平和のための戦争資料展 ~情報がもたらす力~

福生市郷土資料室で開催されている『平和のための戦争資料展』を見学しました。
(8月14日見学・8月8日~9月27日開催)
夏休みということもあり、見学している親子連れの姿もみられました。

錆びてボロボロになった銃や焼夷弾、出兵の際に身に着ける鉄兜や千人針の腹帯、水筒や飯ごうなどと、当時の新聞や配給手帳、召集令状などの資料等が展示されています。新聞等の展示では、報道の内容と現況についても解説されていました。戦時中に情報統制が行われ、知らず知らずのうちに市民の心の中に戦争が入ってきたことがわかります。
また、当時の様々な写真の展示と「戦時中の証言」と題しエピソードが紹介されています。特に印象深いのは、出兵の際に福生駅前通りで撮影された写真。スーツを着て姿勢正しくたっている青年と出兵を祝うたくさんの幟(のぼり)。その写真に写る青年とは別の青年のエピソードのようだが、写真の横には「戦時中の証言」として、出兵が決まってから親戚へのあいさつ回りやお祝いの幟が届いたこと、出兵の朝には青年団はじめ村の人々に挨拶して万歳の声に見送られたこと、駅ではあまりにも大勢の人の見送りに責任を感じたこと、車窓から人が見えなくなるまで手を振って別れを惜しんだとの記述があり、見送る側も見送られる側も、心の中はきっと言葉では言い尽くせない複雑な思いであったのではないかと思いました。本心を口にすることはできなかった苦しさが伝わります。

資料や写真からは、福生のまちが基地のまちに変わっていった様子や、当時の女性や子どもたちの様子もわかり、どんな状況下でも市民の生活と生きる力強さが伝わってくるような気がしました。

郷土資料室に入ってすぐのところに、この展示にあたっての郷土資料室からのメッセージが掲示されています。

このメッセージでは、近代戦争において、国民にもたらされた情報は必ずしも現状に即したものではなかったこと、太平洋戦争では特に情報統制とともに戦争を扇動する宣伝が繰り広げられ、国民を戦争に向かわせたことを指摘しています。そして、現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた様々な情報が、報道やSNSを通じて飛び交っている現状にも触れ、情報を受け取る私たち一人ひとりの冷静な選択と判断、さらにはそれらの情報に基づいた適切な行動が求められるとしています。戦争関連資料が伝える「情報がもたらす力」を通して、情報との向き合い方について改めて考える機会にしてほしいと伝えています。

このメッセージに込められた思いに、とても共感しました。
情報を受け取ったとき、その情報について歴史に学ぶことや他者の意見を聞くこと、一方向だけの情報をうのみにせずに誰かと対話して考えることの大切さを改めて感じ、分断という言葉が聞かれる今、自分と違う考えを受け止める寛容さの大切さを再確認しました。

これからは過去の反省を踏まえつつ、一人ひとりが平和について考え、対話することを継続していくことが大事ではないかと思いました。
終戦の日の今日、先ずは身近な人と話していきたいと思います。