令和6年第2回定例会 6月議会報告

6月4日から21日まで、令和6年第2回定例会6月議会が開催されました。

福生市議会では現在、議会運営委員会で議会改革について議論しています。
本会議は、インターネット中継と録画配信されていますが、委員会は配信されていません。各常任委員会と特別委員会の今後の配信に向けて準備を進めています。また、議員定数の見直しについても検討され、今議会で条例改正されました。次の改選で定数19名から18名となります。
他にも、議会報告会や課題懇談会等も検討する予定で、開かれた議会を目指します。

一般質問

1、認知症とともに生きる地域づくりについて

認知症になった人もならない人も、ともに地域で暮らせる環境を整えていくことが重要です。
今年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」では、共生社会のための地域づくりについて明記されました。また、福生市高齢者福祉計画・介護福祉事業計画(第9期)において、「認知症地とともに生きる地域に向けて」を基本方針に盛り込んだことから市の取組について質問しました。
理解を深める取組みとして「認知症ケアパス」の配布や小・中学生から民間企業等を対象とした認知症サポーター養成講座等を開催している。令和5年度は小中各1校、市民を対象として3回、市の新人職員向けに1回、合計6回の講座を実施した。
見守り体制の整備として認知症高齢者位置情報探索機器の貸与や見守りアイロンシール・キーホルダーの交付を行っている。西多摩圏域の専門機関である「認知症疾患医療センター」と連携し、認知症の方や家族に対する支援に繋げるなど、関係機関が連携し、高齢者が認知症になっても、安心して暮らせるまちとしていくためのネットワークの充実に努めてまいりたいとの回答でした。
地域住民の理解を広げるために、認知症サポーター養成講座を多くの市民に受けていただくことが有効と考え、さらに取組を進めることを要望しました。また、認知症の人が働くカフェの実施など、事業者と連携して新たな取組も検討して欲しいと要望しました。

福生市介護福祉課発行の 「福(しあわせ)☆生き生きだより」 2024夏号は、認知症サポーター養成講座などが掲載されています。

2、地域社会からの孤立を防ぐための取組について
近年の社会の変化とコロナ禍の影響により、孤独・孤立問題が深刻化しています。社会の変化に対応し、日常生活や社会生活において孤独を感じることや社会から孤立していることにより、心身に有害な影響を受けている状態にある人への支援を強化することを目的とする「孤独・孤立対策推進法」が、令和6年4月から施行されました。孤独・孤立の状態となることの予防やその状態にある人への支援、脱却に資する取組について謳われ、行政と地域がつくる官民連携プラットフォーム事業等を推進するとしています。
この問題に対し向き合っていく必要があると考え以下の3点について質問しました。

(1)ひきこもりを抱える家庭の孤立を防ぐ取組について
社会福祉課の相談窓口において、重層的支援体制整備事業の移行準備事業として福祉の総合相談窓口を試行実施している。ひきこもりの当事者からの相談に対応するだけでなく、御家族や近隣の方々からの支援要請も含めて、包括的相談支援を行っている。本人や家族の複雑な状況や心情等を理解したうえで、丁寧に寄り添う対応を行い、ひきこもりを抱える家庭の孤立を予防していきたいとの回答でした。
また、訪問介護事業者等からの情報提供があった場合も連携して相談支援を行っていることのことで、多機関による包括的な支援ができるよう体制を構築していきたいとのことでした。

(2)子育て世代や若者の孤立を防ぐ取組について
妊娠届出面接時において、支援プランを妊婦とともに考える伴走型相談支援を行っている。必要に応じて面接・訪問をし、出産後は、産婦・新生児訪問を行う。支援者が少ない場合には、産前・産後支援ヘルパー事業や産後ケア事業等を紹介。また、保護者のリフレッシュとしても利用できるショートステイ事業などのサービスも紹介している。加えて、定期的に状況確認及び事業への参加勧奨の連絡を行い、困っていることがないか聞き取りの機会を設けるようにし、悩みを話しやすい関係づくりに努めている。令和6年度に設置した「こども家庭センター」は、相談の窓口として活用していただいており、妊娠期から子育て期までの保護者の孤独の防止につなげているとの回答でした。
子ども応援館で実施されてきた「ひろば事業」は、子ども家庭支援センターと一体的に進められ、早期の支援につなげてきました。しかし、子ども家庭支援センターと子育て世代包括支援センターが統合され、こども家庭センターが設置されたことにより場所が保健センター内へ移動しました。スタッフが増員されたことで機能は強化されたとの回答でしたが、公共施設の建替え等が進むなかで、同じ施設で一体的に実施できるよう要望しました。

国の「こども大綱」でも、全てのこどもや若者が孤立することなく、安全に安心して暮らすことができる社会を目指すとされており、これを勘案しての「福生市こども計画」を令和6年度中に策定する予定。孤立を防ぐ居場所という点では、令和5年度から「こども食堂」の活動に対して補助金の交付を開始し、居場所の確保に資する取組を行っている。また、児童館においては、アンケートを基にした個別相談や、中高生のスポーツ交流会など、事業の充実を図っている。このほか、若者に対する就労支援など、各種相談事業も行いうなど若者の孤立を防ぐ一助になると考えている。引き続き、民間事業者や関係機関等と連携しながら取組を推進していくとの回答でした。
児童館の利用は18歳までです。ユースセンターや若者の交流の場などの居場所づくりを積極的に進める必要があるのではないか考え、設置に向けての検討を要望しました。

(3)女性の孤立を防ぐ取組について
全世代、性別を問わず課題としてとらえ、対応をしている。女性に特化した取り組みとして、DV被害者支援、女性等悩みごと相談、東京都の相談窓口を継続して周知し、相談へつながるよう努めているとの回答でした。
ジェンダー平等社会になっていないという現状から、職場や学校で男性から精神的に傷つけられるなどしてひきこもった女性や賃金格差や暴力、ハラスメント被害など、女性の気持ちに寄り添った相談体制が必要です。
今年4月に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行されました。これを受け、相談窓口を一本化した自治体もあります。相談しやすさが孤立を防ぐと考え、設置に向けた検討を要望しました。

「孤独・孤立対策推進法」では、孤独・孤立状態になることの予防やその状態にある人への支援と脱却に資する取組、また、行政と地域がつくる官民連携プラットホーム事業等を推進することなどが盛り込まれています。
それぞれの相談機能や居場所機能をつないでいくプラットホームを、市としてどのようにつくっていくのかが重要であり、庁内連携で進めてほしいと訴えました。

 

3、生命(いのち)の安全教育について
令和5年度から全国の学校で生命(いのち)の安全教育を実施するよう文部科学省から通知が発出されました。
令和5年第3回定例会の一般質問では、それを踏まえた取り組みについて「全ての小中学校で教育課程に取組方針を明記し、確実に実施するようにした」「指導資料及び教材等の活用」等をお答えいただきました。そして、各学校の取組状況を確認し、令和6年度の取組に生かすとの回答でした。
令和5年度の取組状況と取組から見えた課題について質問しました。
全小中学校で、「生命(いのち)の安全教育」の主旨を全ての教員が正しく理解するため、校長による教員への指導を行った後、文部科学省の動画教材等を活用した授業を、全学級で行った。具体的には、小学校低学年では、水着で隠れる部分は「プライベートゾーン」だということ、小学校高学年では、「人との距離感について」、中学校では、「SNSの危険性やデートDV」などについて扱いった。学校によっては、児童・生徒の実態を踏まえ、前の学年の内容、例えば、小学校第6学年の教材を、中学校第一学年の指導に活用した事例もあった。令和5年度の実践から見えてきた課題としては、児童・生徒の実態に即した教材の選定や、指導した内容の次年度への引継ぎが挙げられる。
今後も、各学校が教育課程に基づき、「生命(いのち)の安全教育」の計画的な実施に向けて指導していくとの回答でした。
子どもの性被害がなかなか減っていかないなか、警視庁が発表している児童ポルノ事犯の検挙件数・検挙人員・被害児童数の推移の令和5年を見ますと、被害児童1,444人のうち高校生541人、中学生592人、小学生232人となっています。その中で、「児童が自らを撮影した画像に伴う被害」の数は、527人と被害態様別では一番多い被害となっています。
一方、児童ポルノ事犯の年代別検挙人員の推移を見ますと、平成30年から急激に増えていますが、10代が最も多く令和5年では1,849人のうち889人で、中学生270人、高校生487人となっています。
SNSが起因となって起きた性犯罪数も依然として高い数値のままです。
子どもたちが被害者・加害者・傍観者のいずれにもならないために必要な知識やスキルを身につけるために、この「生命(いのち)の安全教育」を着実に進めてほしいと訴えました。

これまでの学校での性教育では、学齢に合わせて、理科や生物、保健体育科などで、人の体の仕組みやそれにまつわる自己の健康管理などの内容を主に扱ってきました。それに加えて「生命(いのち)の安全教育」が実施されるようになりました。ただ、性犯罪・性暴力の防止に重点を置いた内容ですので、性に関することに「怖い」とか「不安」なイメージが付きすぎることも心配されます。
「生命(いのち)の安全教育」の着実な実施とともに、ジェンダー平等や性の多様性、自己決定能力などを含む人権尊重を基本とした国際基準の包括的性教育の必要性を訴えました。

 

議員提出議案第1号 福生市議会議員定数条例の一部を改正する条例

福生市議会議員の定数を「19人」から「18人」とする条例改正案が出され、これに賛成しました。
以下、賛成討論

 

議員提出議案第1号、福生市議会議員定数条例の一部を改正する条例について、生活者ネットワークから賛成の立場で討論をさせていただきます。
これまで生活者ネットワークは、議員定数の削減に反対してきました。さまざまな議員が議会を構成していくことは、多様な市民意見を反映する可能性を広げるからです。では、多様な市民の意見や生活課題をすくい上げるのに何人なら足りていると言えるでしょうか。2013年(平成25年)の改正では、2006年(平成18年)に改正した際の人口3,000人に対して議員一人が望ましいとする等の考え方が説明されました。しかしながら、議員定数には明確な答えはなく、議員一人ひとりがどう働くかにかかっているのではないでしょうか。
議員定数を削減しないことが望ましいと考えますが、この度提案された議員定数を19名から18名に削減する条例改正案に賛成する理由を3点述べたいと思います。

1点目には、人口減少が進んでいること。市が進める人口減少を見据えたまちづくりにも賛成しています。人口減少に対応した議員数とすることが求められると思いますが、人口が減ったとしても議論するにふさわしい議員数があると考えます。議会運営員会の議会改革の議論では、議員数が減った場合は、委員会の構成の見直しを提案しましたが、この度提案された議員提出議案第2号の議員定数17名では、委員会構成については現行のままで十分である旨の意見がありました。これについては、見解の相違が見られます。
2点目には、日々の活動のなかで、市民から定数についてのご意見をいただいていること。また、令和6年第1回定例会において、福生市議会議員の議員報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例に賛成し、議員報酬の増額に賛成しています。議員定数削減の検討については、福生市特別職報酬等審議会の附帯意見にも記載されていて、重く受け止めるべきだと考えます。「市民負担の軽減から」との理由が示されていますが、これは、予算的負担軽減であると同時に、感情的負担軽減でもあると考えております。

3点目には、議会運営委員会において、議会報告会や課題懇談会等の市民の意見聴取のための議論を進めることになっていること。また、福生市特別職報酬等審議会の附帯意見にも、「今まで以上に議員活動の透明性を図るとともに、さまざまな議会改革の推進に取り組んでいただくことを望みます。」とあり、こちらについても重く受け止めるべきだと考えます。福生市議会において議会改革の議論が進んでいますが、これまでの議員定数削減に反対する理由の一つに「対話やその声を活かす仕組みが必要であるが、現在はその仕組みがないこと。」を挙げておりました。議会運営委員会では、今後この議論を進めていくことになっています。本来ならば、その仕組みがつくられてから定数削減に賛成すべきでありますが、議会運営委員会での議論の順番で「議員定数について」が先になっています。また、私にとっては、この機会を逃すことはできません。

今後、議会の透明性を図り、議員の在り方、議員一人ひとりの働き方に重きをおいた議会改革をさらに進めることを前提に、また、福生市特別職報酬等審議会も含めた市民意見を重く受け止め、本議案に賛成であることを申し上げ討論といたします。