平和を思う

教育委員会生涯学習分野合同平和事業の様子

毎年8月には、さまざまな平和に関するイベント等が開催されます。

◆『「平和について学び・考えてみませんか」ロビートークin展示スペース』が開催されされました。
福生市教育委員会生涯学習分野である生涯学習推進課・公民館・スポーツ推進課・図書館の合同平和事業で、初めての試みでした。
(8月9日・福生市民会館展示スペースにて)
生涯学習推進課は、郷土資料館が所蔵している文化財の出張展示
公民館は、広島市・長崎市の原爆被害のパネルや世界中の子どもたちが平和への思いを込めて描いた絵画のパネル展示
スポーツ推進課は、平和の祭典であるオリンピックについて(東京2020大会のトーチ等の展示)
図書館は、「戦争と平和を考える本」の出張展示

ロビートークでは、学芸員でもある生涯学習推進課職員による展示物の解説がありました。
市内に着弾した焼夷弾の一部や破片、福生市を中心とした軍事施設と戦災地図などを見ながら解説を聞くことで、市内と周辺の状況を知ることができました。陸軍多摩飛行場(現・横田基地)と軍需工場などの周辺は、戦後利用することを想定し、攻撃されていないことがわかります。
また、空襲によって命を落とされた方のお話など、過去の戦争を近くに感じることができました。

ロビートークは2回行われ、1回目は小中学生を対象に、2回目は大人向けに行われました。

市内に落ちた焼夷弾の一部・破片など

福生市を中心とした軍事施設と戦災地図

オリンピック東京大会に関する展示

古代オリンピックでは、「オリンピック休戦」というオリンピック開催中は休戦するというルールがありました。この慣習に倣って、国際オリンピック委員会(IOC)は1992年に「オリンピック休戦」を提唱。スポーツによる平和と選手の生命の尊重を掲げて、1994年にノルウェーで開催されたリレハンメル大会から導入されています。以降、大会ごとにオリンピック休戦に関して国連総会決議が採択・実施されてきました。
今回のパリ大会では、2023年11月、ニューヨークで開催された第78回国連総会で「スポーツとオリンピックの理想を通じて平和でよりよい世界を築く」と題した決議が採択され、2024年7月19日から9月15日までがオリンピック休戦期間とされ、その遵守が呼びかけられていました。
ロシアとベラルーシ国籍の選手の参加は、軍の関係者ではないことや軍事侵攻を積極的に支持していないことを条件に個人として数名の選手のみ参加となりました。

◆福生からドイツ国際平和村を応援しているドイツ平和村をサポートする会による『「平和」を考えるパネル展 原爆と人間』が開催されました。
(8月9日~11日・福生プチギャラリーにて)

写真等のパネル展示と
「平和」のために何ができるか、平和な世界の実現のための提案を来場者が付箋に書いて掲示するコーナーは、素敵な提案とメッセージであふれていました。
平和のために行動しよう!と呼びかける主催者のみなさんの思いが伝わりました。

◆毎年、市民の方から戦争体験をお話しいただく、平和のつどい「市民が語り継ぐ昭和」が開催されました。
(8月18日・福生市民会館小ホールにて)

「私の少年時代」と題し、市内在住の森田雅幸さん(95歳)から学校で行われた厳しい軍事教練や、軍用機の部品作りを行った勤労奉仕などの体験を伺いました。

昨年から司会等で参加している高校生から、
「お話の中で、敵のB29に日本軍が体当たりし撃破したのを見た時の気持ちは?」との質問に、「やったー!バンザイ!という気持ちだった。まだ、日本は勝つと思っていた。」とお話されました。
また、「教練は厳しかったとのことですが、やめたいと思ったことは?」との質問に、「まったく思わなかった。お国のために一生懸命働きたい。戦争にも行きたい。やめたいと思ったことはなかった。」とお話しされました。「お国のためだから、勉強できなくても仕方ないと思ていました。」ともお話しされました。
戦時中の教育と社会の雰囲気は、子どもたちをそのような考えにさせたのだと思いました。

高校生の意見発表では、
「私にとって戦争は昔話だった。でも、ウクライナ侵攻が起きて現実になった。初めて危機感を持った。」との言葉が印象に残りました。
そして、
「戦争が嫌だと思っていても起こらないようにどうしたらいいか考える人は少ない。今から何ができるか考えていきたい。」
と力強い言葉で発表を締めくくりました。

 

◆今年、「広島原爆の日」の式典で広島県知事が「核廃絶は遠くに掲げる理想ではない。今、必死に取り組まなければならない、人類存続に関わる差し迫った現実の問題だ」と訴えました。

2014年に安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定してから10年になりました。
その後、2015年には安全保障関連法が成立、防衛装備庁が設立されました。

防衛省は、防衛力の抜本的強化に向けて令和4年から令和9年度までの5年間に、合わせておよそ43兆円を支出するとしています。
来年度予算案の概算要求で、過去最大となるおよそ8兆4000億円を求める方向で最終的な調整をしているとの報道もあり、7兆7000億円余りの今年度の当初予算を大きく上回る見込みです。

核の傘や武力による平和維持では、本当の平和にはなりません。
人類が真の平和を目指すときです。