福生市議会建設環境委員会視察   AIオンデマンド交通「ふじえだmobi」について ・原池公園等管理運営事業について

所属する建設環境委員会の行政視察で、静岡県藤枝市 と大阪府堺市に行ってきました。

●10月7日(月) 静岡県藤枝市

AIオンデマンド交通「ふじえだmobi」について

藤枝市では、利用者の減少で路線バスが廃止となった地域の交通手段として、「バス停型乗り合いタクシー(デマンドタクシー)」が運行されています。これには、決まった路線や時刻表がありますが、電話やFAX等で予約のあったときだけ運行されます。それに加え、決まったエリアを運行するAIオンデマンド交通「ふじえだmobi」が、来年度からの本格運行を目指し実証実験を行っています。乗車する場所や時間を指定し、スマートフォンのアプリからの予約でだれでも利用することができます。
「ふじえだmobi」は、市の予算を入れることなく、民間事業者が主導する新たな取組で、実証実験の検証・効果の確認・既存公共交通との連携・機能分担の検討、地域課題の整理及び解決手法の決定意見調整、行政・商業者・住民団体との協議の場の設定等を、実用段階におけるコンソーシアムを立ち上げ、事務局機能を市が担っています。民間19団体・法人・市行政17課が参画し、移動サービス・デザインWG、共創・プロモーションWG、公共政策WG、運行WGの4つのWGが、共創プラットホームとして構成し、「藤枝交通×まちづくり共創プラットホーム」として協議していきます。
12月31日までの運行実証期間を経て、来年度から本格実施の予定です。

実際に使用されている車両

●10月8日(火)大阪府堺市

原池公園等管理運営事業について

原池公園は、公募管理設置制度(Park-PFI)を導入した公園で、民間活力を活かした公園です。
体育館や野球場、スケートボードパーク、バーベキュー広場等のある大規模な公園で、多様な運動施設を活かした健康・レクリエーションの拠点、また、地域活動・地域活性化につながる公園として位置づけられています。 平成6年から事業がスタートし、令和4年に完成しました。「原池公園パークマネジメント」が策定され、令和3年から20年間の計画期間であることから、事業者が参入しやすく、専門性を活かした長期の安定した管理・運営を任せられるという市のメリットもあります。自治体の策定する計画は5年間というものが多いですから、20年間は異例な長さともいえます。
事業者の選定については、2グループからの応募があり、景観への配慮や市民との協働、これまでの実績等が評価され、原池公園体育館の指定管理者であった美津濃株式会社を代表とする「ばらいけNEXT創発パートナーズ」が選定されました。

原池公園の池は、かつて灌漑用のため池として使用されていました

スケートボードパーク

高速道路の高架下を活用したスケートボードパーク

●今回の視察での感想

人口減少と高齢化社会は日本全体の課題で、その影響は様々なかたちで表れていますが、その一つに外出時の交通手段があげられます。
藤枝市では、その課題解決のため「バス停型乗り合いタクシー(デマンドタクシー)」の運行と、新たな取組としてAIオンデマンド交通「ふじえだmobi」の本格実施に向けた実証実験が行われています。利用年齢割合では幅広い年齢層の利用があり、利用者性別割合では女性が約6割を占めていることが、実績報告からわかりました。地域課題として、高齢ドライバーの免許返納や高齢者の交通手段の確保を考えた取り組みとして検討されましたが、子育て世代のセカンドカーとしての利用や10代の利用があることもわかりました。自動車運転免許を取得しない若者が増えているともいわれますが、その影響があるかもしれません。
高齢者や子育て世代の集まるサロン等で、利用の仕方をお伝えしているとのことで、今後も利用者が増えることが予想されます。
福生市では、高齢者や障がい者等の交通弱者への対応として「福祉バス」を運行していますが、「ケガ等で一時的に歩行が困難な場合は、利用が認められないこと」「未就学児を保育園や療育等に送った後、保護者ひとりでは乗車できないこと」「牛浜駅以外の駅にはバス停がないこと」「学校適応支援室や不登校特例校分教室、日本語教室に通う児童・生徒の乗車希望がありますが、福祉施設ではなく対象者にも当てはまらないので利用が認められないこと」等の課題もあげられ、市民からの意見もあります。
AIオンデマンド交通は、だれでも利用できるところにメリットがあり、また、民間事業者と法人、地域住民の団体等と共創の視点での取組は、今後の市政運営では欠かせないものであると感じました。

原池公園は、公募管理設置制度(Park-PFI)を導入した公園で、指定管理者制度と併用した運営とすることで、公園全体の活性化と利便性の向上が図られています。
民間事業者へのヒアリングを行い、初期投資を伴う施設整備には採算上、長期の運用期間が必要であることから、事業期間を最大20年間として公募したとのことでした。本視察では、民間事業者にも同席いただき、ご意見を伺うことができました。長期間の設定があるので、安心して手を挙げられるとのことでした。(初期投資額・約2億5,000万円)また、民間事業者は、売り上げの1.5%を市に収めていて、利益を生み出す公園となっています。(年額・約150万円)
整備期間の第1期で体育館が完成したのは平成18年、老朽化による修繕が発生しています。250万円を超える工事費の修繕については市が負担し、それ未満は事業者で負担しています。また、空調設備の修繕については、今後計画的に行っていくとのことでした。視察時には、ちょうどスケートボードパークの修繕を行っているところでした。スポーツ施設の充実した公園は、うらやましい限りですが、多くの施設が集まる公園での管理運営は、施設維持についても経費等の見通しをもって行っていかなくてはならない難しさもあります。
他にも、専門的な知見を持った職員の配置など、自治体が運営するには難しい面もあると思いますが、公募管理設置制度(Park-PFI)と指定管理者制度とを併用することによるメリットは大きいと思いました。 堺市では、「堺市パークマネジメント計画」を策定し、市が管理するすべての都市公園を対象に、各公園に応じた具体策の検討を行い、具体策を実施していくよう進めています。目指すべき公園の未来を「みんなでつくる公園の未来」と掲げ、計画期間を令和3年度からおおむね10年程度としています。市の公園全体を見据えたうえで、原池公園での民間活力を活かしていく取組があると理解しました。
様々な自治体で、平成29年の都市公園法の改正をきっかけに、公園を活用し、利益を生み出そうと検討されています。市民の憩いの場、地域コミュニティの中心となる公園など、その公園によって活用のされ方は様々ですが、実際には苦情が多く寄せられるのも現実として受け止めなくてはなりません。
福生市内の公園でも、地域住民や市民団体、公園ボランティア等の意見・意向の把握、民間事業者の視点での運営や活力導入、共創の視点など、新たな取組の必要性を感じました。

今回の視察での学びを、今後に活かしていきます。