み~んなまるごと・・・一緒っていいね!
1月22日から24日、生活者ネットワークでの会派視察に参加しました。
富山市では県庁で富山型デイサービスについて説明を受けた後、制度開始のきっかけとなった「NPO法人このゆびとーまれ」を見学。高齢者と放課後デイサービスを、民家を改装した施設で行っています。B型就労施設にもなっていて、かつての利用者が職員として働いていました。
畳のスペースで輪になってお話を聞いていると、学校から帰ってきた子が輪の中に入って歌ったり踊ったり、私の膝に入っておしゃべりしたり、とてもにぎやかなでした。
大津市では、議会改革をすすめている大津市議会を視察。議員が任期の4年間で行ていく政策を、議会としてどう運営していくかロードマップを作成して取り組むなどしています。
議会が執行部から独立していて、議員個人での活動だけでなく議会としてどう動くかということを、全体で進めていました。
東近江市では、八日市図書館を見学。図書館にカフェがあり、市民の憩いの場になっています。コーヒーを飲んでいる70代ぐらいの男性が、「ここの図書館はおしゃべりしてもいいんだよ」と笑顔で話してくださいました。ギャラリーとなるスペースでは時々音楽を聴く会を開いたり、入り口付近には子どもサイズのベンチが置かれていたり、いろんな人にやさしい地域の居場所になっていました。全職員が認知症サポーターの講習を受けています。
次にNPO法人CPAO(しーぱお)を見学。大阪子どもの貧困アクションセンタ―として開設し、現在は登録した子が週3回のご飯会に参加しています。
大阪は子どもの貧困率が沖縄県に続いてワースト2位。寝屋川の母子変死事件をきっかけに、何かできることをできることから始めようと、「助けてって言ってもええねんで!」と書いたチラシを作成して街頭で配ったところがスタートだそうです。学校で「臭い!」といじめられたと言ってきた子がいたら、みんなで考えて「じゃあシャワーを付けよう!」となったそう。子どもの『困った』を、何とかしてあげたいという思いで運営しています。
子どももおとなも高齢者も、障がいがあってもなくても、み~んなまるごといられる地域の居場所があるっていいですね。
とても中身の濃い視察となりました。見て、聞いて、体感してきたことを、今後の活動に活かしていきます。
富山・滋賀・大阪視察報告
①1月22日(月)11:00~12:00
視察先:富山県富山市 富山県厚生部厚生企画課地域共生福祉係
テーマ:富山型地域共生福祉について
内容など:
高齢化率30%、6割以上の県民が住み慣れた地域でサービスを受けられる場の整備が必要と考えている富山県では、特別養護老人ホーム等の施設整備と並行し、富山型デイサービス(現在126か所)、訪問看護等の在宅サービスと地区社会福祉協議会での地域住民によるケアネット活動(現在259地区)を推進している。
富山型デイサービスは、小規模、多機能、地域密着、誰でも受け入れることを基本に、県・市町村の柔軟な独自支援(施設整備、研修、企業家育成、人材確保、全国セミナー開催支援、経営安定支援)がある。
1993年に県内初の民間デイサービスが開所され、2002年には県で富山型デイサービス企業家育成講座、2006年には富山型デイサービス推進特区(介護事業所で知的障害者の受け入れ)の全国展開、2010年には富山型福祉サービス推進特区(小規模多機能介護事業所での障害児通所・宿泊)の全国展開、2011年にはとやま地域共生型福祉推進特区(児童発達支援・放課後等デイサービス、自立訓練)に指定と展開されてきた。
とやま地域共生型福祉推進特区では、福祉的就労の規模要件の緩和(富山型デイ8事業所で20名就労)、認知症高齢者グループホームと障害者グループホーム一体的整備(交流、整備コストの軽減による設置促進、6か所)、デイサービスでの介護・障害の宿泊受け入れなどさらに進化している。
しかし、富山型は障害福祉サービスの送迎加算、欠席時対応加算、初期加算など算定できないため報酬が低く、経営が厳しい。
◆感想
誰も排除しない富山型がどの地域でもあたりまえに。そのためには、柔軟で持続可能な制度設計が必要と感じた。
(報告:小西みか)
②1月22日(月)15:30~17:00
視察先:富山県富山市 NPO法人このゆびとーまれ
テーマ:富山型地域共生福祉の実践(デイサービス、ショートステイ、居宅介護、相談支援、障がい者就労支援など)
内容など:
〇このゆびとーまれの誕生
1993年(H5)7月に惣万佳代子さんら3人の看護師が県内初の民間デイサービス事業所「このゆびとーまれ」を始めた。病院で退院許可がでたお年寄りが「家に帰りたい」「畳の上で死にたい」と泣いている場面をみてきたことから、家庭的な雰囲気のもとでケアを必要とする人たちの在宅を支えるサービスを提供したいと考え開設したという。民家を改修した小規模な建物で高齢者も子どもも障害者もいっしょのデイサービス、みんなで一つ屋根の下で過ごすことで相乗効果が生まれ、世話される側だけでなく時にはお世話する側にもなる。
開設当初は自主事業として開始したがしだいに利用者が増えるにつれて、民間デイを支持する声が県に届くようになり行政も無視できなくなり、1997年(H9)に「富山県民間デイサービス育成事業」が創設された。年齢や障がいの有無にかかわらず誰も排除せず柔軟に受け入れるデイサービスと、行市絵の縦割りを超えた横断的な補助金の交付とをあわせ「富山型デイサービス」という。
〇総合特区制度を活用した取り組み
2011年(H23)12月、富山県全域対象とする「とやま地域共生型福祉推進特区」の指定を受ける。特例措置等を活用して2013年度からデイサービス事業所を活用した障害者の就労支援の取り組みや共生型グループホームが開設される。福祉的就労は利用者が20人以上の事業所に限られていた。が、国との協議により施設外就労の特例措置が認められたことから、少人数の障害のある方を受け入れる富山型デイサービスの事業所が集まり、受け入れ総数20人程度となって就労継続支援B型事業所の指定を受けることで自立支援給付の対象として事業できるようになった。
現在12事業所に22名が働いている。(「はたらくわ」)
(惣万さん)25年でやっと制度が動いた。アイデアや行動力のある民間の力を行政が大事に思ってくれたこと。制度に風穴をあけた。就労支援では介護報酬と総合福祉法のとあわせて賃金をわたしているから自立できる。
◆感想
デイサービスこのゆびとーまれ、デイサービス・ショートステイこのゆびとーまれ向かいを見学。一軒家を改装して入口の軒下や広いキッチン、部屋の仕切りを取り払い見わたせる空間になっていた。TVついたまま、椅子に座る人、うろうろする人、いろんな人が同じ場所に居る。そのうち子どもたちが学校から帰ってくる、にこにこした男性(障がいのある)にくっついて離れない。○○君はこのゆびに子どものころからずっときていて23年になるという。
終始穏やかで笑顔の惣万さんは、やさしく人懐っこい方。大家族があつまっているようなほっとする場所になっていた。こんなところなら楽しく過ごせて元気になれるような気がした。
その地域の実状に応じた創意工夫ある小平版の共生型福祉をすすめたいと思う。 (報告:平野ひろみ)
③1月23日(火)9:30~12:00
視察先:滋賀県大津市 大津市議会事務局
テーマ:①議会改革の概要について
②議会政策検討会議について
③大津市議会ミッションロードマップについて
④議会活性化検討委員会について
⑤予算、決算常任委員会について
内容など:
目的:小平でも参考にした大津市議会の議会改革の現状を知り、議会基本条例の検証に役立てること。
内容
①議会改革の概要について 2010(H21)年から議会改革に着手、大学とのパートナシップ協定、通年
議会などに取り組み、条例制定もしている。マニフェスト大賞。
②議会政策検討会議について 2013年のいじめ防止条例制定など成果を得ている。提案した会派が
座長を務め、一人会派も含めすべての会派から1人ずつ参加。
大学との協定により専門的知見も活用しながら積極的な政策議論を行っている。議会事務局からも参
加、法務面も見ている。職員の増員も行った。
③大津市議会ミッションロードマップについて
任期4年間で議会として何をするか見える化。具体的テーマを掲げ政策検討会議を活用しながら、
達成までの工程を明らかにしている。
④議会活性化検討委員会について
政策検討会議の開始に伴い、検討委員会は実質的に廃止。政策検討会議の立ち上げは議会運営委員会で行っている。
⑤予算、決算常任委員会について
議長を除く全員が所属。委員長は副議長、副委員長は議運委員長と決まっている。
◆感想
大学との連携は専門的知見の活用をフルに行うとてもいい方法である。政策検討会議にも有識者として入り、知見の提供だけでなく議論が硬直した時に客観的視点でのアドバイス役としても重要な役割を果たしているという話しは興味深い。
条例制定を積極的に行い、そのために法務を執行部で行うと議会の目線とは違うものになる、ということで議会事務局に法務担当者を置いていることは画期的と思う。そのために議会事務局を12人から定数18人に増員したことは、議会の意志を受け止める首長の理解大きいと思われる。
議会への市民参加については小平市議会のほうが開かれていると感じたが、議会内の議論する風土は小平にもあり、それを進めていくために参考になる点がいくつもあると感じた。
(報告:日向美砂子)
④1月23日(火)15:00~17:00
視察先:滋賀県東近江市 東近江市立八日市図書館
テーマ:①東近江市立図書館の5つの目標と事業展開について
②「課題解決につながる「市民力」「行政力」向上を図る図書館サービス充実事業」(2007年度文部科学省・地域の図書館サービス充実支援事業)の活用について
内容など:
東近江市立図書館の5つの目標と事業展開について
『課題解決につながる「市民力」「行政力」向上を図る図書館サービス充実事業』について
八日市図書館館長 松野勝治さんからお話を伺いました。
東近江市は人口約12万人、面積は383㎢で、旧1市6町が合併してできた市です。市立図書館は旧市町ごとに1館ずつ合計7館あり、登録率は61.1%実利用率は24~24%で、職員数は正規職員24名、臨時職員17名で、全員が有資格者です。2校に1人配置されている学校図書館司書との連携もとっているそうです。
東近江市図書館は5つの目標
1、豊かな暮らしにつながるための確かな情報を届けます。
2、人と本、人と人との出会いの場をつくります。
3、一人ひとりの居場所・憩いの場を保障します。
4、思いやりあふれる街づくりに役立ちます。
5、市民とともに育ち、市民が育てる図書館を目指します。
を掲げています。
それぞれの地域にある図書館ごとに地域の特色や特性などからテーマをもち、積極的収集分野を設定しています。テーマは、環境、食と農、三方よし・近江商人、芸術・映像、健康医療情報、アジア・国際交流などで、より専門的な蔵書を揃えています。
職員は情報収集とその資料と市民をつなぐプロとして研さんを積み、地域との関係をより深めるために各イベントを企画したり参加したりしています。また、図書館は地域のひろばとして、居場所の機能を大切にするために滞在型の施設として環境整備をしています。八日市図書館には2階のオープンスペースにおしゃべりしながらオーガニックコーヒーが飲める喫茶コーナーがありました(地元の方が焼いた器を使ってることにも感動しました。1階の書架コーナーにピアノが置いてあるのにも驚きました。)。
また、認知症の方へ的確に対応できるよう職員は認知症サポーターです。
◆感想
5つの目標や地域課題を各館のテーマとして掲げていることから、市民の力をとても信頼しているなと感じました。聞くと、もともと琵琶湖の石けん運動など市民活動が盛んな土地柄だとのこと。小平市も図書館が充実しており、市民活動もとても盛んなので協働でまちづくりができるポテンシャルは充分あると感じました。今後、小平市図書館の職員体制、情報収集、提供、ひろばとしての環境づくりなどを通して市民とともにシチズンシップ教育の場としても機能が発揮できるよう、提案していきたいと思いました。
(報告:さとう悦子)
⑤1月24日(水)13:00~15:00
視察先:大阪府大阪市生野区 NPO法人CPAO(しーぱお)
テーマ:①地域で子どもを育てる居場所づくりの取組みについて
② 地域での子どもの貧困対策について
内容など:
目的: 地域で子どもを育てる居場所づくりや子どもの貧困対策についてNPO法人CPAOの取り組みを実際に活動をしている場を視察し現状をうかがう。
内容:NPO法人CPAOの活動拠点である「たつみファクトリー」で代表の徳丸ゆき子さんに、話を伺った。
大阪母子の象徴的な2事件、2010年「2児放置死事件」、2013年「母子変死事件」を受け悲劇を繰り返したくないとの思いで子ども支援関係者有志が集まり団体を立ち上げる。
お腹を空かしている子どもたちを満たすためには「まずは、ごはん!」子ども食堂という名称は使わず「ごはん会」を始める。誰でも来て良い場所やさまざまな人が集まる場所には本当にしんどい子は安心できないので来られない。CPAOではメンバー制でごはん会を行っている。
居場所作りは箱だけ作っても成功はしない。その中に寄り添える人がいることが大事であり、ひとり一人の居場所となるような人、居場所ではなく居主(いぬし)が必要。
本当にしんどい思いをしている人を探すために商店街でチラシを大量に配ることからはじめ、シングルマザーたち100人にアンケート調査を行った。そこで見えてきたものは「孤立・孤育て」。この国で当たり前とされている生活がままならない状態だった。日本は教育費が高く、公的資金が少ないため低所得者には家計の負担が特に大きい。そのため進学率が低く、負の連鎖に繋がってしまう。
CPAOは民間団体なのでフットワークが軽い。居場所に行けない人の居場所になるべく活動をしている。2016年度はごはん会266回開催し5320人の子ども達が参加。
◆感想:
150インチの大画面プロジェクターで資料を見せていただいた。大画面に驚いているとCPAOに来ている子どもたちが映画館で映画を観ている気分になれるように時々DVD上映するとのこと。他にも習い事に行けない子どものためにピアノ部をはじめいくつかのクラブ活動があったり、お料理や遠足、お泊り会などひとり一人のやりたいことを叶えるなど、子ども達が安心してのびのびと過ごせる場所となっていると感じた。
政府の支援や就学援助などの教育支援はあるものの、そこまでたどり着かない人達には、まずは生活を安定させるために人による支援が必要。
困った時に「SOS]を出せるよう子ども時代から人の温かさを感じ、人との信頼関係や自己肯定感を持てるような環境作りが大事だと思った。
(報告:山﨑とも子)