ほっとファミリー(養育家庭)体験発表会

親の病気や虐待等さまざまな理由で家庭で生活できない子どもを、より家庭に近い環境で育てる仕組みとして里親制度があります。中でも、養子縁組を目的とせずに一定期間子どもを養育する家庭を「ほっとファミリー」と呼んでいます。

毎年10月・11月は「里親月間」で、今年もそれに合わせてほっとファミリー体験発表会がありました。
(11月18日 さくら会館にて)

先ずは、立川児童相談所から制度についての説明がありました。
現状では、さまざまな理由で親と一緒に暮らすことのできない子どもは、東京都で約4,000人いるということ、福生市でのほっとファミリー登録数が4家庭であることなどが説明されました。

発表者の元里子さんは23歳の女性、現在は2児のお母さんです。
虐待を受けて一定期間施設に保護されました。家庭に戻りましたが父親からの暴力などに耐えられず家出を繰り返し、ある時「家に戻るか施設に入るかどちらかにしなさい」と迫られたそうです。その時「どちらも嫌だ」とやっとのことで意思表示し、結果、ほっとファミリー登録されていた里親さんの元で暮らすことになったそうです。家出してもきょうだいが心配して迎えに来てくれたこともあった。施設は18歳になるまでただご飯を食べさせてくれてお世話されるだけのところ、里親さんと家族はそれだけじゃなく心配もしてくれると、当時の事を振り返って話してくれました。

次の発表者はほっとファミリーを経て、5~6人の子どもを養育するファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)の里親さん。
これまでに預かった子どもたちのことを順に話してくださいました。
虐待を受けて保護された子は着のみ着のままでやってくる。先ずは着替えを買うことから始めるという言葉に、その子の置かれている状況が深刻であったことがわかりました。
施設では癒えない心の傷を一般家庭である私たちで癒したい。おとなになった時に普通の家庭を持ってほしいとの言葉が印象的でした。里親の下を離れても、関係が切れないようにしているそうです。
4人の実子も同居する家庭。賑やかな暮らしが想像できました。

立川児童相談所の石塚所長は、「母親からの虐待を受ける子どもが増えている。核家族やひとり親家庭などで、母親一人の責任が重くなっていることも原因なのではないか。望まない妊娠や出産も原因となることがある。」とお話しされました。
ただ18歳まで面倒を見て社会に出すだけではなく、家族としてほっとファミリーで育つことの大切さが伝わってきました。

虐待や貧困、いじめなど子どもを取り巻く厳しい環境は、おとなの暮らし方や働き方など様々な要因が関係する社会的問題で、ただそれだけでは解決することはできないと考えています。
子どもが尊重され大切にされる社会になるよう、いろんな角度から考え取り組んでいきます。