平和を思う
10月24日、要件である50の国と地域が批准し「核兵器禁止条約」が2021年1月22日に発効されることになりました。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、「核兵器の使用がもたらす破滅的な人道上の結末への注目を集め、核兵器を条約によって禁止するための革新的な努力をしてきたこと」を理由に、2017年のノーベル平和賞を受賞しました。
生物兵器や化学兵器などの大量破壊兵器や地雷やクラスター爆弾などの非人道的兵器が国際条約で禁止されてきたように、核兵器も条約で禁止しようとする提案は1990年ごろからありまりました。2010年に赤十字国際委員会が、「核兵器は非人道兵器である」との声明を出したことがきっかけとなり、核兵器の非人道性に関する国際的な運動が活発になりました。
その後、国際会議等が開かれ、議論が本格化し、2016年国連決議によって条約の交渉開始が決定されました。2017年7月7日、122カ国の賛成によって「核兵器禁止条約」は成立しました。この条約は、核兵器に関わるあらゆる活動を例外なく禁止し、核保有国が核兵器を廃棄する基本的な道筋を定め、被爆者の権利を定めるという画期的ものです。
条約成立から約3年、ついに発効されることになりました。これまで力を尽くされた多くの方のご努力に敬意を表します。
一方、日本政府はこの条約に反対しています。9月26日の国連総会で菅首相は、「核不拡散条約」を支持し、「核兵器禁止条約」は認めない姿勢を強調しました。核不拡散条約は、核兵器国には核軍縮を誠実に交渉することを義務づけ、また非核兵器国には原子力の平和利用を「奪い得ない権利」として認めていますが、核軍縮は進んでいるのか、原子力の平和利用で核を保有することに問題はないのかなど考えさせられます。
日本は、核兵器国と非核兵器国の橋渡しをするというようなことを言っていますが、「渡れ」と後ろから押すのではなく、先に渡って手を差し伸べる方が現実的ではないでしょうか。
世界唯一の戦争被爆国として、平和憲法を掲げる国として、核兵器禁止条約に日本も批准すべきだと思います。
さて、、、10月24日、福生市に拠点を置き、海外も含め各地で公演活動をしている『太鼓と芝居のたまっこ座』の公演を観に行きました。
心に響く、素晴らしい公演でした。
タイトルは「刻の罠(ときのわな)」
夏休みの自由研究のために曾祖父のいる医療施設を訪れたいとこ同士の小学生と中学生。なぜ、曾祖父は40年間もそこに閉じ込められているのか、曾祖父の書き記した黒い手帳をもとに真実をさぐるお話。
戦時中は中学生だった曾祖父は、働き盛りだった40年前に友人に戦時中の話をするが、記憶にないという。妻も街ゆく人も、広島の人でさえ戦争はなかったと言う。過去が消された。
真実を探っていくうち、中学生の少女は東日本大震災の原発事故で被ばくした不安を口にする。なかったことにはできない。
「刻の罠の答えは簡単ではなく、
過去を消されたら人間はどうなるのか?罠とは何か?何処に?何の目的で仕掛けられているのか?等々…考え続けることが答かもしれません。」
と、作者は記しています。
戦後75年、核兵器禁止条約に批准しない日本。東日本大震災から10年目、原発推進の動きもあります。
なかったことにしないよう、「刻の罠」を考え続けていきたいと思います。