調査)が行われましたが、計画に若者の声を活かすということについて、どのように考えるか質問しました。

若者の声を聴くことは重要であると認識しているが、議会や付属機関は設置していない。パブリックコメントや「市長への手紙」で政策提言を受けたり意見聴収を行っている。例えば防災行政では、消防団として若者に参画もしていただいている。  これからのまちづくりに若い力は当然必要であり、若者の意識や感覚を知り、計画に反映させていくことも考えなくてはならない。そういった意味もあり、若手職員を対象とした※ワールドカフェを行い、「福生の理想の未来像」などのテーマでアイディアを聴いた。来年度は市民を対象としたワールドカフェを行い、今回出されたアイディアとともに、総合計画の基本構想策定のための検討材料とするとの回答でした。

防災行政だけでなく、各課でつながっている若者の意見を聴き、若者と地域をつなげる役割を行政に担ってほしい。10年間の総合計画や様々な長期にわたる計画が進み、次代を担う若者を育てる大事な時期でもあるので、若者の声を活かし、地域に参加・参画できるような施策の検討を要望しました。

※ワールドカフェ:カフェにいるようなリラックスした環境で行うディスカッション。4~5人のグループでテーマについて話し、メンバーを変えながら議論を深めていく、意見交換や意見集約の手法。

2、生活困窮者自立支援について

平成27年4月、自立相談や住居確保給付金の支給等を行う生活困窮者自立支援制度が、第2のセーフティーネットとしてスタートしました。平成29年度からは、任意事業である子どもの学習支援にも取り組んでいます。  国民生活基礎調査から算出された相対的貧困率は15.9%で、厳しい生活を強いられている家庭は少なくないと考えられ、この制度はますます重要になってくると考えます。  現在の状況について、人材の確保や相談体制について質問しました。  また、任意事業である家計相談事業は、その家庭の包括的な支援につながるので取り組むことが必要だと考えますが、どのように考えるか質問しました。

担当職員、相談員ともに経験豊富な人材で、国や都の研修会にも参加している。自立相談員が聞き取りを行い、要件に合う場合は住居確保給付金の支給を行う。要件に合わない場合は、その困りごとに応じて関係機関とつなげている。ハローワークと連携して就労支援を行い解決した事例もある。子どもの学習支援は、市内NPO法人に委託しているが、参加者が少ないのが現状。来年度は、就学支援費支給の決定通知にチラシを同封するなど、教育委員会と連携して周知し、チラシの内容も工夫すると回答。家計相談事業の取り組みは考えていないが、相談事業の一層の充実を図り対応していきたいとの回答でした。

関係機関とつなげた後、相談者の生活が改善されたかどうかの追跡が必要であること、相談しやすいように窓口の愛称等も検討してほしいことを要望。また、子どもの学習支援のチラシをわかりやすく書く工夫とともに、支援を受けることの重要性を保護者に伝えてほしいと要望しました。

3、福生市公民館開館40周年事業について

公民館は、社会教育や生涯学習の場として多くの市民に利用され、市民の自主的な活動を支えています。また、文化交流やコミュニティの場、地域の課題解決につながるような講座を行うなど、多様な役割を担っています。  1月28日には「公民館のこれまでとこれから~参加と協働の多様性を目指して~」と題して、開館40週年記念事業としてシンポジウムが行われました。このシンポジウムでの意見等を、今後の公民館にどのように活かしていくのか質問しました。

市民の学習欲求にこたえていくために一層の充実を図る。新たな人材発掘にも努め、関わる市民を拡大し、また、学習の成果を地域で活かす環境づくりと支援が必要。講座の参加者と地域をつなげるため、福祉施設で学習の成果を発表する企画を考えている。人と人とをつなげていくと同時に、地域のリーダー育成を目指した講座を実施し、充実を図りたいとの回答でした。

新たな人材発掘にもつながるよう、若者向けの講座の開催を要望。また、公民館だけでなく、「地域学び合いボランティア」制度とも連携して、地域で必要としている市民とつなげるネットワークづくりを進めてほしいと要望しました。

予算審査特別委員会

平成30年度一般会計予算審査特別委員会が開かれ、予算がどのように使われるのかを質疑を通して審査しました。
子育て施策では、子ども子育て支援事業として、新たな計画づくりのための調査が始まります。調査項目について質問し、子どもの貧困が社会問題となってることから、子どもの生活実態調査等、対策を行なえるような調査を要望。また、学童クラブ事業では、受け入れ児童の見込み数が増えることへの対策について質問し、併設する施設を一部利用して対応することを確認しました。しかし、応急処置的な対応なので、抜本的な解決に向けての取り組みを要望しました。
スクールソーシャルワーカー活用事業、不登校対策事業は活用していた都のモデル事業が終了することから対策について質問し、縮小しながらも市の予算で事業を継続することを確認。また、新入学児童・生徒学用品扶助費の入学前支給等、一人ひとりに寄り添い、学ぶ権利が奪われないための施策が確認できました。
新たに子育て世代包括支援センターを設置し、各課の連携がしやすくなりました。
他にも後見人制度についてや廃棄物について等、予算全般について質疑し、概ね賛成であることから予算全体を賛成としました。施策がよりよく実施されるよう、市民の視点でチェックしていきます。

『「日本政府に核兵器禁止条例の調印を求める意見書」提出を求める陳情書』に対する賛成討論
(全文)

ご指名をいただきましたので、陳情第29-6号「日本政府に核兵器禁止条約の調印を求める意見書」提出を求める陳情書について、賛成の立場から討論させていただきます。

この陳情書は、平成29年7月7日に採択された核兵器の全廃と根絶を目的とした国際条約「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約」である核兵器禁止条約の調印を日本政府に求めるもので、世界で唯一の戦争被爆国であり平和憲法を掲げる日本政府がこの条約に調印することを福生市議会として求めることに何の問題もなく、採択すべきであると考えます。

この核兵器禁止条約採択後の平成29年10月6日、ノーベル平和賞を国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が受賞しました。ノーベル委員会は、核兵器を条約で禁止しようとするICANの「画期的な努力」を授賞理由に挙げ、核保有国に対して核兵器の段階的な廃絶に向けた交渉を開始するよう呼びかけました。ICANの10人いる国際運営委員の中で唯一の日本人、川崎哲(あきら)氏はICANの日本の窓口として、広島や長崎の被爆者の声が世界に届くよう、力を尽くしてきました。被爆者の体験を世界が共有することが、核兵器の禁止につながると信じてきたからと述べていらっしゃいます。

現在、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求める、ヒバクシャ国際署名が行われています。その要旨の中に、「人類は、生物兵器・化学兵器について、使用・開発・生産・保有を条約、議定書などで禁じてきました。それらをはるかに上回る破壊力をもつ核兵器を禁じることに何のためらいが 必要でしょうか。被爆者は、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求めます。」と記されています。このような、目に見える被害だけではありません。核の被害、特に放射線被害について、海外では被爆者の結婚差別や就職差別などについてあまり知られていませんが、日本でも、このような社会的被害を忘れてしまいがちです。私の友人にも被ば被爆三世だという方がいます。2011年、東京電力福島第一原発事故のあと、小さな声で、言葉少なく、そっと話してくれました。その様子に、被爆二世である親御さんの苦しみを垣間見ることができたような気がしましたし、ご自身やお子さんへの不安も感じました。苦しみはまだ続いているのです。

核不拡散条約での核兵器国の保有する核兵器は善くて、非核兵器国の保有する核兵器は認めないとする考え方には限界もあり、現に非核兵器国の核開発もされています。何よりも危険なのは、「核抑止論」は、いざという時、核兵器を使用するということが前提になっています。国家間の目に見える対立だけではありません。テロの恐怖も考えれば、平和利用も含めて核を持ち続けることのリスクは大きく、どの国も核兵器を持たない核兵器禁止条約のほうがより現実的であると考えられます。

ヒバクシャの思い、日本が世界に誇る平和憲法、核不拡散条約の限界、核を持ち続けることのリスク等を考え、また、核兵器国と非核兵器国の溝を埋めるためにも、唯一の戦争被爆国である日本が核兵器廃絶に向けてリーダーシップをとっていけるよう後押しするためにも、この陳情書を採択し日本政府に働きかけるべきだと考えます。

以上のような理由で、陳情第29-6号「日本政府に核兵器禁止条約の調印を求める意見書」提出を求める陳情書について賛成であることを申し上げ、私の討論とさせていただきます。