平成28年第4回定例会 12月議会報告
12月6日から22日まで、12月議会が開かれました。
法改正に伴ういくつかの条例改正と、平成29年度4月から始まる「介護予防・日常生活支援総合事業」のための条例改正の審査がありました。
建設環境委員会で継続審査になっていた「原発事故避難者への住宅支援の継続を求める意見書の提出を求める陳情書」が不採択となり、本会議で賛成討論を行いましたが不採択が決定しました。
本会議2日目に一般質問を行いました。
●一般質問
1、多文化共生について
(1)Q)市が目指す多文化共生の姿とは
福生市は外国人の居住比率が高く、50か国以上の国籍と外国にルーツを持つ人も多く暮らしています。定住する人もいれば、留学や短期間労働の人もいて、暮らし方も様々です。総合計画にも「日本人と外国人の相互理解理解を図りともに地域で安心して生活できる社会を目指す。」とありますが、福生市が目指す多文化共生の姿とは、どのよなものでしょうか。
A)窓口や相談業務に多言語による通訳者を導入したり、HPや防災マップ等の発行物の一部を多言語化しています。ともに福生市民として共存していくことや、相互理解を深める取り組みをすすめます。多文化共生の考えを広げるため、平成29年3月に日本人向けに講演会を予定しています。
(2)Q)やさしい日本語の今後の活用について
基本事業と取り組みでは『理解しやすい日本語や外国語により情報提供を行っていきます。」とあり、「福生市わたしの便利帳」が6か国語に加え、やさしい日本語で記されたものもあります。市として努力が認められますが、対応しきれない面もあります。災害時等、外国人への情報提供としてやさしい日本語はとても有効だが、どのように活用していきますか。
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A)多言語表記だけでなく、必要に応じて活用していきます。災害対策では、ハザードマップを6か国語で表記している。災害時の外国人対応は重要だと考えていて、今後、防災マップの改定の際には、可能な範囲で、やさしい日本語表記を考慮していきたい。また、防災無線や情報メールによる緊急防災情報の配信についても、分かりやすい表現での情報発信に努めたい。
★多文化共生は文化の違いを認めながら、日本人も含め、お互いが歩み寄る形での多文化共生社会を目指すことが、まちづくりにおいても重要であると考えます。古くからの日本をみますと、外国人に対する様々な差別や排除の現実があったことは、多くの方の共通の認識ではないかと思います。この差別や排除を乗り越えるために、理念としての多文化共生の考え方が必要で、どのような多文化共生の姿を目指すのかが重要であると考えます。また、すべての人の人権に配慮した取り組みにもつながると考えております。
国籍を問わず、福生市民としてまちづくりに参加していけるような取り組みを進めていただきたいことを要望します。
2、児童の放課後の居場所について
(1)Q)基本的な考え方は
放課後の児童の居場所として「ふっさっ子の広場」「学童クラブ」「児童館」があり、このほかにも地域の公園や図書館等の様々な居場所があります。放課後の児童の居場所についての基本的な考え方はどのようなものでしょうか。また、放課後子ども総合プランも視野に入れた、それぞれの居場所の連携についてもうかがいます。
A)共通した指針や方針は策定していません。しかし、保護者、児童にとって安心で安全な居場所でなくてはならないことが挙げられます。また、都市化や少子化、様々な体験をする機会の減少等、児童が抱える課題を考慮すると、児童同士が創意工夫を凝らして自由に遊べる、遊びたい友達と遊べる、携わる大人が適切に関わっていくことが大切だと考えます。
「放課後子ども総合プラン」に基づき、学童クラブとふっさっ子の広場の連携を深める会議を行っています。他にも、居場所にかかわる関係機関同士の情報共有や協力をさらに進めていきたいと考えています。
(2)Q)放課後の居場所に、子どもの権利の視点は入っているか
保護者の意向や本人の意思で様々な居場所を活用していますが、児童の居場所となるような施設・施策には「子どもの権利」の視点を入れることが必要だと考えますが、市はどのように考えていますか。
A)今年6月の児童福祉法改正で「子どもの権利条約の精神」を理念に掲げる法律になったことをうけ、児童の居場所となりうる施設では、児童が権利の主体であり、意見が尊重され、最善の利益を優先されることを保障していく役割があると再認識したところです。現場でミーティングを行うなど、職員やボランティア等の意識の共有化も図れています。
★子どもに対しての事業がたくさんあり、子どもの最善の利益を優先していこうという考えのもと、放課後の児童の居場所に「子どもの権利」の視点を取り入れているということが確認できました。今後は、あらゆる施策に子どもの権利の視点が盛り込まれるよう、条例化も視野に入れた取り組みをしていただきたいことを要望します。
3、協働について
(1)Q)基本的な考え方は協働は
まちづくりの取り組みには、市民との協働は必要不可欠なものですが、市の基本的な考え方はどのようなものでしょうか。
A)平成12年の地方分権一括法施行後、各自治体の責任と判断で市民ニーズに応えることが求められています。市民の中にもまちづくりへの参加意識や意欲の高まりが広がり、協働によるまちづくりを進めることとしました。市民や市民活動団体と行政が、対等な立場で相互に補完し合いながら連携・協力し、地域の課題解決に取り組むことと認識しています。共に知恵を出すことが不可欠であると考えていて、さらに推進していきたいと考えています。
(2)Q)職員の意識向上と市民と行う研修について
市民と協働することについて、全職員が共通した認識を持ち、常に意識することが大切であると考えます。また、職員だけでなく市民にも共通認識が必要です。職員と市民が一緒に協働について学ぶ機会を持つことが有効であると考えますが、そのような研修の導入は考えられますか。
A)職員の意識改革と理解億進のため、「協働ハンドブック」を作成し、周知を図り、定期的に研修を実施しています。しかし、協働が目的化していることも見受けられるので、全庁的に協働意識の徹底を図りたいと考えています。市民との研修については、大変有効であると考えますので、市民との研修も含めて、職員研修に努めたいと考えています。
★全庁的に協働意識の徹底を図るとお答えをいただきました。行政も市民も、常にアンテナを高く、対等な立場でまちづくりを進めていってほしいこと要望します。
●陳情書に対する賛成討論
ご指名をいただきましたので、陳情第28-6号「原発事故避難者への住宅支援の継続を求める意見書の提出を求める陳情書」について、賛成の立場から討論させていただきます。
この陳情書は、「復興の加速化」を理由に原発事故被災者へのいくつかの支援の打ち切りの方針を決めた中の、特に住宅支援に対する陳情です。
原発事故による被災者へは、「子ども・被災者支援法」に沿って支援されています。この基本理念の中には「支援対象地域での居住・他地域への移動・帰還を自らの意思で行なえるよう、いずれを選択しても適切に支援する」ということが掲げられています。また、第9条では(支援対象地域以外の地域で生活する被災者への支援)として、さまざまな支援の中に「住宅の確保に関する施策」が盛り込まれ、いずれにしても原発事故避難者への支援が適切に行われるように定められています。
この陳情書の不採択の理由ひとつは、住宅確保に向けた新たな取り組み等の支援策が講じられているから、というものでした。確かに新たな支援策が講じられていますが、新たなものの中には、民間賃貸住宅への家賃支援の対象を狭め、補助率も低く、2年間と期間を限定するものでした。2015年に支援法の一部が改正され、避難ではなく帰還と定住に内容がシフトされ、避難者の意見が十分に反映されないものになってしまったために、このようなことが起こっています。これが本当に適切な支援と言えるのでしょうか。
また、避難指示区域の解除と避難指示区域以外の住宅支援の打ち切り、つまり、支援対象地域であっても支援が打ち切られてしまう、支援法で配慮の対象になっている子どもや妊婦と、若い世代への不安を一層大きくするものだと考えられます。
現在は、原発事故による緊急事態宣言が出されたままになっているので、年間被ばく量が1ミリ㏜から20ミリ㏜まで緩和されている状態が5年以上も続いています。これは、とても異常なことです。チェルノブイリの原発事故では、事故後5年経った時点で10ミリ㏜以上の地域は強制避難、5ミリ㏜以上で移住の義務が課せられていました。これでは、帰っていいと言われても帰れる現状に無いことがわかります。
住宅支援を打ち切ることは、こうした避難者の不安にこたえられないばかりか、避難先の家賃と自宅のローンの二重の支払いや、母親と子どもだけが避難し、仕事の関係で働き手である父親だけが自宅に残るという家族別々の生活に重い負担となります。
他にも、東日本大震災の関連死は未だに増え続けて、今年1月の毎日新聞の報道によれば、東日本大震災と福島第一原発事故による関連死と認定された人は、岩手県455人、宮城県918人、福島県2007人と福島県だけが増えていて、地震や津波による死者・行方不明者3,835人の半数以上を占めていて、ストレスの大きいことがわかります。
阪神淡路大震災の関連死も、いまだにゼロになっていない現状をみれば、長期的な支援が必要です。
今、避難者は、強引に選択を迫られ来年以降の生活について不安を募らせています。
市内には避難者が住んでいませんが、移住してきた方は住んでいらっしゃるようです。
原発の廃炉には、多くの税金が使われる予定になっていたり、昨日の報道では、託送料として電気の利用量に上乗せして費用を徴収しようということも決まったようです。私たちは原発に関係した暮らし方をしてきたわけです。
横浜市で起きた、いじめ問題や新潟でも問題がありましたが、東日本大震災や原発事故を忘れかけているおとなの責任でもあります。私たちは、福島原発の電気の恩恵をうけていたからこそ、避難者の意思を尊重し、希望者全員が引き続き長期にわたって避難先の住宅確保が保障されるよう、私たちに出来る策を講ずるべきではないでしょうか。日本全体で被災者を応援するためには採択すべき陳情だと考えます。
このあとの採決においては、ご英断なる採択をご選択くださいますようお願いいたしまして、私の討論を終わられていただきます。